気候とエネルギー安全保障が密接に結びついている理由

Wind turbines on snowy mountains
The clean energy transition could offer an opportunity to supercharge growth.Image: Unsplash/jasonblackeye
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  • ロシアのウクライナ侵攻以降、供給への脅威や価格上昇を受け、エネルギーの優先課題は変化した。

  • 各国とその指導者は、差し迫ったエネルギー需要と長期的なグリーン目標との隔たりに対処しなければならない。

  • IEAのファティ・ビロル事務局長は、輸入石油・ガスへの依存を減らすため、クリーンエネルギーへの投資を拡大する必要があると論じている。

  • 長期的なエネルギー安全保障は、太陽光や風力から原子力、電気自動車、炭素回収まで、クリーン技術の組み合わせにかかっている。

数年前、エネルギー供給が豊富だった時代、世界の焦点はネットゼロの炭素排出を達成するため、化石燃料の使用を抑えることにあった。今日では、ロシアのウクライナ侵攻以降、供給への脅威や価格上昇を受け、優先課題が変化している。手頃で信頼できるエネルギーを確保しようとする動きは、気候変動対策を危うくしかねない。各国とその指導者は、差し迫ったエネルギー需要と長期的なグリーン目標との隔たりにどう対処すべきだろうか。

本号の『ファイナンス・アンド・ディベロップメント』では、エネルギー政策のリーダーたちが、地政学的緊張のなかで、より環境負荷の小さいエネルギー源への移行がどこまで進んでいるかを検討する。

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世界はエネルギー安全保障か気候変動対策かの二者択一を迫られているというのは誤りだと、国際エネルギー機関(IEA)の事務局長、ファティ・ビロル氏は記している。同氏は、現在の危機を化石燃料への依存を深める口実にしないよう警告する。実際、この状況は、輸入石油・ガスへの依存を減らすために、エネルギー効率の向上、再生可能エネルギー、電化、さまざまなクリーン燃料を含むクリーンエネルギーへの投資を拡大すべき理由を強めているという。

エネルギー分野の権威で著述家のダニエル・ヤーギン氏は、エネルギー転換には慎重な計画が必要であり、経済の混乱を招く代償を伴えば、世論の支持を失うと警告する。これは特に、保健、貧困、経済成長など、ほかの優先課題にも取り組む途上国で懸念される。「主張が分析よりも優先されることがあまりにも多かった」と同氏は記す。

しかし、欧州の供給問題は今まさに起きている。IMFのアンドレア・ペスカトーリ氏とマーティン・シュトゥルマー氏は、石油市場とガス市場の構造的な違いを説明するとともに、エネルギー危機をより広い視点から捉える。欧州のシンクタンク、ブリューゲルのイェロミン・ツェッテルマイヤー氏らは、域内のエネルギー市場を開放したまま、エネルギー需要を減らして供給を増やし、脆弱な消費者を補償する「大きな合意」を結ぶよう、欧州連合(EU)加盟国に呼びかけている。

Image: IMF

新興国・途上国にとって、クリーンエネルギーへの移行は成長を大きく加速させる機会になると、ハーバード大学のリカルド・ハウスマン氏は述べる。グリーン技術への投資は価値と雇用を生み出し、これらの国々が脱炭素化をさらに進めることを可能にすると同氏は論じている。

長期的な安全保障は今も、太陽光や風力から原子力、グリーン水素、電気自動車、炭素回収まで、クリーン技術の組み合わせにかかっている。ビロル氏が論じるように、クリーンエネルギーへの大規模な投資こそが、エネルギー安全保障を最も確かなものにする。実際、気候安全保障とエネルギー安全保障は一体で進めなければならない。

本号の別の記事では、コロンビア大学のジェイソン・ボードフ氏が、米国の新たな気候法は、クリーンエネルギーを後押しする特別な貿易ルールを設けるため、米国がパートナー国と連携する機会になると示唆する。また、ポーランドの元エネルギー相、ピョートル・ナイムスキ氏に、同国がエネルギー自立を目指す取り組みについて話を聞き、再生可能エネルギー推進の動きを取り上げる。そこでは、チリの水素への賭けから、ケニアの地熱産業、インドネシアの太陽光発電の将来までを紹介する。

もちろん、この号にはほかにも多くの読みどころがある。新たな発見があり、考えるきっかけにもなれば幸いだ。

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