バングラデシュの新たな再生可能エネルギー政策は、同国のグリーンエネルギー移行にとって極めて重要です。
エネルギー部門は資本集約度が高いため、このグリーン移行の目標を達成するには、多額の初期資本が必要です。
バングラデシュは、この移行を後押しする好ましい資金調達環境の整備に取り組むべきです。
かつて急成長を遂げた発展途上国であるバングラデシュは、国の成長軌道を取り戻すため、さらなる経済改革を必要とする移行期にあります。経済の根幹をなすエネルギー部門は、経済再生に必要な推進力となるとともに、グリーン移行とエネルギー自立の実現を支えます。バングラデシュ政府の新たな再生可能エネルギー政策は、同国のエネルギー移行にとって極めて重要です。同政策は、電力供給に占める再生可能エネルギーの割合を2030年までに20%、2040年までに30%とすることを目指しています。
エネルギー部門は資本集約度が高いため、このグリーン移行の目標を達成するには、多額の初期資本が必要です。エネルギー経済・金融分析研究所(IEEFA)の評価によると、バングラデシュが2030年の再生可能エネルギー目標を達成するには、年間最大9億8,000万ドルが必要です。今後10年間には、年間最大14億6,000万ドルが必要となります。目標達成に向け、バングラデシュは現在の年間投資額2億3,800万ドルを、今後5~15年間で4~6倍に増やす必要があります。
しかし、バングラデシュのグリーンエネルギーへの資金調達には、政策の頻繁な変更、電力購入者のリスク、複雑な融資実行手続き、用地取得の課題など、いくつもの障壁があります。さらに、最近の急激な通貨下落と信用格付けの引き下げが、資金流入を妨げて同国の再生可能エネルギー部門への資本流入を阻んでいます。
クリーンエネルギー部門には、政策・規制面の介入と国際公的金融機関からの資金支援が必要です。政策の予見可能性、リスク軽減手段、規制の調整、政府と国際機関の連携により、バングラデシュのグリーンエネルギー移行に必要な大規模資本の動員を後押しできます。
政策の予見可能性と改革
政府は、投資家や再生可能エネルギー事業の開発者が事業の収益性をより明確に見通せるよう、安定したエネルギー政策を確保すべきです。再生可能エネルギー事業への投資家の信頼を得ることも重要です。例えば、突然の変更ではなく、非公募による事業採択から競争入札への段階的な移行が、この課題の解決に役立ちます。
さらに政府は、大規模事業者と小規模事業者が公平に競争できるよう、貿易政策を合理化すべきです。政府は2026年度予算で輸入インバーターの関税を引き下げましたが、小規模太陽光発電事業の導入を加速させるため、他の主要部品についても同様の措置を検討すべきです。
支払い保証の仕組み
バングラデシュ政府は、再生可能エネルギー事業者に政府保証を提供し、電力購入者のリスク、債務不履行、支払い遅延を軽減する「実施協定」条項の再導入を検討できます。また、インド太陽エネルギー公社のように、再生可能エネルギー事業者への支払いを保証する資金調達の仕組みを設けることもできます。多国間開発銀行(MDB)や二国間金融機関は、こうした支払い保証の仕組みの構築を支援できます。
為替リスクへの対処
バングラデシュ政府は、MDB、国際気候金融機関、二国間金融機関の支援を受け、為替リスクを軽減するヘッジ機能を整備できます。この仕組みで外貨スワップの費用を補助すれば、再生可能エネルギー企業は妥当なコストで外貨建て融資を受けられます。国内資本だけでは不十分なため、バングラデシュのエネルギー移行には海外資本が必要です。
世界経済フォーラムは、クリーンエネルギーへの移行をどのように促進しているのでしょうか?
エネルギー・素材センターは、エネルギー、素材、産業システムを変革する複雑な移行を理解するため、リーダーたちをつなぎます。また、エネルギー安全保障、手頃な価格、持続可能性がどのように交差するかを探る場を提供します。
バリューチェーンや地域を越えた連携を通じて、同センターは、安全で低炭素かつ公平な移行に向け、パートナーが実践的な解決策で足並みをそろえるための共通の道筋を築きます。
小規模再生可能エネルギー事業向け既存融資制度の見直し
小規模再生可能エネルギー事業向けの借り換え制度は手続きが長く煩雑で、多くの借り手が利用できません。
借り換えではなく事前融資を導入すれば、借り手がバングラデシュ銀行のグリーンファンドを利用する動機づけになります。従来型の銀行は、農村地域の小規模再生可能エネルギー事業への融資にあまり関心を示していません。そのため中央銀行は、マイクロファイナンス機関(MFI)が低コストのグリーン資金を活用し、農村地域の小規模再生可能エネルギー事業に融資できるようにすることを検討できます。この規制変更により、農村地域での屋上太陽光発電、太陽光灌漑、バイオガス事業の加速が期待できます。
官民連携(PPP)
PPPは、政策面や行政面の課題に直面する再生可能エネルギー事業に民間資本を呼び込むうえでも重要な役割を果たします。政府は、用地取得、送電、電力購入契約の締結を支援することで、民間部門による資金調達と事業開発を促せます。この電力購入契約モデルは、産業化を目的に設置された経済特区で、民間部門が再生可能エネルギー事業に参加する際に適しています。政府はすでに経済特区向けの土地を割り当てているため、指定地域で民間事業者が再生可能エネルギー事業を実施・運営できるようにし、用地取得の遅れを回避できます。
信用保証で民間資本を呼び込む
政府はMDBや二国間機関の支援を受け、信用リスクの一部を補填する信用保証制度を設けることで、電力事業規模の再生可能エネルギー部門に民間融資資本を呼び込めます。この制度は、小規模再生可能エネルギー事業が、低金利、長期融資、担保不要といったより有利な条件で融資を受ける助けにもなります。
例えばバングラデシュ銀行は、農村地域の小規模事業への融資に関心を持つMFIに対し、ポートフォリオ信用保証を提供できます。これにより、MFIは農村地域の小規模再生可能エネルギー事業に低金利で融資しやすくなり、こうした地域でのグリーンエネルギー移行が促進されます。信用保証は、譲許的融資と比べて民間資本を呼び込む力が大きく、公的資本のより効果的な活用方法です。
バングラデシュのグリーンエネルギー移行に資金を供給するには、エネルギー部門の改革、資金調達におけるリスク軽減手段の活用拡大、金融規制の調整、実施策の円滑化が必要です。グリーンエネルギー移行は、エネルギーコストの削減、エネルギー安全保障の強化、財政状況の改善につながり、いずれも成長の回復と持続可能な開発という同国の目標に欠かせません。バングラデシュは、この移行を後押しする好ましい資金調達環境の整備に取り組むべきです。


