エグゼクティブおよび非エグゼクティブの任用における多様性は、外部からの圧力や個人の努力に大きく左右されている。
シニアリーダーの採用のあらゆる段階でインクルージョンに取り組むため、エグゼクティブサーチのプロセスを根本から見直す必要がある。
取締役会の多様性を高めるには、採用チームと人材紹介チームの共同の取り組みが鍵となる。
リーダー任用における多様性の促進は、世界各地で進展している。例えば、企業取締役会のジェンダー多様性を追跡するアナリストグループ、MSCIによると、企業取締役会における女性の比率について、同社のオール・カントリー・ワールドインデックスに含まれる企業の38%では、2022年に取締役の少なくとも30%を女性が占めていた。
しかし、この進展の大部分は、制度そのものではなく、外部からの圧力や個人の努力によるものだ。そのため、数十年にわたって続いてきたシニアリーダー選考の慣行を問い直す時が来ている。
リーダー任用におけるインクルーシビティの優先
インクルーシビティは道義的責務であるだけでなく、イノベーションの推進、意思決定の改善、市場の拡大、優秀な人材の獲得、ひいては業績と成功の向上につながるビジネス上の合理性とも結びついている。したがって、採用プロセスの設計と実施において、トップ層に至るまでインクルーシビティを優先することが極めて重要である。
私たちの個人的な世界観や根本的な信念は、思考や感情を方向づける。リーダーの任用も例外ではなく、さまざまな認知バイアスや集団への帰属意識の影響を受ける。全体として、より大きな多様性を目指す取り組みは、事後対応に偏りすぎている。多くの組織は、将来への備えを整え、熟慮に基づく包括的な対応を進めるのではなく、限られた多様性の優先課題に対処し、目の前の課題に追われている。
これを実現するには、複数のステークホルダーによる集団的、個人的な行動を伴う、全体的なアプローチが必要だ。インクルーシブな採用プロセスを支援し、自ら模範を示し、その実現を求める必要がある。エグゼクティブサーチの実務におけるインクルーシビティの戦略的な手段は、コンサルタントのサティヤジート・タクール氏の取り組みを基に、エゴンゼンダーが最近出版した書籍『サーチ2.0』で特定され、紹介されている。シニアリーダーの任用に至る各段階を検討し、再定義しなければならない。インクルーシビティを中核に据えたプロセスは、どのリーダーも排除せず、あらかじめ決められた結果を求めることもない。その結果、エグゼクティブおよび非エグゼクティブの任用において、より大きな多様性につながる。
包括的なアプローチでインクルーシビティに取り組む
リーダー任用のプロセスをよりインクルーシブにするには、まずサーチプロセスに関わる人々の役割から考える必要がある。
新たなリーダーを任用しようとする組織では、採用チームの構成と多様性が重要となる。エゴンゼンダーの分析によると、採用チームの40%超が女性の場合、プロジェクトで女性が採用される確率は40%以上となる。最適な構成は女性が40~60%の採用チームとみられ、これは女性採用者の割合がおよそ47%に相当する。
研究はまだ初期段階だが、現在の分析では、エグゼクティブサーチ会社が編成する人材紹介チームの構成についても、同様の結果が示されている。女性コンサルタントは平均して、男性コンサルタントよりも面接に進む女性候補者を多く推薦する。各社の世界全体のサーチ案件において、女性コンサルタントが主導したサーチは、少なくとも1人の女性候補者を面接段階に進めた割合で、男性コンサルタントが主導したサーチを25%上回った。
ダイバーシティ、公平性、インクルージョン(DEI)に関する知識も同様に重要だ。分析によると、DEIに関する知識、言葉遣い、能力、参加への関与と、多様な人材の採用割合との間には正の相関がある。DEI推進担当に任命されたコンサルタントは、性別を問わず、コンサルタント全体と比べて女性候補者の採用が20%多かった。
候補者の審査。エグゼクティブサーチにおける3つ目の主要なステークホルダー群である候補者に目を向けると、候補者に独自にアクセスできることは、候補者に接触する能力だけにとどまらない。エグゼクティブサーチ会社の個々のコンサルタントや大企業の社内採用担当者が時間をかけて築いた信頼性、親密さ、信頼関係があって初めて得られる、候補者に関する他では得られない独自の知見も含まれる。研究によると、特定の属性(例:ジェンダー、民族、性的指向、障害、年齢、社会経済的背景、国籍、地域的アイデンティティ、宗教的アイデンティティなど)を共有するネットワークへのアクセスや受け入れられやすさは、自分自身がその属性を持つことと正の相関がある。ここからも、人材紹介チームにおける多様性の重要性が示される。
ダイバーシティ、公平性、インクルージョンについて、世界経済フォーラムはどのような取り組みを行っているのでしょうか?
新経済・社会センターは、経済や技術の変化によって仕事、スキル、機会がどのように変容しているかを理解するため、リーダー同士をつなげている。
知見の共有と協働を通じて、同センターはパートナーが、人々や社会の移行を支えるインクルーシブな経済モデルを探求できるようにしている。
サーチ戦略:サーチ戦略では、候補者層の多様性が過度に厳密な検索条件によって大きく損なわれることがある。これは少数の法則、つまりシニアリーダー層では過小代表の候補者が少ないという現実による。職務要件については、例えば男性形の言葉を選ぶなど、文章の表現を通じて認知バイアスが入り込む可能性に留意することが重要だ。特定の言葉が候補者の反発を招いたり、感情的な反応を引き起こしたり、不快感を与えたりする場合がある。
「ショートリスト」。サーチの実施にあたっては、候補者のプロフィールを、最も重要な点に焦点を当てて提示すべきだ。例えば、直近の職務経験をより重視し、年齢や国籍より前に示す。多様な候補者層が形成されるまでは、面接を開始すべきではない。エゴンゼンダーの分析によると、「ショートリスト」に多様性がある場合、多様な人材を採用できる可能性が大幅に高まる。例えば、面接候補者に女性が1人だけの場合、女性が採用される確率は30%だが、2人なら45%、3人なら60%に上昇する。
面接。面接段階では、さらに多くのことを考慮すべきだ。履歴書からは分からない候補者の実体験は、個人的、職業的な成長のきっかけとなり得るため、尊重されるべきである。多様性に関する統計は、重点を定める助けとなる。面接プロセスは、構造化し、すべての候補者に同じ順序で同じ質問をするべきであり、できれば実務課題を用いたテストも取り入れる。候補者を適切に評価するには、潜在的なバイアスへの認識が必要であり、構造化された話し合いのための評価調整用テンプレートを活用すべきだ。
最終決定。最後に、採用を決定した後は、インクルーシブな雇用条件を整え、組織に加わるシニアリーダーに対し、最初の180日間に定着へ向けた積極的な支援を提供すべきである。
最終的に、インクルーシビティはエグゼクティブサーチのプロセスで後付けにするのではなく、出発点とすべきだ。採用企業やエグゼクティブサーチ会社は、すでにサーチの取り組みをインクルーシブに見直す試みを進めており、他社もこれに続くべきである。BPは、データに基づく複数の取り組みを実施しており、その一つである「インクルーシブな採用」はすでに好影響を示している。エグゼクティブサーチ業界とその顧客は、すべての採用依頼においてインクルーシビティを優先事項としなければならない。真にインクルーシブなリーダー任用のプロセスと、より多様なエグゼクティブおよび非エグゼクティブのチームを実現するには、こうした取り組みを検証し、改善することが不可欠である。
