世界の債務が過去最高を記録。私たちにできること

Average debt-to-GDP ratios are at an all-time highImage: REUTERS/Alessandro Bianchi
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世界の債務は2016年に過去最高の164兆ドルに達し、世界GDPの225%に相当しました。過去10年間で、民間債務と公的債務はいずれも急増しています。債務が大きいと、市場心理の急変によって政府の資金調達が脆弱になります。また、景気後退や金融危機が起きた際に、政府が経済を支える能力も制約されます。

各国は、景気拡大によってもたらされた好機を活用し、財政状況を強化すべきです。2018年4月の「Fiscal Monitor(財政モニター)」では、成長に配慮しながら政府の財政赤字と債務を削減する方法を各国がどのように実行できるかを検討しています。

Image: IMF

政府債務の増大は懸念材料

164兆ドルのうち、63%は非金融民間部門の債務で、37%は公的部門の債務です。世界の債務の大部分は先進国によるものです。それでも、過去10年間の債務増加の大半を占めたのは新興市場国です。中国だけで、2007年以降の世界債務の増加分の43%を占めています。これに対し、低所得の開発途上国の寄与はごくわずかです。

公的債務は、世界の債務増加に大きな役割を果たしています。先進国の債務残高の対GDP比は、第二次世界大戦以降に見られなかった水準に達しています。公的債務の対GDP比は、過去50年間にわたり一貫して上昇してきました。

新興市場国の公的債務は、1980年代の債務危機の時期にしか見られなかった水準にあります。低所得の開発途上国では、公的債務の対GDP比の平均は過去のピークを大きく下回っていますが、過去のピークからの債務削減には債務免除が伴っていたことを忘れてはなりません。さらに、低所得の開発途上国の債務は過去5年間で13ポイント上昇しました。

低所得の開発途上国では、債務とともに債務返済費用も急速に増加しています。利払い負担は過去10年間で倍増し、税収の20%近くに達しました。費用の増大は一部、各国が国際金融市場へのアクセスを得て、非居住者向けの国内債務発行を拡大するなかで、非譲許的融資への依存度が高まっていることを反映しています。

政府債務と財政赤字の規模が大きいことが懸念される理由はいくつかあります。

政府債務が高水準にある国は、資金調達環境の変化に脆弱であり、借入能力が損なわれ、経済が危機に陥るおそれがあります。さらに、歴史的な経験から、債務と財政赤字が大きい国では、金融危機後などに景気後退がより深刻かつ長期化することが分かっています。これは、政府が経済を支えるために十分な財政支援を実施できないためです。この点は、2016年10月の「Fiscal Monitor(財政モニター)」 で論じられています。

今こそ高水準の債務と財政赤字に対処すべきとき

多くの国で成長が勢いを増すなか、需要を支えるための財政刺激策はもはや適切ではありません。同時に、税や歳出の変化が産出量に及ぼす短期的な影響を測る財政乗数は、小さくなると見込まれます。つまり、短期的な財政刺激策の恩恵は限られ、債務と財政赤字を削減する経済的コストも比較的小さくなります。今、債務と財政赤字を削減すれば、市場心理の変化に対する国の脆弱性を軽減できます。また、景気後退時、つまり財政乗数がより大きくなる局面で、政策担当者が行動するための十分な資源を確保できます。

財政政策は何をすべきか

全体として、私たちの予測では、今後3~5年間でほとんどの国の債務残高の対GDP比は低下します。ただし、これは各国が政策上の公約を完全に履行することが前提です。油断は禁物です。

注目すべき点として、先進国では1か国を除き、すべての国で公的債務の対GDP比が低下すると予測されています。米国では、税制改正と2年間の予算合意により、2020年まで経済活動の水準が拡大します。これらの措置により、今後3年間の財政赤字総額は1兆ドルを超え、GDPの5%以上となる見込みです。これは政府債務の増加傾向に拍車をかけ、2023年にはGDPの117%に達します。私たちの予測は、最近発表された米議会予算局(Congressional Budget Office)の予測と定性的に同様です。

2018年4月の「Fiscal Monitor(財政モニター)」では、経済活動がすでに回復しつつあるときに、不必要な刺激を与える財政政策を避けるよう政策担当者に促しています。その代わりに、先進国、新興市場国、低所得の開発途上国の大半は、財政計画を着実に実行し、財政赤字と債務を確実に減少軌道に乗せるべきです。また、生産性を高め、人的資本と物的資本を促進する財政改革も実施すべきです。

低所得の開発途上国は、税収確保能力を強化することが不可欠です。これにより債務を返済できるようになります。また、2030年までに持続可能な開発目標

を達成するため、保健、教育、公共インフラなどの優先分野に支出できるようになります。各国経済の浮き沈みを予測できる人はいません。慎重で有能な政府は、地平線に迫る嵐に備え、好況時に準備を整えます。

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