企業はかつて、社会政策を政治家に委ねていた。しかし、同性婚、LGBTの権利、南部連合旗の使用をめぐる米国での近年の論争は、企業による社会活動という新たな傾向を浮き彫りにした。その変化を促しているのは、多様性の必要性だ。
南部連合旗を公共の場から撤去すべきだろうか。企業が関心を寄せるとは思いもよらない問いかもしれない。しかし時代は変わり、それとともに、広く一般の人々の意識や企業の役員会で下される決定も変化している。
南部連合旗の問題に関する米国世論は、 人種差別を動機とする襲撃の報道 があったサウスカロライナ州で、教会の礼拝者9人が殺害されて以来、劇的に変化した。殺人容疑者は、何度か南部連合旗とともにポーズを取る姿を撮影されていた。
2013年に YouGovが実施した調査によると、南北戦争時代の旗への寛容度は2013年には高く、公共の場で掲げられているのを見て明確に不支持を表明した米国人はわずか38%だった。銃撃事件以降、 Public Policy Pollingによる世論調査 では、世論に強い変化が起きたことが示されている。回答者の64%が現在、公共の建物に旗が掲げられているのを見ることに反対している。
数十年にわたり南部連合関連商品を扱ってきた大手小売業者は、特に迅速かつ明確な対応を示した。Amazon、Wal-Mart、Sears/Kmart、eBay、Etsy、Google Shoppingはいずれも、南部連合の記章を描いた商品の販売を禁止した。
「南部連合旗とこの画像を含む多くの商品を禁止することにしました。これは現代における分断と人種差別の象徴になったと考えるためです」とeBayは声明で述べた。
こうした動きは、政治的・社会的正義をめぐる問題について立場を表明する他の大企業の動きと並行して起きている。
4月、Wal-Martの最高経営責任者Doug McMillonは、 予想外にも同性愛者の権利を支持する立場を示し、アーカンソー州で強い批判を浴びた「宗教の自由」法案を頓挫させるのに一役買った。その1か月前には、SalesforceのCEO、Mark Benioffが、企業によるLGBTの人々への差別を認めることになったインディアナ州の宗教の自由回復法案に反対する キャンペーン を開始した。また、Goldman SachsやThomson Reutersを含む国内最大級の金融企業28社による強力な連合が、同性婚を禁じる法律の廃止を米連邦最高裁判所に求めた。
企業が寛容の価値観へと舵を切る動きは、顧客の意識の変化と、それに歩調を合わせようとする企業の試みを部分的に反映している。さらに、 多様性が収益に寄与するという証拠も増えている。
米国の有力企業を対象とした調査 では、革新的な企業に女性リーダーがいると成長が促されることが分かった。一方、 Credit Suisseの調査 によると、女性取締役が少なくとも1人いる企業は、6年間で女性取締役がいない企業を26%上回る業績を上げた。また、 実験 では、民族的に多様な金融市場のトレーダー集団は、民族的に同質な集団より正確な判断を下すことが示されており、 多様なチームは学術研究の質を高めることも分かっている。
同質性の低い労働力がもたらす利益を受け、より多くのCEOが、多様性と企業の社会活動は一枚のコインの両面だと結論づけている。
著者:Anna Bruce-Lockhartはデジタル編集者、Mark Jonesは世界経済フォーラムの委嘱編集者。
画像:シンガポールのホンリム公園にあるスピーカーズ・コーナーで、LGBTコミュニティへの受容を促すため、LEDライトを持った人々が巨大なピンクの点を形作っている。 REUTERS/Tim Chong

