研究によると、職場では女性の方が男性よりチーム志向が強く、潜在的な報酬を分け合える場合には、女性はより競争心を示す傾向があることも明らかになった。
弁護士や管理職など、競争の激しい仕事は一般に賃金が高く、そのため女性の割合が低い傾向にあり、賃金格差の一因となっている。
企業が女性の競争心を支え、促すにはどうすればよいかをより深く理解するため、職場の社会的側面に関する研究をさらに進める必要がある。
要点
同僚と潜在的な報酬を分け合えるなら、女性はよりリスクを取り、競争的な活動に参加しやすいことが、新たな研究で示された。この研究は私も共同執筆した。男女賃金格差の説明の一つに、女性は職場で男性より競争心が弱い傾向があるという見方があるため、この知見は格差を縮小する方法につながる可能性がある。
2021年11月1日付の米国科学アカデミー紀要に掲載された研究で、アレッサンドラ・カッサーと私は男女がほぼ半数ずつとなるように分けた学部生238人を研究室に招き、簡単な数字パズルを解いてもらう実験について報告している。男女が異なる種類の金銭的インセンティブによって、競争への参加の仕方をどう変えるかを調べることが目的だった。参加者を無作為に4人ずつのグループに分け、3ラウンドにわたって異なる形式のパズルに取り組んでもらった。
研究者たちはこの実験をこれまでに何度も実施しており、その結果、女性は男性より競争への関心が低いことが示されている。だが、私たちは一工夫加えた。
学生の半数には、通常の方法を用いた。まず、数字の問題を1問解くごとに2米ドルを受け取ると説明した。第2ラウンドでは、4人組のうち成績上位2人に、正解1問につき4ドルを提示し、ほかの学生には報酬を与えなかった。最終ラウンドでは、問題を1問解くごとに2ドルを受け取るか、より競争的なゲームに参加して、より多くの金額を得る可能性に賭けるかを選べるようにした。
過去の研究結果と同様に、第3ラウンドで競争的な選択肢を選んだ男性は52%だった一方、女性は34%にとどまることが、私たちの研究で分かった。
残り半数を対象に実施した実験では、標準的な方法とほぼ同じ手順を用いたが、一点だけ変えた。第2ラウンドで勝った学生には、グループ内の成績下位2人のうち1人に賞金の一部を分け与えるかどうかを選べると伝えた。そして、第3ラウンドの選択に、この分配の選択肢がどう影響するかを調べた。
その結果、男女間の競争意欲の差はなくなった。男性が競争を選ぶ割合は以前とほぼ同じだったが、賞金を分け合える機会が提示されると、女性の60%がよりリスクの高い選択肢を選んだ。
男女格差に対して、世界経済フォーラムはどのような取り組みを行っているのでしょうか?
なぜ重要なのか
最新の賃金データによると、男性が1ドルを稼ぐのに対し、女性の賃金は83セントで、この数字は何十年もの間ほとんど変わっていない。また、職種や個人の特性を考慮すると、格差の大部分は縮小するが、私たちはこの調整では本質を捉えられないと考えている。
平均賃金の格差が続いていることは、女性が男性より賃金の低い職業に一貫して就いているか、制度的に昇進の機会を十分に与えられていないことを示唆している。新型コロナウイルス感染症のパンデミックは、この不均衡をさらに悪化させた。
男女間の賃金格差を実質的に解消、あるいは少なくとも縮小するには、その原因を理解することが重要だ。一部の経済学者は、その原因の少なくとも一部は、男女間の競争心の違いにあると指摘している。
実際、管理職や弁護士のようなリスクの高い競争的な職務は、高額の給与につながる傾向がある。前述の研究の多くは、女性は男性より競争心が弱いようだと示しているため、こうした職業に女性が少なく、平均賃金も低い理由の一端を説明できる可能性がある。
私たちの研究は、説明はもっと複雑かもしれないと示唆している。女性が競争を好まないのではなく、男性とは異なり、競争に伴う社会的な側面に敏感なのだ。インセンティブにそうした社会的側面が反映されれば、女性も男性と同じくらい競争心を示す。
今後の課題
研究結果が職場にどう当てはまるのか、また女性の競争心を促すために企業が従業員への報酬の仕組みをどう調整できるのか、私たちにはまだ分からない。何が起きているかは明らかになりつつあるが、その理由をさらに理解する必要がある。

