デジタル金融の真の競争は、資金をめぐるものではない

The European Central Bank is targeting 2027 for the pilot stage of the launch of the digital euro.
The European Central Bank is targeting 2027 for the pilot stage of the launch of the digital euro.Image: Reuters/Alex Domanski
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  • 強固な規制とガバナンスに支えられ、欧州はデジタル金融において信頼という優位性を持つ。

  • EUは、より広範なデジタル金融エコシステムの構築とデジタルユーロの導入にあたり、インドやブラジルなど他の経済圏から学ぶことができる。

  • デジタルユーロの登場が近づくなか、相互運用性、プライバシー、規制の枠組みなどをめぐる疑問が残されている。

信頼は、欧州の金融政策における共通言語である。一般データ保護規則(GDPR)から暗号資産市場規則(MiCA)に至るまで、ガバナンスと説明責任は、欧州が金融インフラに取り組む際の基盤となってきた。それは、可能性に上限を設けるものではなく、ほかのすべてを支える土台である。

欧州中央銀行(ECB)が2027年後半のパイロット開始を目指し、早ければ2029年に全面展開する可能性もあるなか、欧州はデジタルユーロの実現に向けて歩みを進めているが、その同じ決意は今も揺るがない。この局面が特別なのは、欧州が既存市場のルールを定めるだけでなく、公の場でゼロから市場そのものを構築し、その価値観がリアルタイムで試されている点にある。

金融インフラへの信頼は、当然に得られるものではない。約束どおりに機能する何百万もの日常的なやり取りを重ね、うまくいかない難局にも対処することで、少しずつ築かれるものだ。真の試金石は、技術が設計の想定を超えて進化するとき、誰も予測しなかった用途が最も重要になるとき、そして規制当局よりずっと早く市民が約束と現実の隔たりに気づくときに、デジタルユーロを統治する機関がその誠実さを保てるかどうかである。

先駆者から学ぶ

他の経済圏での経験は、欧州のデジタル通貨開発に貴重な知見をもたらす。

インドのデジタル・ルピーのパイロット事業は、2022年末に開始され、規制上の学びを実践する好例となっている。インド準備銀行(RBI)は、国債の決済を対象とするホールセール向けパイロットと、より広い利用を想定したリテール向けパイロットの二つの枠組みで展開を進めた。どちらも直ちに規模を拡大する取り組みではなく、管理された実験として設計された。当初、参加者はホールセール部門では9行に限られ、リテール部門でも一部の利用者と加盟店に絞られていたが、その後、2025年初頭までに17行、約600万人の利用者へと拡大した。

重要なのは、RBIが現場で見た状況に基づき、この期間に技術を改良したことだ。誰もが利用できる必要性を認識すると、オフライン決済を導入し、安定したインターネット接続がない人にも対応した。社会福祉支出を改善できる可能性に気づくと、政府給付金向けにプログラム可能な送金機能を組み込んだ。どちらも当初の設計にはなかったが、証拠に基づいて自らの前提を見直す姿勢を示している。まさにこうして規制の枠組みは、時間をかけて信頼性を獲得する。

世界の反対側では、ブラジルはエンジニアが塔を建てるようにオープンファイナンスに取り組んだ。まず基礎を築き、構造が荷重に耐えられると確認してから、新たな階を加えていった。2021年、ブラジル中央銀行は、導入を明確に異なる4つの段階に分けて進めた。最初の1年以内に、約500万の口座が接続された。

現在、ブラジルは世界で最も包括的なオープンファイナンス・エコシステムの一つを運用しており、口座数は6,000万を超える。これは、日常のデジタル取引の基盤へと急速に成長した同国のリアルタイム決済システムPixと並行して構築された。各段階で安定性を確保してから拡大したことが、この仕組みの成功につながった。このような段階的な進め方には、基盤が許す以上の速さで構築したいという衝動を抑える、組織としての忍耐が求められる。信頼も同様に、約束どおりに機能する何百万もの日常的な取引を通じて、少しずつ積み重なっていった。

規制の最前線

どちらの事例も、世界経済フォーラムの白書「規制の最前線」が取り上げる、反復的で証拠に基づく監督のあり方を示している。危機への対応ではなく、体系的な学習を通じて進化する監督である。

現在、デジタルユーロは準備段階にあるが、ガバナンスをめぐる重要な問いは残る。監督下での実験をどう基準に反映するのか。分断された欧州の金融環境全体で、相互運用性をどう維持するのか。プライバシー保護の約束を実際にどう徹底するのか。消費者の信頼をどう築き、測るのか。そして技術とその用途の進化に応じて、規制の枠組みをどう適応させるのか。

白書は、こうした問いに取り組むことを目指している。境界の設定、証拠に基づく学習、市場アクセス、共有インフラ、適応型ルールという5つの設計領域を特定し、規制がイノベーションを可能にするのか、それとも停滞させるのかを左右する要素を示す。これらを総合すると、イノベーションを追いかけるのではなく、その進展に合わせて規制を動かすための組織的能力が見えてくる。

合意形成の力

政治の現実を無視することはできない。インドもブラジルも、前進するために欧州のようにほかの26の金融システムと交渉する必要はなかった。欧州中央銀行によるデジタルユーロの準備は、製品レベルで実際に規制上の学びを重ねてきたことを示している。しかし、それを取り巻く監督体制の構築は、欧州委員会、欧州議会、各国当局の政治的な足並みをそろえることに今も依存しており、その作業はまだ終わっていない。

欧州では、長期的な健全性を確保するための主な手段が合意形成である。このプロセスは、多くの人が望むより遅く、もどかしい。それでも、欧州の枠組みが正統性を備える傾向にあるのは、このプロセスがあるからだ。迅速に構築された枠組みでは、後から正統性を補わなければならない場合もある。

新たな競争

ここで信頼が決定的な意味を持つ。信頼は単なる感情ではない。本当に重要な場面で現れる、仕組みに組み込まれた支えである。金曜の午後に停止したシステムがその日の夕方までに復旧するか、プライバシー保護の約束が現実世界で人々のデータに起きていることと一致しているか、といったことだ。人々が新しい技術を採用するのは、それが革新的だからではない。最も大切なときに自分たちを裏切らないと確信できるからだ。そうした健全性の構築には何年もかかるが、たった一日の午後で失われることもある。

欧州の強みは速さではなく、誠実さにある。他の法域がプロセスの効率を優先することがあっても、欧州の機会はデジタル上の信頼の握手が持つ力にある。

真の勝利は、普及率や取引速度では測れない。デジタルユーロが世界で最も信頼されるデジタル・エコシステムとなるかどうかで測られる。

最終的に、最も成功するデジタル通貨は最速のものではなく、技術が変化しても市民を守れると証明するものだ。真の競争は、社会の信頼を損なうことなく未来を統治できる、十分に強靱な規制の枠組みを誰が構築できるかをめぐるものなのである。

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