昇進の時期を迎え、私の上級管理職チームは、マネージングディレクター候補者の審査を始めて数時間が経ったところで、テーブルを囲んでいた。
「ジョー」を審査する番だった。ジョーは「積極的」で、「いくつかの卵を割った」(多少の犠牲を払った)が、それによって「物事を成し遂げた」。ジョーは計画を上回る成果を出していた。そこでジョーはマネージングディレクターに昇進した。
次は「スージー」だった。スージーは「物事を成し遂げた」が、「積極的」で「いくつかの卵を割った」。スージーは計画を上回る成果を出していたが、好調な市場環境が指摘された。私たちは、彼女のとがったところを丸くするためにエグゼクティブコーチをつけ、翌年にマネージングディレクターへの昇進を再検討できるようにすることを提案した。
私たちがたった今したことに、私が気づいたと皆さんに言えればよかった。しかし、気づいたのは私ではなかった。実際には、私の直属の部下の一人、男性だった。彼が数分後にそのことを指摘すると、私の(女性の)人事部長を含め、私たちは皆かなり衝撃を受けた。方針を改め、二人とも昇進させた。
ビジネス界の女性にとって、落胆させられる話だろうか? その通りだ。これを別の言い方で取り繕うのは難しい。
では、どうすればいいのだろう?
女性として、暗黙のジェンダーに関する期待やバイアスがあるからこそ、メンターやスポンサーからなる「自分の取締役会」を築くことがいっそう重要になる。彼らは私たちの成功に関心を持ち、企業文化に潜む地雷を避けて進む手助けをし、私たちを擁護してくれる人たちだ。その場にいる誰かに、ジョーの業績にとってもスージーの業績にとっても、市場環境は同じように追い風だったと指摘してもらいたい。
また、マネジャーとして、私たち全員が抱える微妙なジェンダー・バイアスに気づく必要がある。それについてチームで話し合い、見つけたら指摘し、教育や研修を提供しなければならない。
さらに、優れたマネジャーは、他者のバイアスによって生じうる「人材裁定取引」に気づくだろう。極端な例を挙げると、私が率いたプライベートバンキング事業の一部は、非常に伝統的なジェンダー観が根強い国で運営されていた。そこで私たちは、その国で最も有能な女性たちを何人も採用した。そして事業の業績は、見事に大成功を収めた。
しかし、私は世間知らずではない。こうしたことを決して理解しない企業やマネジャーもいる。かつて、あるマネジャーが事業レビューの場で、私に私の事業について延々と「マンスプレイニング」したとき、私はそのような人の下で働いているのだと分かった。私には何年もの経験があり、業界トップ級の業績を上げていたにもかかわらずだ。それもまた、はっと気づかされた瞬間だった。彼は決して変わらない。だから、その職場も変わらない。
こうした状況にいる女性には、自分自身ではっと気づく瞬間が訪れることもある。そして、さっさとその場を去るのだ。「分かっている」企業に移ることができる。女性が男性の2倍の割合で起業し始めている理由の一つは、おそらくここにある。起業は、こうした問題の一部を取り除き、自分たちの価値観を反映した企業を築き、市場に成功を判断してもらう手段になりうる。
本記事は、 LinkedInとの協力により掲載されています。掲載は、世界経済フォーラムが見解を支持することを意味するものではありません。
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著者:Sallie Krawcheckは、世界規模の働く女性のネットワークであるEllevate Networkの会長であり、Ellevate Asset Managementの会長でもある。
画像:パリ西部、金融・ビジネス地区ラ・デファンスの遊歩道を歩く女性。REUTERS/Gonzalo Fuentes
