貧困から繊維産業の一大拠点へと飛躍したバングラデシュ、アフリカ諸国に教訓

Bangladeshi women walk to work to garment factories in Dhaka: Thanks to industrialization policies, 84% of Bangladeshi export revenues come from apparel alone.
Thanks to industrialization policies, 84% of Bangladeshi export revenues come from apparel alone.Image: REUTERS
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  • バングラデシュは、ジュートと自給自足農業への依存から、繊維・アパレル分野の世界的な産業大国へと経済を変革し、貧困率を半減させ、国内総生産を大幅に押し上げた。

  • 市場志向の政策、民営化、貿易自由化、戦略的な外国投資が、バングラデシュの衣料品輸出と産業成長を促す鍵となった。

  • 経済の多角化とバリューチェーンの高度化を目指すバングラデシュに対し、アフリカはアパレル産業の次なるフロンティアとして浮上している。同様の成長機会と、持続可能で包摂的な工業化に向けた国際的支援の恩恵を受けられるためだ。

1970年代初頭、バングラデシュ経済は荒廃していた。9カ月に及ぶ戦争を経て、パキスタンから独立したばかりだった。ジュート生産と自給自足農業に大きく依存する、人口密度の高い極貧国として独立したが、国民を養うことにも苦労していた。1974年には壊滅的な飢饉に見舞われた。当時、同国西部を訪れた世界銀行のエコノミストは、その様子をこう表現した。「核攻撃の翌朝のようだった」

それから10年もたたないうちに、外国投資を呼び込む政府の取り組みが実を結び、バングラデシュは農業経済から産業大国へと変貌する道を歩み始めた。繊維・アパレル製造業が、奇跡的としか言いようのない経済・社会の復興をもたらし、今日、途上国が再現を目指している。

産業の民営化や貿易自由化を含む市場志向の政策への転換により、バングラデシュの衣料品輸出は急増した。既製服は 成長の原動力となり、綿のTシャツ、ズボン、プルオーバー、デニムが得意分野となった。過去10年間で、バングラデシュ経済は世界第35位の規模に成長し、貧困率を半減させ、数百万人の国民に雇用を生み出した。新型コロナウイルス感染症のパンデミック前の10年間、経済は年率7%という急速な成長を遂げ、1人当たり国内総生産(GDP)は約2,500ドルに上昇し、隣国インドさえ上回った。

アパレル産業の次なる段階

この実績は、今日、発展の途上にあるアフリカ経済がうらやむものだ。工業化に万能の処方箋はないが、労働力が豊富で低コスト、再生可能資源に恵まれ、特恵貿易協定を結ぶ国々には、次世代の繊維・アパレル産業の一大拠点を築くための条件がほぼそろっている。さらに、バングラデシュとは異なり、アフリカには自国で綿花を栽培できるという利点もある。規模を示すと、2022年にバングラデシュが製造したのは、世界の綿製Tシャツ輸出の20%に相当し、その価値は90億ドルに上った。一方、同国で栽培された綿花は、2%未満にすぎなかったにもかかわらず、「メード・イン・バングラデシュ」のラベルを付けていた。

アフリカがアパレル産業の拡大に関心を寄せる時期が、バングラデシュが単一産業への依存から脱しようとする時期と重なるのは、幸運な偶然かもしれない。最終的にバングラデシュは、2041年までに高所得国入りを目指している。しかし現時点では、輸出収入の84%をアパレルだけに頼っている。これは、輸出加工区で機械の輸入を無関税にすることや、米国、欧州との特恵貿易協定の交渉などを含む、非常に成功した工業化政策の成果だ。バングラデシュが誇るこの戦略により、高度な衣料品産業が築かれ、3,500を超える工場で400万人を雇用し、430億ドル相当の商品を輸出している。輸出先は167カ国に及ぶ。

衣服の裁断、縫製、組み立ては骨が折れ、単調な作業だ。安価な労働力に頼る輸出主導型の成長モデルも、永続するものではない。多くの点で、バングラデシュはアパレル既製服の主導権を次の国に譲り、バリューチェーンを上って、より複雑な衣料品分野や、より大きな富と機会を生み出せる高度な産業へ進む時期に来ている。包摂性はバングラデシュの成功の中心にあり、次の段階の計画にも組み込まれている。アパレル産業の労働力の大半を占める女性たちは、工場の現場を離れた場所でも、経済成長の恩恵を受けてきた。

過去10年間で、バングラデシュ経済は世界第35位の規模に成長し、貧困率を半減させ、数百万人の国民に雇用を生み出した。新型コロナウイルス感染症のパンデミック前の10年間、経済は年率7%という急速な成長を遂げ、1人当たり国内総生産(GDP)は約2,500ドルに上昇し、隣国インドさえ上回った。

フェミ・アキンレビヨ、国際金融公社(IFC)製造業投資・貿易・サプライヤー金融担当グローバルマネージャー

持続可能な成長

私は2023年10月にバングラデシュを訪れ、そのことを目の当たりにした。国際金融公社(IFC)と国際労働機関(ILO)が連携する「ベター・ワーク」や「ジェンダー平等とリターン」などのプログラムは、工場の労働環境を改善し、ジェンダーの多様性を高め、女性に管理職への道を開いてきた。この繁栄の共有が社会にもたらす影響は大きい。バングラデシュの女性の4分の3は読み書きができる。周辺地域の大半の国々の女性と比べ、教育を受け、より高収入の仕事に就き、より健康な子どもを持つ可能性が高い。国際社会が少し支援すれば、開発がもたらす社会的・持続可能性の恩恵は、次の衣料品製造国の集まりにも広がるだろう。

こうした開発のパターンは、これまでにも見られた。バングラデシュの産業の始まりも、よく似たものだった。1978年、バングラデシュ企業のデシュ・ガーメンツ社と韓国の大宇(デウ)が、共同製造契約を結んだ。韓国企業は繊維・アパレル産業で成長の限界に近づいていた。バングラデシュの安価な労働力があれば、手頃な価格の衣料品ブランドを通じて海外展開を広げる一方、多様で複雑、付加価値の高い産業の拡大に注力できると認識していた。この取り決めは双方に利益をもたらした。バングラデシュのGDPは、1980年の180億ドルから2022年には4,600億ドルに成長し、現在では世界有数の繊維・アパレル輸出国となっている。

現在、IFCは次の大規模な産業変革となる可能性のある動きを加速させている。その変化の視線は南のアフリカへと向かう。持続可能で包摂的な工業化に向けた条件が整っているからだ。アフリカ成長機会法などのプログラムにより、すでに米国市場への無関税アクセスが認められている。ケニア、エジプト、ガーナ、エチオピア、マダガスカルなどの企業は、トミー・ヒルフィガー、ユニクロ、チルドレンズ・プレイス、カルバン・クライン、ウォルマートのサプライチェーンに加わっている。欧州からすぐ近くのモロッコでは、欧州市場向けに、ザラなどのブランドの製品を企業が製造している。

この歴史的なサプライチェーンの移行を支援するため、IFCは2023年6月、アフリカの製造業者をバングラデシュとスリランカに招き、地域をまたぐ製造パートナーシップの機会を探るロードショーを主催した。すでにいくつかの取引がまとまっている。私の考えでは、アフリカには、持続可能で強靱かつ収益性の高い経済発展を推進し、グローバルサウスに新たな「タイガー経済」の時代をもたらす可能性のある投資が、これからさらに数多く集まるだろう。

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