米国の不平等は極端な水準に達し、この国の一握りの家族がどれほどの富を握っているかを誇張気味に伝える見出しも人々を驚かせなくなった。
しかし、経済学者の間では、不平等が貧困層に打撃を与えるだけでなく、経済全体の成長力を弱めているとの懸念が強まっている。
シカゴ連邦準備銀行の研究者3人は、この問題に関する近年の文献を検討し、「富の分布の変化が」2007~2009年の大不況の「影響を深刻化させ、長引かせた」かどうかを調べた。
「富裕層と貧困層の格差拡大が、マクロ経済の総計指標、特に大不況の深刻さに直接的な影響を及ぼすかどうかを問うことが重要だ。大不況では、生産と消費が急激に落ち込み、回復にも時間がかかった」と、ジーン・アムロミン、マリクリスティーナ・デ・ナルディ、カール・シュルツェは、シカゴ連銀エコノミック・レターに記している。
近年、米国の不平等は深刻化し、研究者は最富裕層1%の中の上位と下位の格差まで掘り下げて調べざるを得なくなった。この分野で最も影響力のある研究は、経済学者のトマ・ピケティ、エマニュエル・サエズ、およびガブリエル・ズックマンによるものだ。
ピケティとサエズによると、米国の上位1%が占める所得の割合は約15%から22%に上昇した。上位0.1%の所得割合は6%から11%に、上位0.01%の所得割合は2.5%から約5%に上昇した。
1980年から2014年にかけて、上位1%の税引き後所得はほぼ3倍になり、上位0.1%では約4倍になった。さらに、上位0.01%の税引き後所得は423%急増した。
これに対し、米国民全体の税引き後所得の伸びは61%だった。
シカゴ連銀の著者らは、他の先進国には見られないほど高い不平等が、「純資産がほとんどないことと単純に同義ではない制約を扱う、より包括的な枠組みの中で、借入制約や限界消費性向について考える重要性」を強めていると論じている。
実際には、経済全体の力強い成長が、広範に存在する弱さや、低所得の消費者が抱える脆弱性を覆い隠す可能性があるということだ。
「モデルはまた、金融流動性へのアクセスの不平等が、景気後退期の消費動向に及ぼし得る影響も浮き彫りにしている」と、著者らは記している。
「本稿で示すように、大不況後、家計の制約を示すさまざまな指標は恒久的に悪化しており、経済が総需要ショックにどう反応するかを考える際には慎重さが求められる。」
