新たな研究により、ポプラが経済的に実現可能なバイオ燃料原料となる可能性が示された。
手頃な価格のバイオ燃料を生産する取り組みにおいて、ポプラは太平洋岸北西部で有望な選択肢の一つだ。豊富に生育し、成長が速く、さまざまな地形に適応するうえ、その木材から、バイオ燃料や、私たちが日常生活で頼りにする高付加価値化学製品に使われる物質を作ることができる。
研究者たちはポプラからエタノールや化粧品・洗剤用の化学物質まで、さまざまなものを作れる可能性を検証しているが、ポプラの商業規模の加工工場はまだ実現していない。主な理由は、生産コストが現在の石油価格に対してなお競争力を欠くことだ。
現在、研究チームは、通常の10~20年周期ではなく、わずか2~3年で収穫できる若いポプラの生産を試し、ポプラを競争力のある選択肢にしようとしている。
これらの木は、成木に比べれば幼木にあたり、より密に植えられる。収穫のたびに切り株から枝が多く伸びるように伐採するため、同じ根系を最長20年間利用できる。この方法は「萌芽更新」と呼ばれ、こうして育てられる木は萌芽更新ポプラとして知られている。
研究チームは、葉、樹皮、茎を含む若い木全体を、別々の2つの工程で生物由来の油製品であるバイオオイルとエタノールに変換することに初めて取り組んだ。その成果はこの夏、2本の論文として発表された。1本はACS Sustainable Chemistry & Engineering、もう1本はBiotechnology for Biofuelsに掲載され、バイオ燃料への萌芽更新ポプラの利用に明るい見通しを示している。
「給油所に一歩近づく」
「私たちの研究により、安価で大量に供給できるというバイオ燃料原料の条件を満たす選択肢として、萌芽更新ポプラが有望であることが示されました」と、ワシントン大学のバイオ資源科学・工学課程の博士課程学生で、両論文の筆頭著者であるチャン・ドウ氏は述べる。「今回の知見は将来のバイオ燃料産業にとって重要です。最終的な目標は、萌芽更新ポプラ由来のバイオ燃料を給油所に一歩近づけることです。」
これまでの研究の多くは、成熟したポプラの木材チップに焦点を当ててきた。主な理由は、木材部分にエタノールや化学製品の製造に重要な糖が最も多く含まれるためだ。先行研究では、ポプラの木材チップが実現可能なバイオ燃料源であることが示されているが、特に木を10年以上に一度しか伐採しないことから、依然として採算が合わない。
さらに、幹だけを使うと木のほかの部分は廃棄され、工程の効率が下がり、無駄も増える。しかし、ポプラを農作物のように密植し、木全体をより短い周期で収穫すれば、コスト面で採算が取れ、投資回収期間も短くなる可能性があり、農家にとっても魅力が高まる。
研究者らは、石油主導の市場にバイオ燃料が食い込むには、代替燃料が経済的に成り立たなければならないと強調する。
「再生可能資源から燃料や化学製品を生産することには、環境面での動機があります。しかし現時点では、安い石油価格に対抗するには十分ではありません。そこが問題です」と、ワシントン大学環境・森林科学部の准教授で、論文の責任著者であるレナータ・ブラ氏は述べる。
畑から燃料へ
この研究では、研究者らは2012年春、調査対象4地点の一つであるオレゴン州ジェファーソンで、木を列状に密植した。そして、葉が落ちる前の2年未満後に収穫した。
研究チームはまず、高温・高圧と酵素を用いて木材を分解し、糖にする工程で、若いポプラの木全体を糖に変換できるかを検証した。そこから糖を発酵させれば、エタノール、酢酸、乳酸などの有用な化学物質を作ることができる。
木を加工した結果、葉は糖の総生産量を下げることが分かった。葉はもともと糖分が少ないだけでなく、糖の放出を妨げるほかの化学物質も含んでいるためだ。商業規模に拡大する際には、葉を取り除き、家畜の飼料など別の用途に使うのが望ましい。
研究チームは同じ区画のポプラ全体を、はるかに高い熱(摂氏500度以上)を使って木の成分を直接バイオオイルに変える別の変換工程でも試験した。この工程は「熱分解」と呼ばれる。この暗褐色の油を、ガソリンやディーゼルに似た輸送用燃料に変換する研究が進められている。

実験では、葉を含めても生成されるバイオオイルの品質に大きな違いはないことが分かった。規模を拡大すれば、葉と枝を分けずに同等の品質の油を得ることで、生産者は最終的に時間と費用を節約できる可能性がある。
将来のポプラ生産施設では、両方の方法を活用し、原材料の現在の価格や製品の販売価格などを考慮して、どちらがより経済的かを判断できるとドウ氏は説明する。
この研究で用いた若いポプラは、実際の萌芽更新で切り株から伸びる新芽とよく似た性質を持つ。この伐採方法なら、通常の植林で必要となる根の掘り起こし、土壌の準備、新たな苗木の植え付けにかかる手間と費用を加えずに、2年ごとに最長20年間、木を収穫できる。
研究者らによると、最終的には萌芽更新ポプラが、太平洋岸北西部の生産者にとってバイオ燃料生産におけるコストと信頼性の最適なバランスとなる可能性が高い。
「現在、私たちは、収益化できる生態系サービスのためにポプラをどう育てられるかを検討しています」とブラ氏は述べる。「将来は、複数の環境上の便益をもたらし、農村地域を活性化し、十分に発展したバイオ燃料産業への橋渡しとなるバイオベース産業を思い描いています。」
ブラ氏の研究は、米国農務省国立食糧農業研究所が資金を提供する「Advanced Hardwood Biofuels Northwest」プロジェクトの一環だ。このプロジェクトは、ポプラを原料とする太平洋岸北西部のバイオ燃料・バイオベース産業の基盤づくりを目指している。


