シニアパートナーに息子より娘が多い企業は、女性パートナーをより多く採用し、競合企業より良い業績を上げていた。
MBA取得者や科学・技術分野の高度学位取得者に占める女性の割合が高まっているにもかかわらず、新たに採用されるベンチャーキャピタル(VC)人材のうち女性は約10%にすぎない。VC企業の約75%では、女性のシニア投資専門職を採用したことが一度もなく、女性ベンチャーキャピタリストの割合は過去25年間増加していない。
過去の研究では、ベンチャーキャピタリストが自分と似た人々と協働する傾向は業績を低下させる可能性が示されている。しかし、ジェンダーの多様性には影響する一方で企業運営や業績の他の側面には影響しない変数が不足しているため、ジェンダーの多様性と業績の関係を調べることは困難だった。
論文「そして子どもたちが導く:ベンチャーキャピタルにおけるジェンダーの多様性と業績」(NBERワーキングペーパー第23454号)で、ポール・A・ゴンパース氏とソフィー・Q・ワン氏は、VC企業のシニアパートナーの子どものうち娘が占める割合が、まさにそのような変数だと指摘する。研究者らは、この変数がVC企業のジェンダーの多様性に影響することを示し、次にこの関係を利用して、多様性が企業業績に与える影響を調べている。
先行研究によると、娘を持つ親はフェミニズムの運動やジェンダー平等をより強く支持し、ジェンダーに関する問題について異なる判断を下す。例えば、娘が多い米国の議員は、女性団体が支持する法案に賛成票を投じる可能性が高い。研究者らは、VC企業の採用決定に「娘効果」があることを見いだした。シニアパートナーに息子より娘が多い企業では、女性の採用率は11.87%だった。シニアパートナーの娘と息子の数が同じ企業では9.78%、娘より息子が多い企業では8.68%だった。パートナー間の娘と息子の比率、息子より娘が多いパートナーの割合、少なくとも1人の娘がいるパートナーの割合など、パートナーの子どもの性別構成を示す他の指標も、採用決定との相関が見られた。
12歳を超える娘は、年少の娘より採用に大きな影響を及ぼしていた。研究者らは、「年長の娘は父親の考え方により大きな影響を与える可能性がある」と記している。「これは、娘が成長するにつれて直面する可能性のあるジェンダー上の偏見を、父親が目にすることと整合する」。また、シニアパートナーが採用決定により強い影響力を持つこととも一致する。
パートナーに娘が多い企業は、競合企業より良い業績を示した。研究者らのサンプルに含まれるすべてのVC企業では、投資案件がIPOに至るか、投資額を上回る評価額で買収される確率は28.7%だった。シニアパートナーの娘が1人増え、息子が1人減ると、企業の案件成功率は約2.9%上昇した。この「息子を娘に入れ替えること」は、企業の内部収益率(ネット)も3.2%高いことと関連していた。
研究者らはまた、パートナーの子どもの性別構成と企業内の女性パートナー数が、女性創業者の企業に投資する確率にどう影響するかも調べた。研究者らの仮説では、こうした企業は多様性の低い投資会社に見過ごされる可能性があり、その分高いリターンをもたらすことも考えられる。パートナーに娘が多い企業が女性主導の企業への投資を増やすという証拠は見つからなかったが、女性パートナーが少なくとも1人いる企業では投資が増えることが分かった。
研究者らの試算によると、典型的なVC企業が女性パートナーの割合を現在の平均8%から18%へと10パーセントポイント引き上げれば、「さらに232億ドルが調達されることになる」。

