アリス・カチェレは、2002年に夫が亡くなるまで、マラウイの農村にある農場で夫と暮らし、働いていた。
夫は幼い3人の子どもを彼女に残したが、家族を守り養ってきた家と農場について、法的な権利証も、ほかのいかなる権利も残さなかった。夫の両親はその財産の権利を主張し、カチェレと子どもたちを追い出した。
カチェレと子どもたちは、マラウイ中部にある両親の農場で暮らすことになった。彼女が少女のころ、初めて土地を耕し始めた場所だった。
彼女は農場で働き始め、義理の家族による土地の取り上げに憤り、女性の土地権利を擁護する活動家となった。
2007年、実父が亡くなったとき、彼女は父の土地の行方が危ういと分かっていた。彼女も母親も自動的に相続できるわけではなかったが、擁護活動の経験から、土地を守るために闘う術を知っていた。
同国は土地保有政策の改革に着手しているものの、マラウイの農村部の土地は今も伝統や慣習に基づいて統治され、地元の首長が管理することが多い。
カチェレは父の土地について首長と話し合いに行き、首長は彼女に1ヘクタール(約2.5エーカー)を与え、土地の質を改善するよう求めた。
彼女は大いに喜んだ。
「土地がなければ、農業も何もできません」と彼女は、金曜日に閉幕する国連第59回女性の地位委員会の2週間にわたる会合で、女性と土地権利をテーマにしたパネル討論の際に語った。
「土地があるので、今は保全型農業を実践しています」と彼女は述べ、木を植え、作物を輪作し、肥料として堆肥を施して土壌を改良していると説明した。
鍬だけで土地を耕し、カチェレはトウモロコシ、大豆、落花生を育て、その半分を売り、残りを家族で食べている。
「家計が潤いました。収穫量は1トンだったのが、今では年間15~20トンです」と、彼女は作物について語った。
正式な権利証はないものの、その土地は息子と2人の娘に相続されると首長も保証しており、彼女はすでに土地を3等分したという。
土地に認められた権利を持つことで、カチェレは自分がアフリカの女性農家の中でも恵まれた立場にあると分かっている。
「アフリカの食料の80%以上を生産しているのに、土地を所有しているのはわずか1%です」と彼女は語った。
世界全体では、農村女性は農作業の66%を担い、食料の50%を生産し、所得の10%を得ている一方、所有する土地は1~2%と推定されると、世界銀行と、世界的な農業研究パートナーシップである CGIARコンソーシアムに助言する専門家、リン・ブラウンは述べた。
世界の多くの地域では、女性は土地を所有することを認められず、土地の権利は女性や少女ではなく、男性や少年に自動的に引き継がれる。
フィリピンでは、約3年前まで、既婚女性の名前が土地の権利証に記載されることさえなかったと、農家であり、フィリピンの小規模農業・漁業団体の連合体 PAKISAMAの代表を務めるイレネオ・セリージャは語った。
土地の権利証を求める女性が直面する最大の障壁は、差別ではなく、近代的な法制度上の意味での土地の権利証がそもそも存在しないことの場合もあると、ブラウンは述べた。
「土地はすべて誰かに所有されていると思われていますが、そうではありません。慣習地であったり、国が所有していたりします」と彼女は語った。
女性が土地の権利証を持っていても、自分の権利を知らないことが多いとブラウンは述べた。
カチェレは現在、 世界農業者機構 の女性委員会で活動家を務め、ほかの女性たちに権利について教え、農業教育の普及サービスや市場へのアクセス拡大を求めている。
「女性にもできます」と彼女は語った。
この記事は、 トムソン・ロイター財団との協力により掲載されています。掲載は、世界経済フォーラムによる見解への賛同を意味するものではありません。
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著者:リサ・アンダーソンは、トムソン・ロイター財団の北米特派員。
画像:ナイロビ西方のケニア高地、ナンディ・ヒルズの農園で茶葉を摘む女性。REUTERS/Noor Khamis。
