男女賃金格差の調査によると、米国の男性医師は40年間のキャリアで、女性医師より200万ドル以上多く稼いでいる。
英国では、女性の一般開業医は男性より15%低い賃金しか得ていない。
ブラジルとドイツでは、医療従事者の賃金に男女格差が見られた。
世界経済フォーラムの「Global Gender Gap Report 2021」によると、男女格差の解消には136年かかる見通しで、2020年より長期化している。
フォーラムによると、女性がこれからの時代の仕事に就く機会を増やす必要がある。
複数の国で数十年前から同一賃金法が施行されている世界では、男女の賃金格差はもう存在しないと思うかもしれない。
そうとは限らない。男女賃金格差の調査によると、米国の男性医師は40年間のキャリアで女性医師より200万ドル以上多く稼いでいる。Health Affairsの報告書で明らかになった25%の賃金格差は、専門分野、勤務時間、勤務地、経験年数を考慮したものだ。
ランド研究所、医師ネットワークのDoximity、米国の医学部の研究者らは、2014年から2019年にかけて、フルタイムで働く医師8万人以上のDoximityのデータを分析した。
「彼女たちは世界でも特に高度な訓練を受けた人々ですが、男性の同僚との間に依然として大きな賃金格差があることが確認されています」と、調査の筆頭著者でランド研究所の医療経済学者、クリストファー・ホエーリー博士はCNBC Make Itに語った。「これは患者や医療制度全体にとって、特に懸念すべきことです」
医療分野で拡大する男女賃金格差は、米国だけの問題ではない。
男女賃金格差は世界的な課題
英国でも同様の問題がある。昨年、保健・社会福祉省(DHSC)は「Mend the Gap: The Independent Review into the Gender Pay Gap in Medicine」を発表し、イングランドの女性病院医師の賃金は男性より18.9%低いと報告した。女性の一般開業医は15.3%、臨床研究に携わる大学教員は11.9%、それぞれ男性より賃金が低い。この比較は、フルタイム換算の賃金に基づいている。
このレビューによると、賃金格差の原因は高賃金の職位に女性が少ないことにある。ただし、年齢や職位、その他の要因を調整しても、男女の賃金格差は残ると指摘している。
Medscapeの「UK Doctor’s Salary and Satisfaction Report 2021」によると、昨年の男性医師と女性医師の賃金格差は3万5,000ポンドだった。2018年の3万2,000ポンドから拡大した数字だ。男性と女性の専門医の間では格差は41%に達し、男性専門医の年間賃金は女性より3万4,000ポンド多い。
ブラジルでは、女性のプライマリ・ケア医の年収は3万8,000ドルである一方、男性は4万9,000ドルだと、Medscapeが2020年に実施した国際調査は報告している。ドイツでは女性の年収が15万7,000ドル、男性は18万9,000ドルだ。
家庭で増す負担
多くの男女賃金格差研究は、採用時の差別、ジェンダー・バイアス、給与の不透明さなど、格差の背景にある同様の要因を挙げている。また、長引くパンデミックが問題を深刻化させたことを示す証拠もある。
女性の医療従事者のほぼ半数が燃え尽き症候群を経験したと答えており、男性では42%だったと、The Lancet掲載の研究が示している。
世界経済フォーラムは、多様性、公平性、包摂性のために何をしているのか?
新経済・社会センターは、経済や技術の変化が仕事、スキル、機会をどのように変えているかを理解するため、リーダーたちをつなぐ。
知見の共有と協働を通じて、同センターはパートナーが移行期の人々や社会を支える包摂的な経済モデルを探ることを可能にする。
COVID-19パンデミック下の医師である親の間に見られるジェンダー差とメンタルヘルスについても、JAMA Networkの最近の研究が明らかにしている。
調査結果によると、母親は父親よりも育児や子どもの教育、家事を担う傾向が強い。母親である医師は、主に在宅で働く、勤務時間を減らす、仕事と家庭の両立により強い葛藤を感じる、抑うつや不安の症状を経験するといった傾向も強い。
男女の賃金格差を解消する
医療分野で大きな賃金格差がある一方、代表性に関する男女格差は95%以上解消されたと、世界経済フォーラムの「Global Gender Gap Report 2021」は報告している。
それでも、報告書によると、全分野で男女の賃金格差を解消するには約136年かかる。2020年の約100年から長期化した。経済面の男女格差の解消には267.6年かかると予測されている。
「パンデミックは職場と家庭の双方で男女平等に根本的な影響を及ぼし、長年の進歩を後退させました。活力ある未来の経済を望むなら、これからの時代の仕事に女性が参画することが不可欠です」と、サーディア・ザヒディ世界経済フォーラム専務理事は述べている。
「今こそ、これまで以上に、リーダーが注力し、明確な目標を掲げ、資源を動員することが重要です。復興の設計に男女平等を組み込むべき時です」
平等の実現に向けて
フォーラムの「Global Gender Gap Report」は、新経済・社会の未来形成センターの取り組みの一環だ。これには、フォーラムの「Closing the Gender Gap」アクセラレーターも含まれる。男女格差を解消するために女性の労働参加を増やし、女性が指導的役割へ進出することを支援する取り組みだ。

