インド、女性パイロットの採用で世界平均を大きく上回る

Female students attend a class at the Bombay Flying Club's College of Aviation in Mumbai, India, August 28, 2018. Picture taken August 28, 2018. REUTERS/Danish Siddiqui
India has the highest proportion of female commercial pilots in the world at 12 percent.Image: REUTERS/Danish Siddiqui
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20年前、インドでパイロットになりたいと考えたシュウェタ・シン氏は、まず女性には珍しい職業を選ぶことを両親に認めてもらい、その後、操縦室で歓迎されない態度を示す男性同僚への対応を迫られた。

現在では、パイロットはずっと就きやすい職業になったとシン氏は言う。パイロットを目指すインド人女性は増え、労働組合の取り決めによる同一賃金、安全な職場、託児サービス、そして活況を呈する航空業界など、得られる恩恵も増えている。

女性がこうした仕事に就くことを一般に好ましく思わない家父長的な社会であるにもかかわらず、インドは女性の商業パイロットの割合が12%と世界で最も高い。

「大変でした」とシン氏はパイロットになったばかりの頃を振り返る。「男性中心の分野で、参入するのは容易ではありませんでした」

社会は変わりつつあると語るシン氏は、ジェット・エアウェイズ社の上級トレーナーで、現在はインドの航空規制当局に出向し、飛行運航担当の副主任検査官を務めている。

インドの女性パイロットの割合は、米国やオーストラリアを含む多くの西側諸国の2倍に上る。国際女性航空パイロット協会によると、世界全体ではパイロットのうち女性は5%未満だ。

世界的にパイロット需要が急増している。航空機メーカーのボーイング社は、航空旅行の増加に伴い、今後20年間で世界全体に79万人の新規パイロットが必要になると推計している。これは現在のパイロット数の2倍に当たる。

インドは世界で最も急成長している航空市場で、年初からの上半期に国内線の輸送能力が22%伸びたため、同国の航空会社は特に大きな圧力にさらされている。

女性の採用を増やすことはパイロット不足の解消に役立つ明白な方法だが、社会的な制約がそれを妨げてきたと、インディアナ大学で歴史学とジェンダー研究を教えるマリア・ブクル教授は語った。

「パイロットになるための訓練や、仕事に伴うストレスに耐えるには、女性はその年齢で社会が女性に期待することの大半、つまり子どもを持つことに反する選択をしなければなりません」と同教授は述べた。

平等な権利

労働組合との協定に基づき、パイロットの給与は勤続年数と飛行時間で決まる。そのため、インドでは男女の賃金格差がない数少ない職業の一つとなっている。

同国のパイロットの初任給は、飛行手当を含め、航空会社や機種に応じて年間2万5,000~4万7,000ドルだ。企業弁護士や建築家の初任給と同程度である。

インターグローブ・アビエーション社が運営するインディゴでは、パイロットの約13%が女性で、5年前の10%から上昇したと同社は発表した。同社の女性パイロット330人のうち、一部は管理職も務めている。

同社は託児サービスを提供している。また、妊娠中の女性には事務職を用意し、飛行業務に従事していた場合に得られた額と同等の手当を支給することで、「職業との関わりを建設的に保てるよう支援している」という。

スパイスジェット社(SPJT.BO)では、部門長を含めパイロットの12%が女性で、今後3年間でその割合を33%に引き上げる方針があると、アジャイ・シン会長は今年、英国のファーンバラ航空ショーで語った。同社は女性に毎月固定の飛行スケジュールも提供している。

インドでは日常の安全が女性にとって懸念となり得るため、航空会社は午後6時から午前6時まで送迎サービスを提供している。女性には武装警備員が同行する。これは2012年にニューデリーで起きた凄惨なレイプ事件を受けて導入された慣行だ。

「これほど安全な仕事はありません。女性はここで、ほかのどこよりも守られています」とシン氏は語った。

変わりゆく社会

2002年に飛行学校を卒業してから1年後、ルピンダー・カウル氏は仕事探しに苦労し、操縦士免許を取るために200万ルピーを費やしたことが人生最大の「大失敗」だったのではないかと思い悩んだ。

仕事が見つかるまで1年かかったが、最終的に地域航空会社エア・デカンに就職できたと同氏は語った。

インドの航空市場が活況を呈する現在は、仕事を見つけやすくなったと、インディゴのパイロットで、インドの航空規制当局に出向して飛行運航教官を務める37歳のカウル氏は言う。

「インドでは一般に、周りの大多数がしていることを基準に職業を選ぶ競争社会です」と同氏は語り、特にパイロット職で、航空会社は従業員に占める女性の割合を一定以上にするべきだと付け加えた。

「私たちにとって、今もそれほど簡単ではありません。200%の力を出さなければなりません」と同氏は語った。女性には家庭と仕事を効率よく両立することが期待されるためだ。

国全体にとっても、かかっているものは大きい。コンサルティング会社マッキンゼーの報告書によると、女性がインドの国内総生産に占める貢献は18%で、インドの労働力のうち女性はわずか4分の1にすぎない。

中国では、女性が経済に41%貢献し、労働力のほぼ半数を占めている。

女性の就労を促進すれば、通常の年間成長率に上乗せして、インドのGDPを18%、金額にして7,700億ドル押し上げられる可能性があると、マッキンゼーは述べた。

インドでは女性パイロットの数が今後も増え続ける兆しがある。

商業パイロット向けの課程を設けるボンベイ・フライング・クラブでは、教室にいる女性の割合が、5年前の10%未満から約25%に増えたと、同校の校長兼主任教官であるC・クマール氏は語った。

「社会は変わりつつあり、航空業界で働くことへの受け入れも広がっています」とクマール氏は述べた。

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