専門家の予測によると、米国の黒人居住地域では、2050年までに洪水リスクが少なくとも20%上昇する見込みだ。
科学者らは、米国全土を対象に、街区ごとの洪水の影響を詳しく示す新たな洪水リスクマップに基づいて研究を行った。
他の研究でも、有色人種のコミュニティがより大きな環境上の脅威に直面していることが示されている。
提言には、洪水が起きやすい地域での開発規制や、洪水への適応策への投資拡大が含まれる。
専門家の予測によると、米国の黒人コミュニティでは、今後30年間で居住地域の洪水リスクが少なくとも20%上昇する。
英国と米国の科学者らは、米国全土を対象に、街区ごとの洪水の影響を詳しく示す新たな洪水リスクマップをモデル化した後、警告を発した。
「それらの地図は、規模の異なるさまざまな洪水を網羅しています。数年ごとに起こり得る厄介な洪水から、千年に一度の大災害までです」と、科学者らは『The Conversation』の記事で説明している。
英国のブリストル大学が主導し、学術誌『Nature』に掲載されたこの研究は、洪水が異なるコミュニティに不均等な影響を及ぼす仕組みを調べている。
現在、洪水は米国にどのような影響を与えているのか?
科学者らによると、洪水による米国の損失額は、すでに年間平均320億ドルを超えている。2050年までには400億ドルを超えると予測されている。
研究によると、現在、低地にあり大雨のリスクがある地域では、貧困にあえぐ白人コミュニティが洪水の最も高いリスクにさらされている。
こうしたコミュニティは、米国北西部、北東部、メキシコ湾沿岸のほか、米国北東部のアパラチア地域に位置している。
将来の洪水は米国の黒人コミュニティにどのような影響を及ぼす可能性があるのか?
しかし、海面上昇により、高潮や満潮の影響がさらに内陸まで及ぶと予測されている。つまり今後30年間で、洪水リスクの負担は「大西洋岸とメキシコ湾岸に多く暮らすアフリカ系米国人のコミュニティに不均衡に重くのしかかる」と科学者らは警告している。
フロリダ州、バージニア州、テキサス州など米国の沿岸州には、都市部にも農村部にも、黒人が多数を占めるコミュニティがある。
科学者らによると、こうした地域では今後30年間で洪水リスクが少なくとも20%上昇すると予測されている。
気候変動と有色人種のコミュニティについて、他の研究は何を示しているのか?
他の研究でも、有色人種のコミュニティがより大きな環境上の脅威に直面していることが示されている。
2017年に学術誌『Science』に掲載された論文は、主に米国南岸地域のアフリカ系米国人コミュニティが、海面上昇によるリスクに最もさらされていると報じたと、NBCニュースは伝えている。
気候変動は、不利な立場にあるコミュニティにより大きな影響を及ぼすことが知られている。
例えば、米国では、黒人、ヒスパニック系、ネイティブアメリカンのコミュニティが直面する山火事のリスクは50%高いと、学術誌『PLOS ONE』に掲載された研究は示している。また、大気汚染による黒人米国人の死亡者数は、他の人々の3倍に上る。
この気候格差に対して、どのような解決策があるのか?
ブリストル大学の研究に携わった科学者らは、洪水が起きやすい地域での開発を規制すべきだと提言している。
「都市部が拡大するにつれて、人々は既存の氾濫原へと広がるなど、より危険な場所に建物を建てています」と、科学者らは述べている。
米国の人口増加に伴い、こうした開発が加速している。
解決策は、より強力な建築基準とともに、「最もリスクの高い地域での新規開発を制限する、より厳格な地域の土地利用規制」だと、科学者らは提案している。
また、貧困層のコミュニティには、経済的救済プログラムを含む洪水適応策や災害復旧への投資を拡大する必要があると、科学者らは提言している。
気候・環境リスクは、世界経済フォーラムの新たな『グローバルリスク報告書2022』で、上位10のリスクのうち5つを占める。同報告書の「気候正義チャレンジ」は、気候変動の影響を最も受けるコミュニティのために、環境面および社会経済面の解決策を前進させることを目指している。

