世界人口は2022年に80億人、2100年には109億人に達する見込みだ。
保健、テクノロジー、教育の面で社会が進歩したにもかかわらず、繁栄は依然として公平に行き渡っていない。地域および世界の安定を脅かす課題が、人々が世界各地で機会を得ることを妨げている。
ヤング・グローバル・リーダーズは、労働基準の公正化、女性や少女への投資、研究の多様性、SDGsの指針の順守、危機の相互関係への理解、そして世界に向けた真剣な行動の呼びかけを通じて、人口80億人の世界で誰もが平等な機会を得られるようにできると考えている。
世界人口の増加は人類の進歩を物語っている。1800年以降、生存する人の数は8倍になった。2015年の世界GDPは、1820年の90倍だった。世界全体で保健、繁栄、安定が向上したことで、今日の人々は歴史上のどの時点よりも長く、安全に、健康に暮らしている。
誇るべき進歩は数多くある。乳幼児や妊産婦の死亡率が低下し、成人まで成長する人が増えた。医療の進歩と経済成長も、寿命を延ばし、生活の質を向上させてきた。一方、テクノロジーは人間の成長と達成の可能性を広げ続けている。しかし、こうした進歩は均等に行き渡っておらず、不平等、差別、暴力、存亡に関わる脅威が、何十億もの人々の暮らしを損ない続けている。
世界の最貧困層50%が受け取るのは、世界全体の所得のわずか8.5%だ。さらに、世界のジェンダー格差は1世代分拡大しており、人種や民族的出自も多次元的貧困の要因となっている。加えて、気候変動により、2030年までに6,800万〜1億3,500万人が新たに貧困に陥ると予測されている。世界的なパンデミックが続き、地政学的緊張が高まり、経済が不安定化し、インフレが進み、気候変動の影響がますます明白になるなか、不平等は多くの人々の存在を規定し続けている。
こうした課題は、たとえ大規模に展開されるものであっても、個々の取り組みだけで解決するには大きすぎる。現在と未来の世代のために私たちの将来を守り、より公平な世界を築くには、世界規模の協力、共同の取り組み、責任あるリーダーシップが必要だ。
人類の進歩における新たな章を迎えるにあたり、リーダーがいかにしてすべての人に機会への平等なアクセスを保障できるか、6人のヤング・グローバル・リーダーズに見解を聞いた。
ベン・スキナー
Transparentem 創設者兼会長
機会への平等なアクセスとは、公正な労働基準と環境正義を享受する平等な権利を意味する。これは、絶対的貧困から抜け出す道のりの第一歩を踏み出している世界人口の4分の1、とりわけ今なお極度の貧困にある9.2%の人々にとって、特に重要だ。大きな推進力となるのは、グローバル・サプライチェーンのあらゆる階層での独立した調査に支えられた透明性向上の取り組みである。
多国籍企業、投資家、開発金融機関などは、これまであまりにも弱く表面的なものにとどまりがちだったESGの枠組みを超え、実際のデータに基づいて意思決定しなければならない。その際、最も大きな影響を受ける人々から直接得た情報を判断に反映すべきだ。
ケイト・ロバーツ
The Body Agency 創設者兼CEO
解決の鍵を握るのは男性だ。人口80億人の現状を振り返り、この増加を持続させる方法を考えなければならない。女性に投資すれば、女性は学校に通い、仕事に就き、家族を養って力を与え、極度の貧困の連鎖を断ち切ることができる。少女や女性が性と生殖に関する健康のための製品やサービス、教育を利用できるようにすることが重要だ。
その一方で、女性の身体の仕組みについて男性や少年に教えることも重要だが、ほとんど議論されていない。娘たちが生理用品を利用できれば、学校に通い続けられると男性たちが理解することが大切だ。パートナーが家族計画の方法を利用し、自ら選べるようにすることも不可欠だ。多くの場合、障壁となっているのは家族内の男性である。

カルロ・ペレス=アリツィ
Baker McKenzie パートナー
リーダーは、地域社会、民間セクター、政府関係者に働きかけ、この課題に取り組むとともに、あらゆる研究分野に多様性、包摂性、公平性を取り入れるよう促すことができる。この理解は、世界的な保健、教育、テクノロジーの格差に対処する政策の策定を後押しできる。
世界経済フォーラム、ユネスコ、多数のNGOなどの国際機関は、深刻化する問題への対策に取り組んでいる。この問題を好転させるうえで最も重要な変化は3つあると私は考える。(i)教育者や研修担当者の能力を高めること、(ii)テクノロジーの効果的な活用や関与とあわせてアクセスの課題を議論し、テクノロジーの開発者と連携すること、(iii)地域に根ざしたコンテンツを作り、地域の支持を得ることだ。
ソニア・メディナ
The Children’s Investment Fund Foundation 気候変動担当エグゼクティブ・ディレクター
緊急性の高い危機が重なり合い、世界各地の子どもたちを絶えず脅かし、不平等を悪化させている。例えば気候危機は、干ばつ、洪水、土壌浸食を通じて食料不足と結びついている。誰もが機会に平等にアクセスできるようにするには、課題を個別に扱ったり、症状だけに対処したりすることはできない。世界のリーダーは、相互のつながりを踏まえた対応を取らなければならない。
食料危機への対応は、最も脆弱な人々の気候変動へのレジリエンスと栄養状態も改善すべきだ。地域主導の再生型農業は、その両方に対処できる。同様に、気候危機への対応には、クリーンな経済への公正な移行が必要だ。誰一人取り残さないため、労働者の再訓練と技能向上を進めなければならない。
今と未来のリーダーは、隔たりを埋め、包摂的に成長するため、真剣な行動を呼びかけなければならない。
サード・ハヤト・タマン、パキスタン首相府 戦略改革・実施ユニット メンバー
クリスティアン・クロール
IU国際応用科学大学 サステナビリティ教授
「誰一人取り残さない」という原則は、2030年までに達成すべき世界的な枠組みとして国連の持続可能な開発目標(SDGs)に合意した際、各国の国家元首や政府を導いた。しかし、世界は2年連続でSDGsの進展を止めている(図参照)。現在の複合危機――気候、紛争、COVID-19――と、しばしば嘆かれるそれらの相互関連性が状況を悪化させている。一方で、相乗効果のあるアプローチでこれらに取り組む、見過ごされがちな機会もそこにある。SDGsは、ビジネスと政策にこの種のアプローチをもたらす。
サード・ハヤト・タマン
パキスタン首相府 戦略改革・実施ユニット メンバー
私たち一人ひとりが経済成長を推進し、富を生み出すとき、暮らしをより良く、より意義深いものにするという共通の意志がその原動力であることを忘れてはならない。しかし、80億人の市民にとって公平な機会を創出し、持続させるには、取り残された人々、とりわけ低所得国を支えようという共通認識を、今まで以上に広げる必要がある。世界人口は2051年までに98億人に達すると予測され、人口増加の圧力が世界の社会経済的・政治的均衡をさらにゆがめるなか、今と未来のリーダーは、隔たりを埋め、包摂的に成長するため、真剣な行動を呼びかけなければならない。
