世界銀行:ロシアの侵攻により、ウクライナ経済は2022年に45%縮小の見通し。
ロシアへの制裁により、同国経済は深刻な景気後退に追い込まれた。
欧州と中央アジアの新興国も影響を受けている。
戦争により、世界経済の急激な減速とインフレ急騰への懸念が強まっている。
ロシアによるウクライナ侵攻がもたらした甚大な人的被害を目の当たりにするのは、胸が痛むことだ。数百万人の難民が戦火を逃れ、民間人が無差別砲撃で命を落とすなか、ウクライナ経済もまた深刻な打撃を受けている。
世界銀行は現在、ウクライナ経済が最大45%縮小すると予測している(2022年)。マリウポリとオデーサにあるウクライナの黒海沿岸港を経由する重要な輸出ルートは遮断された。マリウポリはロシア軍の砲撃で壊滅し、オデーサも事実上、ロシア海軍に封鎖されている。戦前、これらのルートはウクライナの対外貿易全体の半分、穀物貿易の90%を占めていた。小麦は経済の柱であり、ウクライナはその主要輸出国だが、国内で避難生活を送る650万人以上の食料安全保障を確保するため、政府は穀物やその他の主要食料品の輸出を禁止した。
報告書によると、経済的損害の全容は戦争がどれほど長引くかに左右される。戦争が終わった後も、世界銀行は回復の遅れと貧困の広がりが深刻化する脅威を予測している。国連のモデルによるシナリオを引用し、世界銀行は「より深刻で長期化する戦争となれば、人口に占める貧困率がほぼ30%に上昇する可能性がある」と予測している。
中期的には、生産力と輸出能力への損害に人的資本の喪失が重なり、経済と社会に長期的な影響が及ぶと予想される。
ウクライナ経済に対する戦争の影響
世界銀行の報告書によると、戦争の経済的な波及効果はウクライナの国境をはるかに越えて広がる。「地域の強固な貿易、金融、移民のつながりを通じて戦争の影響が連鎖的に広がり、近隣諸国に相当な経済的損害をもたらしている」。
この紛争で侵略国となったロシアは、大きな代償を払っている。前線の軍事行動に資金を投じ、軍を支援することに加え、ロシアは一国に科されたものとしては史上最大規模の協調的な経済制裁を受けている。世界銀行の報告書は「ロシア経済は非常に大きな打撃を受ける」とし、「2022年には深刻な景気後退が迫っている。ロシアのGDPは11.2%縮小し、その後2年間も回復はほとんど見込めない。危機は家計に深刻な影響を及ぼし、新たに260万人が国の貧困ラインを下回ると予測される」と述べている。
これは、侵攻前にロシア経済が新型コロナウイルス感染症のパンデミックから順調に回復していた時期からの、厳しい後退だ。

戦争の経済的影響が地域全体に波及するなか、コーカサス諸国と中央アジア諸国も打撃を受けると世界銀行は予測し、経済は4.1%縮小するとしている。これは、新型コロナウイルス感染症のパンデミック時に同地域が受けた影響の2倍に当たる。ロシアは周辺諸国にとって主要な輸出先であり、輸出全体の10%超を占める。ロシアに外国人労働者を送り出す中央アジア諸国では、送金がGDPの約30%を占めている。
戦争が世界に及ぼす影響
ウクライナでの戦争による経済的な悪影響は、すでに世界各地へ波及している。国際通貨基金(IMF)はこの戦争を「成長を損ない、物価を押し上げる世界経済への大きな打撃」と表現している。
ロシアは天然ガスの主要供給国であるため、欧州ではエネルギーが経済的影響の中心にある。ドイツは特にロシア産ガスへの依存度が高く、ノルドストリーム2パイプラインの稼働開始を停止した。同パイプラインは、ロシアからのガス供給量を倍増させる予定だった。
欧州各地でエネルギー価格が急騰し、燃料費が上昇している。また、パンデミック中のサプライチェーン逼迫に端を発した、より広範なインフレ圧力も強まっている。IMFは、こうした状況がパンデミックからの回復を遅らせると予測している。
ポーランドなど東欧諸国も、戦闘から逃れてきた数百万人の難民を受け入れ、支援する費用を負担している。
さらに遠く離れたエジプトなどの国々は、通常、小麦の80%をロシアとウクライナから輸入しており、食料価格の上昇と両国からの観光収入の減少に直面する。IMFは、食料価格の上昇が社会的緊張を高める可能性があると警告している。
経済を守るための協調的な対応
世界の一部地域が依然として新型コロナウイルス感染症のパンデミックに苦しむなか、ロシアのウクライナ侵攻は次々とショックをもたらした。IMFは、紛争や感染症の拡大など大きな出来事の影響から人々を守る世界的なセーフティーネットの重要性を強調している。IMF専務理事のクリスタリナ・ゲオルギエワ氏は、「私たちはショックが起きやすい世界に生きている」と述べた。「これから訪れるショックに対処するには、集団の力が必要だ」。
ロシアの侵攻による経済的影響への対応に世界が備えるなか、被害を抑え、何よりもウクライナの人々の苦しみを止める唯一の行動は、戦争を直ちに終わらせることだと忘れてはならない。


