マイクログリッドは、地域全体や、病院、バスターミナル、軍事基地などの単独施設に電力を供給できます。
多くは風力や太陽光などの再生可能エネルギーを使って自ら発電します。
主要な電力網が停止して停電が起きても、マイクログリッドは稼働を続けられます。
遠隔地への電力供給にも利用できます。
コンゴ民主共和国のある修道女は、マイクログリッドがどのようにすべての人に電気を届けられるかを世界に示しています。アルフォンサイン・シザ修道女は、修道院と町で毎日のように停電が起きることにうんざりし、小規模水力発電所を建設するための資金を集めました。この発電所は現在、修道院に加え、2つの学校、診療所、教会に電力を供給しています。
では、マイクログリッドとは何でしょうか。エネルギー供給の不足を補ううえで、どのように役立つのでしょうか。
解説します。
マイクログリッドとは?
マイクログリッドとは、地域の主要な電力網(通常ははるかに大規模な電力網)から独立して運用できる、地域単位の電力網です。マイクログリッドは、単独の建物に電力を供給するために利用できます。病院や警察署のほか、工業団地、大学キャンパス、軍事基地、近隣地域など、複数の建物にも供給できます。連結された複数のマイクログリッドが、町や都市など、より広い地域に電力を供給することもできます。
なぜマイクログリッドが必要なのか?
嵐や停電によって地域の主要な電力網が停止すると、多数の家庭や企業、重要なサービスに影響が及ぶ可能性があります。これは、従来の電力網が国全体や大陸全体をカバーすることもあるためです。例えば米国では、電力網が1億4,500万人の利用者と7,300か所の発電所を約16万マイルの高圧送電線で結んでいると、米国エネルギー情報局は述べています。
マイクログリッドは主要な電力網から切り離され、このような緊急時にも電力供給を続けられます。この仕組みは「アイランディング」と呼ばれます。
電気を利用できない遠隔地にも、マイクログリッドは電力を供給できます。
マイクログリッドには、ほかにどんな利点があるのでしょうか?
マイクログリッドは、自らエネルギーを生産・貯蔵するために、太陽光パネル、風力タービン、蓄電池に加え、アルフォンサイン・シザ修道女の事例のように水を使った水力発電など、再生可能エネルギーの利用を拡大しています。
そのため、マイクログリッドが増えれば、温室効果ガスの排出削減につながります。
国際エネルギー機関(IEA)によると、マイクログリッドのようなオフグリッド型のソリューションは、発展途上国で人々を電力網につなぐ最も手頃な方法でもあります。同機関によると、約7億7,000万人が、主にアフリカとアジアで、電気を利用できずに暮らしています。
IEAによると、ミニグリッドや独立型システムを含む分散型ソリューションは、その90%が再生可能エネルギーを基盤としており、「電力を求める人々の半数に電力を供給する最も低コストな方法」です。
マイクログリッドはどう機能するのか?
マイクログリッドには、主に3つの種類があります。遠隔地型マイクログリッドは「オフグリッド型マイクログリッド」とも呼ばれ、主要な電力網への接続が難しい遠隔地に設置されます。通常は風力や太陽光などの再生可能エネルギーで稼働し、常時アイランドモードで運用されます。
系統連系型マイクログリッドは主要な電力網に接続されていますが、例えば電力供給に問題が生じた場合には、そこから切り離すことができます。
ネットワーク型マイクログリッドは、地域や都市など広い範囲に電力を供給するために、複数のマイクログリッドを相互接続したものです。
どの国にマイクログリッドがあるのか?
世界には、約4,500件のマイクログリッド事業があります。Navigant Researchの2019年の報告書によると、マイクログリッドの総容量が世界で最も大きいのはアジア太平洋地域で、北米、中東、アフリカが続きます。
米国には、160基のマイクログリッドがあります。Center for Climate and Energy Solutionsによると、主な設置先は7州で、その一部がアラスカ州、テキサス州、ニューヨーク州、カリフォルニア州です。
インドにも160件のマイクログリッド事業があり、スイスのスマートグリッド専門企業Hive Powerによると、4州に展開されています。その80%以上が太陽光発電を利用しています。
刑務所からバス車庫まで
カリフォルニア州では、最大4,000人を収容する刑務所、サンタリタ刑務所が、風力タービン、太陽光パネル、排熱を利用して給湯を支援する燃料電池など、再生可能エネルギー源で稼働する独自のマイクログリッドを備えています。同刑務所は、2001年のカリフォルニア州エネルギー危機を受けてマイクログリッドの開発に着手しました。この危機では電気料金が急騰し、供給不足によって停電が発生しました。
Microgrid Knowledgeによると、2022年に注目すべき事業には、メリーランド州のワシントンD.C.近郊で建設中の電気バス車庫向けマイクログリッドや、カリフォルニア州メンローパークにあるMeta(旧Facebook)の本社所在地で計画されている、Metaが資金を提供する太陽光発電型マイクログリッドがあります。この施設には、広域停電時にマイクログリッドからバックアップ電力を得られる、赤十字の緊急避難所が設けられる予定です。
オーストラリアでは、ビクトリア州にある人口2,000人の町ヘイフィールドが、国内のほかの「電力網の端」に位置する町にも展開できるマイクログリッドのモデル開発を目指しています。「MyTown Microgrid Heyfield」と名付けられたこの事業は、オーストラリア連邦政府とビクトリア州政府から資金提供を受けています。
アフリカのオフグリッド電力
アフリカでは、OffGridBoxという企業が、輸送用コンテナの一部を使ったボックス型設備で、遠隔地への電力供給を支援しています。ボックスの屋根に設置された太陽光パネルが、灌漑システムや農業機器を動かします。また、この設備は水を浄化・淡水化して飲料水を提供します。OffGridBoxは、Uplinkのメンバーです。Uplinkは、世界経済フォーラムが運営する、世界最大級の課題に対するイノベーションを発掘し、その成長を加速させるプラットフォームです。
フォーラムとつながりのある別の事業として、米国のカリフォルニア大学サンディエゴ校のキャンパスにある、世界で最も先進的と評されるマイクログリッドがあります。
このマイクログリッドは、450棟の建物がある約1,200エーカーのキャンパスに電力を供給し、約4万5,000人の学生と教職員を支えています。




