窓設置型ヒートポンプは集合住宅をより持続可能にできるか。ニューヨークが先導する方法とは

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  • 集合住宅向けに小型化されたヒートポンプが、ニューヨークで試験運用中である。

  • 成功すれば、同市の住宅公社は今後2年間で4,000台を導入できる可能性があり、建物のエネルギーコストと排出量の両方を削減できる。

  • 世界経済フォーラムのFostering Effective Energy Transition 2023 報告書によると、ヒートポンプは、エネルギー移行を成功させるために不可欠な多くのソリューションの一つである。

「19世紀の技術であり、21世紀のニーズとは相容れない。」

これは、ニューヨーク市住宅公社(NYCHA)が、同公社の管理する2,400棟の建物に暮らす528,000人が利用している、古く非効率的な蒸気暖房ボイラーおよびラジエーター網を表現する言葉である。

これらの建物のエネルギーコストとCO2排出量の両方を削減することを目的に、同公社は窓設置型ヒートポンプの試験運用を行っており、集合住宅での利用に向けたものだとEuronewsが報じている。

ニューヨーク市はアパートにヒートポンプを設置している。
ニューヨーク市はアパートにヒートポンプを設置している。
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ヒートポンプの仕組みとは?

建物からは、世界のエネルギー関連CO2排出量の26%が生じており、 国際エネルギー機関(IEA)によると、そのうち直接排出が8%、電力・熱利用に伴う間接排出が18%を占める。

ヒートポンプは建築物関連の排出に対処するための効率的で持続可能な手段であるが、これまでは大きさや設置スペースの制約から、集合住宅には実用的ではなかった。

この技術は、熱をある場所から別の場所へ移動させることで機能し、建物を暖めるために外部から熱を取り込むか、室内の熱を外に排出して冷却する。 熱は、 外気、水源、地中、産業からの余熱などさまざまな熱源から取り込んだり、それらへ排出したりできると、国際再生可能エネルギー機関(IRENA)は述べている。

ヒートポンプは、消費される電力1単位につき、4単位の熱エネルギーを生み出すことができる。Image: IEA

ヒートポンプが消費する電力の1単位ごとに、熱エネルギー4単位を生み出すことができと、IEAは述べている。化石燃料による方式の1対1の比率と比べると差は大きい。建物の冷暖房に必要な電力が少なくなるため、ヒートポンプは従来のシステムより効率が高く、運転コストが安く、CO2排出量も少ない。

ポータブル型ヒートポンプ

ヒートポンプを家庭用エアコン本体ほどの大きさまで小型化することで、賃借人を含む集合住宅の居住者も、より持続可能な冷暖房を取り入れられるようになる。

ほとんどのヒートポンプは、ダクトの設置や、大型の外付けコンプレッサーを含む大がかりな配線を必要とするため、集合住宅の賃借人が購入する動機は乏しい。

しかし、NYCHAが試験中のヒートポンプは、窓辺の出っ張りにまたがるように収まる薄型のエアコンのような形状で、半分が室内、半分が室外に配置され、ダクトや配線、工事を不要にしている。本機は数分で設置でき、電源は電気コンセントに差し込むだけで済む。

中央集中型のボイラーシステムを備えた公営住宅では利用者がほとんど、あるいはまったく管理できないのとは異なり、賃借人は自分の住戸の冷暖房を完全に管理でき、コストとカーボンフットプリントの両方を削減できる。居住者が引っ越す場合は、本機を電源から外して新居へ持ち運ぶだけでよい。

ヒートポンプの販売が鈍化している理由

ヒートポンプは環境に優しく、エネルギー使用量、ひいては光熱費を削減できる一方、既存の燃焼式暖房システムと比べると購入費用が高い。

しかし、IRENAによると、ヒートポンプは建物内の既存のガス設備と組み合わせることで、既設のガス焚きボイラーによる効率の損失を最小限に抑えることができる。

2022年にEU域内で約277万台のヒートポンプが販売された。Image: 欧州ヒートポンプ協会

欧州では、暖房と冷房の電化競争は鈍化しており、過去約10年の力強い販売成長は近年、頭打ちになっている。14の欧州連合加盟国におけるヒートポンプの前年比販売台数は、2023年に5%減少し、ほぼ277万台から約264万台に減少した。

域内の販売は、新興市場の支援を目的としていたEUのヒートポンプ行動計画の延期の影響を受けた。

2022年、米国の空冷式ヒートポンプの販売台数はガス炉の販売台数を上回った。Image: MIT Technology Review

この減速は米国市場にも表れているが、ヒートポンプの販売は依然として、ダクトを通じて住宅に空気を送って暖房するガス焚き炉の販売を、2年連続で上回った。

欧州と同様、この減速は約10年にわたる堅調な成長の後に起きたものである。2023年には米国のガス炉の販売が空冷式ヒートポンプより大きく落ち込み、2022年にはヒートポンプの市場シェアが相対的に拡大したことを示している。

世界経済フォーラムは、持続可能な都市開発を推進するために何をしているのか?

都市は世界の温室効果ガス排出量の75%に責任を負い、世界人口の半数以上が暮らしている。その数字は2050年までに3分の2に増加する見込みである。よりクリーンなエネルギーを優先することで、都市は地球温暖化を2°C未満に抑えるために必要な排出削減の半分以上に貢献できる可能性があり、これはパリ協定に沿うものとなる。

2050年までに、ネットゼロかつ自然再生型の都市 とコミュニティを実現するため、世界経済フォーラムは、地域での行動を通じて世界的な野心を推進する取り組みにおいて、官民のステークホルダーと提携している。以下はその一部である:

  • ダボス・バウカルチャー同盟: 建築環境における気候変動への強靭性、持続可能性、循環性の原則に基づき、建築物、インフラ、公共空間の高品質な計画、建設、管理を推進する。 詳細はこちら。

  • グローバル・ニュー・モビリティ連合:渋滞と排出の削減、EVインフラの強化、都市の移動と配送の変革に向けた新たな解決策を模索する。 詳細はこちら。

  • 都市イノベーション・アライアンス:生活の質と地域経済を再構想し、形作る新たな市場や機会に、イノベーターと起業家をつなげる。 詳細はこちら。

  • G20グローバル・スマートシティ・アライアンス:都市や地域コミュニティが直面する最も差し迫った課題に取り組み、気候変動への強靭性を構築し、公共の福祉を高めるための、知的で実用的な解決策を加速させる。 詳細はこちら。

  • 旅行・観光の未来:文化遺産を守り、自然生態系を保護しながら、包摂的で持続可能な経済成長を推進する。 詳細はこちら..

都市とコミュニティをより持続可能で住みやすいものにする取り組みに、どのように参加できるかをご覧ください。お問い合わせは こちら。

世界経済フォーラムのFostering Effective Energy Transition 2023報告書は、ヒートポンプを 必要とされる多くのソリューションの一つとして位置づけ、エネルギー移行を推進するよう求めている。

既存の化石燃料システムをヒートポンプに置き換えることで、世界のCO2排出量を少なくとも5億トン削減できる可能性があり、2030年にはこれが、現在の欧州の全自動車の年間CO2排出量に相当すると、IEAは述べている。

エネルギー移行はイノベーションによって推進される。ニューヨークの場合、より小型で持ち運びやすいヒートポンプの試験運用が成功すれば、今後2年間で4,000台の小型化された機器が導入され、集合住宅の賃借人に持続可能なエネルギーへの投資の動機を与えうる。

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