ジェンダー平等?その出発点はデータ

Office workers are seen in the London Place business district near Tower Bridge in central London February 9, 2011. Britain finalised a tortuous deal with banks on Wednesday to curb bonuses and boost lending to business, but critics said the agreement would be hard to enforce and mere "political theatre".REUTERS/Toby Melville (BRITAIN - Tags: BUSINESS CITYSCAPE) - LM1E72917DL01
Without a more data-driven focus on the needs of women and girls in particular, progress will suffer.Image: REUTERS/Toby Melville
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今週開催中の今年の国連総会年次会合で重要議題となるのは、持続可能な開発目標(SDGs)に関する世界の進捗状況を評価することだ。SDGsは、2030年までに世界最大の課題を解決するための、国連が合意したロードマップである。

私は、SDGsに先立つミレニアム開発目標の策定を支援した国連チームの一員だった。MDGsが2015年に終了するまでに、世界の保健と開発において、かつてないほど急速で広範な進展の一部を後押ししていた。MDGsはSDGsへの道を開き、ポスト2015年開発アジェンダを継続するという国際社会の決意に、私は励まされてきた。

しかし、女性と女児のニーズに、より意図的なデータに基づく焦点を当てなければ、幅広い目標に向けた進展が損なわれることも、私や他の人々には明らかになってきた。あらゆる人々のジェンダー平等を実現できなければ、貧困の撲滅から健康の確保に至るまで、多くの目標を達成できない。

私がMDGsに対して個人的に感じていた不満の一つは、ジェンダー平等が行動よりも理念として語られることのほうが多かった点だ。エンパワーメントを掲げていたにもかかわらず、MDGsは、ジェンダーに基づく暴力や経済的差別など、女性や女児が直面する最大の課題の多くを十分に対象としていなかった。こうした取りこぼしが続いてきたのは、MDGsが策定されていた1990年代には、私を含む多くの人々が、問題の規模や複雑さを十分に理解していなかったためだ。

SDGsで同じ結果を招いてはならない。ジェンダー平等の実現は、一世代に一度の機会であるだけでなく、ほぼすべての SDGsの進展を促し、誰もが力を発揮できる世界を築くための最善の道でもある。ビル・ゲイツとメリンダ・ゲイツが来週ニューヨークで世界のリーダーが集う会合で議論し、新たな報告書で示すように、ジェンダー不平等のさまざまな側面に取り組み、進展を促すには、集団的な行動が必要だ。

最大の障壁の一つは、土地の権利、教育へのアクセス、家族計画、医療など、女性や女児に不均衡な影響を及ぼす問題について、質の高いデータが不足していることだ。何が機能しているかを理解し、進捗を追跡するにはデータが不可欠である。しかし、17のSDGsの進捗評価のために策定された指標のうち、最新データがあるのはごく一部に限られる。その中には、ジェンダー平等に直接関係する40を超える指標も含まれる。主要なジェンダー平等目標に関連する14の進捗指標のうち、SDG 5について、測定している指標は大半の国でわずか3つにとどまる。

こうした重大なデータ不足を埋めるため、ビル&メリンダ・ゲイツ財団は3年間で8,000万ドルを投じ、プログラムや政策介入の設計と対象設定の改善に役立つ、より信頼性の高いデータを生み出す取り組みを始めた。その一環として財団は最近、各国が収集するジェンダー関連データの質の向上を支援するため、国連女性機関と1,000万ドルのパートナーシップを開始した。また、財団はEqual Measures 2030も支援している。これは、目標に向けた進捗を評価し、女性や女児に関するSDGsの達成を軌道に乗せるため、アドボカシー活動家や市民社会団体に使いやすい根拠を提供し、その活動を後押しする取り組みだ。

こうした取り組みなどにより、ジェンダー平等を求める活動家や意思決定者は、女性や女児の前進を妨げる社会的・経済的障壁の性質と規模について、より良い情報を得られるようになる。また、支援から取り残されている人々を特定する助けにもなる。

既存の証拠から、女性や女児のエンパワーメントが進展を加速させることが分かっている。たとえば、女児が中等教育を受けると(SDG 4)、児童婚をする可能性は最大で6分の1になる。また、思春期の女児の識字率が高いほど、思春期の出生率が低く、健康状態が改善する傾向がある(SDG 3)。同様に、女性は男性よりも、余剰所得を子どもの暮らしを向上させる形で使う可能性がはるかに高い。

女性が基本的な金融サービスを利用できる場合にも、ジェンダー平等の恩恵は明らかだ。信用や預金口座などのサービスにより、女性は事業を始めたり、家族に必要なもののためにお金を貯めたりできる。

一方、農業におけるジェンダー格差の解消は、開発途上地域の家族や生産性に、さらに大きな影響をもたらす可能性がある。たとえば現在、サハラ以南アフリカでは、農業従事者のほぼ半数を女性が占める。それでも女性は一般に、男性より小規模で生産性の低い土地を耕作し、優良な種子や肥料、融資、研修の機会を得られないことも多い。生産資産に関する意思決定で女性の権限を高めれば、農業の収穫量を20%超増加させられる可能性があることが研究で示されている。これは、2030年までに「あらゆる場所で、あらゆる形態の貧困を終わらせる」うえで不可欠だ(SDG 1)。

社会で最も脆弱な立場にある人々が直面する障壁を取り除けば、その効果は大きな変革をもたらす。しかし、それを実現するには、資金提供者、開発パートナー、政府、民間部門が、年齢と性別で分類された、より多くの質の高いデータに投資しなければならない。そうすれば、あらゆる地域の女性や女児のニーズに合わせてプログラムを設計できる。

私たちにとっての課題であり機会でもあるのは、女性や女児の前進を妨げる、根深い障壁を克服することだ。SDGsはその方向への大きな一歩である。しかし、実行可能な戦略を伴わない目標は、善意にすぎない。SDGsは、貧困を終わらせ、誰もがより良く、健康で、安全に暮らせる世界をつくるためのロードマップを示している。質の高いデータを確保することこそ、誰一人として途中で取り残さないための最善の方法だ。

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