新たな調査によると、地政学的懸念がインフレを上回り、中央銀行とソブリン・ウェルス・ファンドにとって最大のリスク要因となった。
調査では、中央銀行の53%が準備資産の増額を計画し、52%が保有資産の分散を目指していることが分かった。
世界経済フォーラムの『グローバルリスク報告書2024』は悲観的な見通しを示しており、今後10年間に嵐のような、あるいは激動の時代が訪れると予想する人は60%を超える。
世界で40億人を超える人々に投票資格がある選挙の年に、地政学的懸念が中央銀行とソブリン・ウェルス・ファンドにとって最大の懸念として浮上した。
資産運用会社インベスコの新たな調査によると、政治情勢の分極化と分断が進み、これらの機関にとって最大のリスク要因としてインフレに取って代わった。『グローバル・ソブリン資産運用調査2024』で示された傾向は、中央銀行とソブリン・ウェルス・ファンドが対応すべき世界が、ますます複雑で不確実になっていることを反映している。
回答者の83%は、来年の世界経済成長に対する最大のリスクは地政学的緊張だと見ており、高インフレと金融引き締めへの懸念(73%)を上回った。今後10年間については、参加者の86%が、地政学的な分断と保護主義の高まりを最も重大な長期的脅威として挙げている。
調査によると、ウクライナと中東で続く紛争、米国や中国を含む大国間の緊張、そして2024年に数多く行われる選挙の結果をめぐる不確実性が、地政学的リスクへの関心の高まりを促している。
金融機関はこうしたリスクにどう備えているのか。
こうした課題に対応するため、中央銀行は準備資産を強化し、分散を進めている。半数を超える53%が今後2年間に準備資産を増やす計画で、52%は保有資産をさらに分散させる意向だ。この戦略は、起こり得るショックに備える緩衝材をつくり、市場の混乱時に介入するための十分な資源を確保することを目的としている。
インベスコの調査は、中央銀行とソブリン・ウェルス・ファンドが分散手段として金や新興国資産に軸足を移しつつあることも示している。中央銀行の準備資産が武器化される可能性を受け、回答者の56%にとって金の魅力が高まった一方、新興国への配分は今後5年間で大幅に増えると予測されている。
ソブリン投資家は変化する情勢に適応するなか、地政学的リスクへの当面の対応と、多極化が進む世界で長期的な安定と成長に向けた態勢を整えることとの間で、微妙なバランスを取る戦略を打ち出している。
世界経済フォーラムは、世界の銀行システムの改善に向けて何をしているのか。
世界的な不確実性に即効策はない
地政学的緊張から生じる社会的・経済的不安定は、今後も続く可能性が高い。
世界経済フォーラムの『グローバルリスク報告書2024』は、今年の「グローバルリスク認識調査」の回答者の3分の2が、「中堅国と大国が現行のルールや規範を定めて執行する一方で、それらに異議を唱えるなか、今後10年間は多極的な秩序が支配的になる」と考えていることを明らかにした。
調査では、回答者の54%が、今後2年間にある程度の不安定さと世界的な大惨事が起こる中程度のリスクを予想していることが分かった。同じ期間にさらに激動の状況になると見る回答者も30%に上る。10年先に目を向けると、見通しは一段と悲観的になり、調査対象者のほぼ3分の2が、嵐のような、あるいは激動の状況を予想している。
不確実な世界に安定を取り戻す
『グローバルリスク報告書』は、地政学的緊張と世界の政治的議論の分極化を指摘するとともに、国家から個人に至るまで、世界をより安定した秩序へ戻すためのさまざまな戦略を提示している。
国境を越えた大規模な協力は不可欠だ。協力がなければ、国家間の武力紛争や、人々の安全と繁栄を脅かすその他の危険につながる可能性がある。さらに、予測可能なリスクを軽減するため、地域に根差した投資や規制を活用できる。報告書によると、公共部門と民間部門の双方が重要な役割を担う。
世界規模の課題に直面すると、個人の行動は取るに足らないものに思えるかもしれない。しかし報告書は、小さな行動も力を合わせれば、世界的なリスクを大幅に減らせると指摘している。
今後10年間は前例のない変化が訪れ、私たちの適応力が試される。複数の未来があり得るなか、世界的なリスクに対処する現在の取り組みが、より望ましい結果を形づくる可能性がある。



