IMFの世界経済見通しを読み解く3つの主要チャート

The International Monetary Fund’s (IMF) new World Economic Outlook predicts that global growth will fall to 2.8% this year from 3.4% in 2022.
The International Monetary Fund’s (IMF) new World Economic Outlook predicts that global growth will fall to 2.8% this year from 3.4% in 2022.Image: Unsplash/Jason Leung
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  • 国際通貨基金(IMF)の新たな「世界経済見通し」は、世界の成長率が2022年の3.4%から今年は2.8%に低下すると予測しています。

  • IMFによると、世界のインフレ率は今年低下するものの、その低下は当初の予想を大幅に上回るほど緩やかに進む見込みで、今年は経済圏の97%でインフレ率が各国の目標を上回るとされています。

  • より強靱な世界経済を築くには、多国間協力の強化が不可欠だとし、世界的な金融セーフティネットの強化や、地経学的分断がもたらす悪影響の軽減を呼びかけています。

「世界経済の見通しをめぐる霧は濃くなっている」。そう述べているのは、国際通貨基金(IMF)が最近発表した「世界経済見通し」です。冒頭のページには、「不確実」「不安定」「前例のない」「予想外」といった言葉が散りばめられています。

「過去3年間に起きた負のショックの累積的な影響、とりわけ新型コロナウイルス感染症のパンデミックとロシアによるウクライナ侵攻の影響が、予想外の形で顕在化している」と報告書は述べています。

さらに、最近の米国で地方銀行2行が破綻した後の金融市場の混乱と、スイスの金融機関クレディ・スイスの買収が加わり、世界は「混乱が強まり、状況はかなり脆弱」な局面にあると報告書は述べています。

知っておくべきこと:IMFの世界経済見通し
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確かなのは、これから浮き沈みが待ち受けているということだけです。報告書の副題「険しい回復」がそれを示しています。報告書を埋め尽くす数々のチャートの線も同様です。ここでは、報告書から3つのポイントを紹介します。

IMFの経済成長率予測

IMFの予測では、先進国・地域の成長率は今年、半分の1.3%になる見込みです。Image: 国際通貨基金。

IMFは、世界の成長率が2022年の3.4%から今年は2.8%に低下した後、2024年には小幅に回復して3%になると予測しています。

一方、「減速は先進国・地域、とりわけユーロ圏と英国に集中している」と述べ、「新興市場国・発展途上国は多くの場合、すでに力強く成長している」と指摘しています。

IMFは、先進国・地域の成長率が今年は半分の1.3%となり、2024年にはわずかに上昇して1.4%になると見込んでいます。「先進国・地域の約90%で、2023年に成長率が低下すると予測される」としています。

新興市場国・発展途上国の平均成長率は、2023年に3.9%、2024年には4.2%に上昇すると予測されています。

しかし、2028年まで見通すと、IMFが予測する世界の成長率はわずか3.0%で、1990年以来、いずれの「世界経済見通し」においても中期成長率予測として最低となります。

インフレ率の予測

エネルギーと食料の価格を除いたコアインフレ率は、多くの国でまだピークに達していません。Image: 国際通貨基金

IMFは、世界のインフレ率は今年低下するものの、そのペースは当初の予想より大幅に緩やかになると見ています。2022年に平均8.7%だった世界の総合インフレ率は、今年は7%、2024年には4.9%に低下すると予測されています。

「インフレは、ほんの数カ月前に予想されていたよりも、はるかに下がりにくい」と報告書は述べています。エネルギーと食料の価格低下により総合インフレ率は下がりましたが、IMFによると、エネルギーと食料の価格を除いたコアインフレ率は「多くの国でまだピークに達していない」とのことです。

コアインフレ率は今年第4四半期に5.1%まで低下すると予測していますが、これは1月時点の予測である4.5%を上回っています。

IMFによると、今年は経済圏の97%でインフレ率が各国の目標を上回り、目標の範囲内に戻るのは2025年になる見込みです。

金利の予測

IMFは、中央銀行が2024年初めから段階的に金利を引き下げると見ています。Image: 国際通貨基金

IMFの主要な経済予測は、世界金利が、2022年10月版「世界経済見通し」の発表時に想定されていたよりも長期間、高い水準にとどまることを前提としています。

一方、急速な金融引き締め政策が「効果を発揮し始める」につれて、中央銀行は2024年初めから段階的に金利を引き下げると見ています。

「中央銀行は、インフレ抑制に向けた引き締め姿勢を維持する必要がある一方、情勢に応じて金融安定上の懸念への対処も含め、政策手段をすべて活用し、調整する備えをしておく必要がある」と報告書は述べています。

金利に影響を及ぼす可能性のある動きの一つが、最近の銀行業界の混乱です。IMFの新たな「国際金融安定性報告書」は、「金融市場にストレスが生じたことで、インフレ圧力が予想以上に根強いなか、中央銀行の任務は一層複雑になっている」と述べています。また、多くの投資家が金利予測を大幅に引き下げたことも指摘しています。

「世界経済見通し」の基本シナリオは、「最近の金融セクターのストレスが封じ込められる」ことを前提としています。しかしIMFは、「金融セクターのストレスが増幅し、波及が広がる可能性もある」と指摘しています。

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世界経済の安定化

世界経済の見通しをめぐる霧は濃くなっているかもしれませんが、IMFは雲間に「一筋の光明」も見いだしています。銀行セクターの混乱は融資を鈍らせる可能性があり、それによってインフレが和らぎ、金利をさらに引き上げる必要性がいくらか低下する可能性があるとしています。

今後の道筋について、政策当局者にとって狭き道であると認めたうえで、「より強靱な世界経済の構築を進めるには、多国間協力を強化する取り組みが不可欠である。これには、世界的な金融セーフティネットの強化、気候変動のコストの軽減、地経学的分断がもたらす悪影響の低減が含まれる」との見解を示しています。

強靱な成長の実現は、5月2~3日に開催される世界経済フォーラムの成長サミットにおける3つの主要テーマの一つです。この分野の議論では、包摂的で持続可能な経済成長、貿易、投資、生産性、製造業、世界の開発、公平なグローバル化の推進に焦点を当てます。

残る2つの主要テーマは、教育への投資や雇用創出の支援などを含む人的資本の育成と、公平なグリーン移行の実現、ジェンダー平等の推進、人種的・社会的公正に向けた取り組みを含む経済的公平性の加速です。

サミットのセッションと並行して、フォーラムは2つの主要な報告書、『Future of Jobs Report 2023』と最新の『Chief Economists Outlook』を通じて、戦略的な知見を発表します。これらの報告書では、景気後退の可能性、成長の見通し、インフレ、金融面での波及、サプライチェーンなど、経済環境における主要な動向を探ります。

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