次の景気後退はすぐそこまで迫っているのか?

The word 'Bankruptcy' is seen painted on the side of a vacant building by street artists as a statement on the financial affairs of the city on Grand River Avenue in Detroit, Michigan July 26, 2013. REUTERS/Rebecca Cook (UNITED STATES - Tags: BUSINESS) - GM1E97R0QBR01
The trigger for the next downturn could come from anywhere.Image: REUTERS/Rebecca Cook
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恐慌は、10年前のリーマン・ブラザーズの破綻を受けて急速かつ広範囲に波及し、米国の動向に対する脆弱性が比較的小さかったオーストラリアのような市場にまで及んだ。ウォートン校学部長のジェフリー・ギャレット氏によれば、このことは危機の「世界的かつ瞬時の」影響を浮き彫りにした。ジェフリー・ギャレット連鎖的な波及を懸念した世界各地の中央銀行総裁は救済措置と規制改革で対応した。

今日、世界は同様の危機に対してより安全になっているが、規制の緩い市場やプライベートエクイティなどの代替投資へ投資家が資金を振り向けていることなど、新たな警戒信号も現れている。ギャレット氏は最近、SiriusXMのラジオ番組「Knowledge@Wharton」でのインタビューでこう語った。

次の景気後退は目前に迫っているのだろうか。ギャレット氏によれば、金融セクターの厳格な改革と金融サービス企業の幹部の個人的な説明責任の強化により、安心感は確実に高まっている。次の景気後退の引き金はどこからでも起こり得る。ブレグジット合意の失敗かもしれず、中国市場の脆弱性がもたらす余波かもしれない。しかし、米国は適切に対応できる態勢が整っていない可能性がある。「撃てる弾はすべて撃ち尽くした」からだと同氏は警告した。

番組での同氏の発言を編集した抜粋を以下に紹介する。

「津波」がオーストラリアに到達

人生ではタイミングがすべてです。私は2008年初め、母国オーストラリアに米国から戻りました。到着したときは、何もかもが大統領選挙とバラク・オバマ氏の台頭の話題でした。ところが突然、津波が起きたのです。2008年9月15日のリーマン・ブラザーズの破綻です。オーストラリアの際立った点は、文字どおり世界の反対側にあり、銀行セクターが最も厳しく規制されている国の一つで、欧州の銀行に比べてウォール街へのエクスポージャーもはるかに小さかったことです。それでもオーストラリアでは、危機は即座に訪れました。信用市場はほぼ一夜にして凍りつきました。オーストラリア政府は「なんてことだ、オーストラリアの信用市場が凍結してしまった。どうすればいいのか」と言っていました。危機が世界的であり、瞬時に広がることを私は目の当たりにしました。驚くべきことでした。

「[オーストラリアは]文字どおり世界の反対側にあり、銀行セクターが最も厳しく規制されている国の一つです……。それでもオーストラリアでは、危機は即座に訪れました。」

世界的な協調

米国と同様、危機への対応としてオーストラリアでも即時かつ大規模な金融・財政刺激策が実施されました。国際協調に障壁を設けている今では忘れられがちですが、これはG20が調整役を務めました。当時はオーストラリアを含め、世界中で財政政策と金融政策の即時かつ不可欠な協調が行われていました。

……オーストラリアは実際に景気後退を回避しました。オーストラリアでは25年以上、景気後退が起きていません。しかし、それは対応策の規模と範囲があったからにすぎません。振り返れば、対応がいかに効果的に、また国際的に協調して行われたかは驚くべきことです。米国は2008年に、いわゆるTARP(不良資産救済プログラム)を直ちに実施しました。2009年初めには、当時[英国の首相だった]ゴードン・ブラウン氏が議長国を務めたG20が、世界的な景気刺激策を主導し、対応に当たりました。

中国も[大規模な]インフラ投資による景気刺激策を実施しました。影響を受けたのは中国の信用市場ではありませんでした。しかし、中国は対応が必要だと考え、非常に大規模な措置を講じました。そう、回復は力強さに欠けるものとなりました。米国や世界経済が慣れていたV字回復ではありませんでしたが……二度目の大恐慌は回避できました。

……[2008年の危機の]大きな後遺症は、少なくとも二つの分野に残っています。一つは金融危機後の10年間、所得が停滞したことです。もう一つは、[米国が]撃てる弾をすべて撃ち尽くしたことです。米国では債務が大きな問題です。金利をいわゆる正常な水準に戻すことも大きな課題です。なぜでしょうか。財政面でも金融面でも、持っていた弾をすべて使い切ったからです。次の危機に備えてどう弾を補充するかは、依然として課題です。

私たちはどれほど安全になったのか?

[世界の金融システムは]より安全になっています。従来型の金融システムは、危機前に比べてはるかに適切な規制を受けています。規制が過剰かどうかについては議論の余地があります。米国にはドッド=フランク法[2010年ウォール街改革・消費者保護法]があり、G20レベルでは金融安定理事会(2009年設立)があります。

大きな変化が実現しましたが、その中にはもっと早く行われるべきだったものもあります。だからといって、世界のシステムが[十分に]安全になったのでしょうか。そうとは言い切れません。米国では、規制の緩いシャドーバンキングや代替投資が拡大しています。ほかの大きな潜在的金融リスクも考えてみてください。たとえば、中国の国有企業や地方政府が抱える債務です。それは[2008年の]危機の原因ではありませんでした。しかし今日の国際金融システムにおけるストレスを見ると、多くの人が中国のバランスシート上の問題を、私たち全員が懸念すべきものとして指摘しています。ニューヨークやワシントンから規制で解決するのは非常に困難でしょう。

「大きな変化が実現しましたが、その中にはもっと早く行われるべきだったものもあります。だからといって、世界のシステムが[十分に]安全になったのでしょうか。そうとは言い切れません。」

倫理的な行動の確保

[危機後には]、経営幹部や取締役会の報酬を翌日の株価ではなく、長期的な株価に連動させるための研究や取り組みが数多く行われてきました。個人の業績に対する報酬は、企業の長期的な業績とよりよく連動するようになりました。これはプラスです。

[前回の危機後の]最大の批判は、「金融業界の人々は皆、革新を進めているのに、下振れリスクをまったく負っていない」というものでした。金融システムが崩壊したとき、金融の専門家自身は下振れリスクを負わないという構造的な現実は、今も残っています。だからこそ多くの人が、「金融面で責任を取れないなら、刑務所に入るべきだ」と言うのです。

しかし、ここで私は話を一周させます。あなたや私にとって、金融業界の人々が革新的で、リスクを取ることは絶対に必要です。退職後の蓄えをより大きくしたいのですから、退職時にそれを減らすのではなく増やすために、彼らにはより高い収益率を生み出してもらう必要があります。

景気後退はすぐそこまで迫っているのか?

時間は刻々と過ぎていますから、ほとんど定義上、私たちは[景気後退に]近づいています。私が話をする投資の専門家たちは、二つのことを言います。第一に、ほとんどの資産が割高であること。第二に、有望な新規投資先があまり見当たらないことです。

これは、システムが何らかの調整に対して脆弱な状態にある可能性を示しています。問題は、それが調整なのか危機なのかです。また、ほかの条件が同じなら、より小さな事象がより大きな引き金となり得るということでもあります。

「システムは何らかの調整に対して脆弱な状態にある可能性が高い。問題は、それが調整なのか危機なのかです。」

どのような事象が考えられるでしょうか……。合意なきブレグジットやハード・ブレグジットは、本当に世界市場を大きく揺るがすでしょうか。私はそうは思いません。名ばかりのブレグジットのような形になると、ずっと考えていたからです。[つまり]正式な合意はあるものの、実際にはそれほど大きな変化はないということです。市場はおそらく、すでにそれを織り込んでいます。

中国市場の脆弱性が高まっていることは、市場に織り込まれているでしょうか。おそらく織り込まれています。中国の投資家、つまり中国に資産を持つ人々は、10年ほど前から資金を国外に移そうとしてきたからです。

米中対立については、市場はまだ織り込んでいないと思います。対立がどの程度に拡大するかを、まだ把握できていないからです。両国は世界最大の二つの経済大国であり、相互依存の度合いは非常に高い。トランプ政権の言説は……中国経済の構造的な基盤全体が不公正だと考えるため、中国との結びつきを大幅に解消すべきだというものです。それが実現すれば、大きな事態となるでしょう。しかし、米中間の相互の結びつきを改めて見れば、私はこう言います。利害があまりに大きいため、それは起こり得ないと。

景気後退の時期も原因も予測しているわけではありません。しかし、資産価格が歴史的な高水準にあるという最初の前提に立ち返れば、当然、私たちは景気後退に対して脆弱です。比較的小さく、予想外の出来事が引き金になるかもしれません。

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