男女間賃金格差は最低賃金労働者にも及ぶ

A waitress serves a beer during the Brussels Beer Challenge in Brussels, Belgium, November 4, 2016. REUTERS/Eric Vidal - D1BEUKXBGFAB
The higher the male share of employment in an occupation or industry, the higher the wages for both men and women.Image: REUTERS/Eric Vidal
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男女間賃金格差をめぐる議論は、労働市場の高賃金層に注目しがちだが、賃金水準のもう一方の端にいる労働者、つまり職務に対して法律で定められた最低賃金を受け取る人々を見落としている。こうした低賃金労働者の間にある男女間賃金格差こそ、私たちが最も懸念すべきだ。

2016年、オーストラリアの雇用のほぼ4分の1は、最低賃金または「アワード」賃金で支払われていた。アワード賃金は、ほとんどの場合、公正労働委員会が定める。最低賃金労働者は定義上、全員が最低賃金を受け取っているため、男女間賃金格差はないはずだと思えるかもしれない。しかし実際には、オーストラリアにはさまざまな最低賃金がある。

現在、さまざまな産業や職種を対象とする連邦アワードが122あり、それぞれが、仕事の作業内容や職務、労働者の資格や経験などに応じて、数多くの異なる最低賃金を定めている。

これに、男女で従事する仕事の種類が大きく異なるという事実が加わるため、最低賃金労働者の間にも男女間賃金格差が生じうる。

実際、オーストラリア家計・所得・労働動態(HILDA)調査のデータによると、最低賃金で働く女性の時給は、最低賃金で働く男性より約10%低い。最低賃金労働者の賃金格差は、最低賃金を上回る賃金を得ている人々の19%という格差より小さいものの、依然として大きい。

さらに、アワード賃金に依存する労働者の男女間賃金格差は、男女の技能や能力の違いでは説明できない。

Image: 世界経済フォーラム

最低賃金を上回る賃金を得る労働者の場合とは異なり、最低賃金労働者の格差は、雇用主による差別、男性の優れた交渉力、あるいは男性の生産性の高さによって生じるものではない。全員が許容される最低賃金で支払われているからだ。

実際、女性が就くことの多い仕事では、最低賃金が体系的に低く設定されている。たとえば、医療・保健分野の最低賃金労働者の賃金は、同程度の技能を持つ道路輸送分野の最低賃金労働者より大幅に低い。

職種や産業における男性の雇用割合が高いほど、男女とも賃金は高くなる。職種や産業の男女構成に左右されない仕組みであれば、最低賃金労働者の男女間賃金格差を縮小できる可能性がある。

政策担当者がこの問題に対処すべきか、またどのように対処すべきかは、女性が就くことの多い仕事で最低賃金が低い理由による。経済的に妥当な根拠に裏付けられた主な説明は二つある。

産業の雇用に悪影響を与えないよう、公正労働委員会は、雇用主の「支払い能力」が低い場合に最低賃金を意図的に低く設定している可能性がある。たとえば、雇用主の市場支配力が弱く、競争が激しいため、高価格を設定できないことが理由かもしれない。

また、最低賃金が高いのは、危険さや汚さなど、技能要件とは関係のない仕事の特性に対する公正な補償を部分的に反映している可能性もある。

しかし、こうした説明は、せいぜい部分的にしか説得力がない。たとえば看護職は女性が多い一方、雇用主の市場支配力も強い。

不快な特性を伴う仕事への補償は、男性が多い建設労働者のアワード賃金が高い理由としては妥当かもしれない。一方、女性が多く、暑く騒がしい環境で身体的にきつい仕事をしばしば担う、アワード賃金に依存する接客業の労働者の賃金は低い。

これは、「支払い能力」やその他の仕事の特性が、産業や職種ごとの最低賃金の決まり方に影響していないという意味ではない。しかし、公正労働委員会が最低賃金に差を設ける根拠には透明性がほとんどなく、こうした要因がどのような性質を持ち、どの程度影響しているのかを知る手段がない。

そのため、女性が多い職種や産業で最低賃金が低いのは、少なくとも部分的には「女性の仕事」が過小評価されているためだという可能性が残る。

最低賃金の決定にあたって考慮した要因を明示し、数値化する賃金決定プロセスがあれば、この懸念を和らげられるだろう。

それまでは、最低賃金制度が、最低賃金に依存する女性を体系的に不利な立場に置いていないと確信することはできない。

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