災害までの残り時間を刻む時計は、ハリウッド映画でおなじみの演出だ。ジェームズ・ボンドをはじめとする映画のヒーローたちは、正しい電線を切るか、最新の世界終末装置から起爆装置を慎重に取り外すまで、私たちをしばしば世界の終末まであと数秒というところまで連れていく。
今、クリスティアナ・フィゲレス氏は、国連気候変動枠組条約の前事務局長として、制御不能な気候変動がもたらす被害から世界を救うという最新の取り組みを始めるにあたり、ハリウッド流の間一髪の危機回避の手法を用いている。
「#2020DontBeLate」を掲げるこのキャンペーンは、2020年を「気候の転換点」と位置づける。地球の気候に人間活動がすでに及ぼした影響を巻き戻し、覆すことのできる最後の時点だ。
出典:Mission 2020
気候災害を防ぐための3年間
Mission 2020は、世界が2020年までに炭素排出量をピークアウトさせなければ、海面上昇、激しい気象現象の増加、そして人々、環境、経済に及ぶ気候変動のその他の影響という壊滅的な結果に直面すると警告している。Mission 2020の発足にあたり、クリスティアナ・フィゲレス氏は、気候変動が地球とそこに暮らす人々に及ぼす影響を左右できるのは、最も緊急性の高い行動だけだと述べた。
「誰もが豊かになる権利を持っています。排出量が2020年までに急速な減少に転じなければ、世界で最も脆弱な立場にある人々は、気候変動の破壊的な影響によってさらに苦しむことになります。科学は、これが私たちの果たすべき責務だと示しています。技術は、私たちに必要な力があることを示し、経済の動向も正しい方向を指しています。そして、人類にもたらされる恩恵は計り知れません。ためらっている時ではありません。」
気候変動緩和に向けた節目
フィゲレス氏の自信に満ちた姿勢にもかかわらず、2020年という期限は到底間に合わないほど厳しく感じられる。しかし、Mission 2020のキャンペーンは、気候変動の最悪の影響を避けるという目標を世界が達成できるよう、6つの節目を示している。
Mission 2020によると、今からわずか3年後までに6つの節目を実現しなければ、世界は目標年である2030年までに国連の持続可能な開発目標を達成できない。
節目の一つは、再生可能エネルギーへの大幅な移行だ。増大するエネルギー需要に応えるため、新設発電所で再生可能エネルギーが化石燃料を上回り、第一の選択肢となる必要がある。

2つ目の節目では、すべての主要都市で新たに導入する大量輸送システムにおいて、ゼロエミッションの交通手段を優先することが求められる。都市自体も大幅に環境配慮型へと変わらなければならず、2050年までにインフラを完全に脱炭素化するための、十分に練られた計画を2020年までに整える必要がある。
別の節目を達成するには、鉄鋼生産、セメント製造、石油・ガス生産などの重工業が、気候変動に関するパリ協定を順守すると約束しなければならない。
都市の境界を越えて、土地利用は気候変動の最悪の影響を抑えるうえで重要な要素となる。4つ目の節目では、森林破壊に代えて大規模な森林再生を進め、環境に優しい農業の実践へ移行することが求められる。
最後に、気候変動の緩和に向けた資金は、2020年までに年間1兆ドルを超えなければならない。その時までに、すべての金融機関が透明性のある移行戦略を備える必要がある。
ゼロエミッションの世界への工程表
2020年が排出ゼロの世界へ向かう道筋における重要な年とされるのには、いくつかの理由がある。
2020年には、画期的なパリ協定の採択から5年が経過し、国連の持続可能な開発目標の達成期限まで残りわずか10年となる。それらを達成して初めて、2050年までに実質排出ゼロの世界を実現する取り組みを前進させることができる。
また、Mission 2020は、開発途上国でGDPが成長しても炭素排出量がそれに伴って増加していないという最近の傾向を生かそうとしている。これは、インドや中国などの国々で再生可能エネルギーに大規模な投資が行われた結果だ。
同団体は、この傾向を、2020年に気候の転換点を迎えることが実現可能だという有力な証拠として挙げている。


