イノベーション、業績、価値を高めるにはスキルと多様性が必要ですが、多くの組織はその両方で不十分です。
ある調査によると、多様性、公平性、包摂、帰属意識(DEIB)において企業を成功に導く、唯一のスキルセットはありません。
むしろ、組織内の階層によって重視されるスキルは異なるため、多様性を高める際には雇用主がそれを考慮すべきです。
組織が多様性と包摂性を高める方法を模索するなかで、成功を後押しするスキルには何があるでしょうか?
実際、豊富な研究成果が、職場の多様性が収益性と創造性の向上、ガバナンスの強化、問題解決能力の改善につながることを示しています。ボストン コンサルティング グループによると、経営陣の多様性が高い企業は、イノベーションによって売上高が19%高いことが分かっています。
私の会社であるDegreedは、多様性、公平性、包摂、帰属意識(DEIB)に特に優れた組織のスキル構成を調べる調査を支援しました。この調査では、さまざまな業界の1,000人を超える人々を対象に、包括的なアンケートを実施しました。
雇用主のもとで帰属意識を持ち、包摂され、尊重されていると感じるか、個々の背景やアイデンティティが大切にされているか、また、異なる背景やアイデンティティを持つ人々が組織内で代表され、公平な機会を得ていると思うかを判断するため、一連の質問をしました。
調査を実施したRedThread Researchは、調査の回答を用いて「DEIB指数」を作成しました。次に、指数が高い企業と低い企業を比較し、指数の高い企業でどのスキルがより重視されているかを調べました。
この調査で主に扱うのは、Degreedで「パワースキル」と呼ぶスキルで、「ソフトスキル」や「対人スキル」と呼ばれることもあります。DEIBで企業を自動的に成功へ導く、単純なスキルセットは存在しないことが分かりました。しかし、DEIBの成果が高い企業では、組織階層の各レベルで特定の主要スキルが重視される傾向があります。
上級リーダーには共感力だけでは足りない
DEIBを中核的な事業機能として位置づけ、取り組みを導入し拡大するのは、経営幹部の役割です。たとえばDegreedのCEO、ダン・レビンは、事業運営のあらゆる側面にDEIBを組み込むことを戦略上の必須課題と捉えており、取締役会レベルもその対象に含まれると述べています。
調査では、DEIB評価の高い組織では従業員の30%が、経営幹部には精神的な柔軟性が必要だと答えた一方、評価が最も低い企業では21%にとどまりました。同様に、評価上位の企業では従業員の31%が関係構築力を挙げたのに対し、評価下位の企業では24%でした。
経営幹部には共感力を示すことがしばしば求められます。しかし、この調査では、リーダーの共感力を回答者が過度に重視する組織ほど、DEIBの評価が低いことが分かりました。
それは、変革を毅然と導き、同僚との関係を築くといった、経営幹部の「行動に移すスキル」を優先することが、さらに重要な場合があるためです。
マネジャーには影響力を発揮する力が鍵
マネジャーに必要な重要スキルについて尋ねたところ、DEIB評価の高い組織の回答者の38%が交渉力を、35%が影響力を挙げました。いずれも、評価の低い企業の回答者が挙げた割合(それぞれ29%、24%)を大幅に上回りました。

マネジャーは経営幹部層が打ち出す大局的な施策を受け、仕事や機会の割り当て方に新たな工夫を加える必要があります。こうしたスキルに長けた人は、部下の対立解消を助け、新しい考え方を受け入れるよう促します。
上級リーダーには説得力が求められる
調査の執筆者であるステイシア・ガーとプリヤンカ・メヘロトラは、報告書で、上級リーダーとマネジャーの双方にとって特に重要なスキルが2つあると述べています。DEIB評価が高い企業の回答者は、両方の職位にある人が現状に異議を唱え、説得する力に秀でているべきだと答える傾向が強く見られました。
私は、部下の言動が誰かに疎外感を与える可能性について考え直すよう、リーダーやマネジャーが部下を説得しなければならない場面を見てきました。こうした課題に秀でた人には、それを実行するスキルがあります。
誠実で勇気ある従業員が必要
DEIBの成果が高い組織では、個々の従業員に誠実さ(49%。評価の低い企業では39%)、他者を力づけること(46%対38%)、そして勇気(34%対29%)が必要だと回答者は述べました。
ここでいう勇気とは、偏見に基づく行為やマイクロアグレッションを目にしたときに、それを指摘することを意味する場合があります。また、デリケートな話題を避けるのではなく、難しい対話を交わすことも含まれます。
また、フィードバックを真摯に受け止めることも意味します。誰かに自分の行為で不快な思いをしたと指摘されたら、改善に向けて行動するということです。
より包摂的な職場を実現するための実践的スキル
この調査は、多様性、公平性、包摂、帰属意識を築くための新たなスキルに基づくアプローチの出発点です。この課題について、さらに探究していく予定です。
これらの調査結果を踏まえ、前向きな変化に取り組む組織は、各階層の従業員のスキルを評価し、スキルアップやリスキリングの研修を始めるべきです。採用時にも、こうした専門性を探すとよいでしょう。
人と仕事をめぐる経済変革をリーダーが乗り越えるための、フォーラムの支援
新経済社会センターはリーダーをつなぎ、経済や技術の変化が仕事、スキル、機会をどのように変えているかを理解するための場を提供します。
知見の共有と協働を通じて、センターはパートナーが、移行期に人々と社会を支える包摂的な経済モデルを探ることを可能にします。
最高人事責任者のジャニス・バーンズが述べたように、その結果は「一つずつスキルを身につけながら、包摂的な組織の基盤を築くための具体的な方法」を示しています。
今回の調査結果から、こうした変革に取り組む企業は、DEIBの実現で優位に立てるでしょう。それに加え、イノベーションと業績の向上も期待できます。
