世界の国境の衰退と復活

A US worker inspects a section of the US-Mexico border wall at Sunland Park, U.S. opposite the Mexican border city of Ciudad Juarez, Mexico, November 9, 2016
Dividing line: are we entering a new phase of globalisation?Image: REUTERS/Jose Luis Gonzalez
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世界はますますグローバル化しています。人々はこれまで以上に、自ら住む場所、学ぶ場所、働く場所を決めるようになっています。それは必要に迫られての場合もあれば、自ら選んだ場合もあります。しかし、テクノロジーや規制の簡素化などによって世界が開かれ、生まれた国の国境内にとどまる必要はなくなりました。国の電子居住者になることさえ可能です。

「グローバル市民」であることは、もはや世界のエリートだけに限られたものではありません。テクノロジーの民主化を促す力によって、それは特権や年齢によって決まる流行ではなく、姿勢によって決まるものになりました。テクノロジーは、これまで経験したことのない水準の世界的なつながりを私たちにもたらします。現実と仮想のつながりに開かれた姿勢が加われば、世界は無限でありながら、ずっと身近なものになります。

しかし、この大きな潮流は現在、いくつかの逆風に直面しているようです。世界の一部では、国境や壁が必要だという言説が強まっています。いま聞かれる国境支持の声は、変化や未知のものへの恐れから発せられているのかもしれません。急速に変化する社会が抱える課題を浮き彫りにしている場合もあります。そうした声に耳を傾け、解決策を見つける必要があります。

グローバル化は進んでいる——一方で、各国は国境の内側に引きこもっているのでしょうか?Image: KOFスイス経済研究所

別の場合には、力の均衡が変わることへの恐れから、こうした声が上がっています。そう変わる必要があるのかもしれません。国境を築き始めると、世界は互いに閉ざされた別々の区画へと後退し、不安と制約から競い合うようになります。それは潜在力と機会を閉ざしてしまいます。

金融セクターを見てみましょう。理論上、金融は世界規模でうまく機能するはずです。国際貿易を支える役割などを担う、まさにグローバルなシステムだからです。そして、メールを送るのと同じくらい簡単にお金が移動できない理由はありません。

現実は、まったく逆です。金融システムは、実質的に国境の内側で機能しています。制約の中には、システムの犯罪利用を防ぐなど正当な理由から設けられたものもありますが、そうでないものも多くあります。制約の多くは利己心や怠慢から生じ、いまでは現状を守る手段として機能しています。

銀行は常にテクノロジーを利用してきました。しかし、顧客の利益のためではなく、コスト削減のためにバックエンドで活用してきたのです。原動力は利益であり、消費者にとって何がよいかではなく、銀行にとって何がよいかに重点が置かれてきました。

それに対し、新世代の金融サービス企業は、テクノロジーを使ってシステムを公正なものにしようとしています。TransferWiseは理想主義者として出発し、いまもその姿勢を保っています。人々が必要としているものに焦点を当て、状況を改善するために何ができるか、問題をどう解決できるかを考えることから始めます。最高のサービスづくりに注力しながら、事業として成功することもできるのです。

変化を実現するうえで、企業が政治家や政府より適した立場にあることもあります。それは、企業が責任を問われず、国際ルールに従わなくてよいという意味ではありません。しかし、適切な動機があれば、変化をもたらす力になり得ます。いま金融セクターで起きているのは、まさにそれです。新世代の金融サービス企業は現状の限界を受け入れず、相互につながり開かれた世界が、排除ではなく包摂をもたらし、よい影響につながることを示しています。

願わくば、金融の世界では壁が取り払われ続けるでしょう。そして、国境や分断をめぐる広範な議論も短期的な障害にとどまり、長期的には、私たちがグローバルで統一された世界へ向けて歩み続けることを願います。

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