世界は、2030年までにすべての人に手頃な価格で、信頼性が高く、持続可能かつ近代的なエネルギーへのアクセスを確保することを目指す、持続可能な開発目標7(SDG 7)の達成に向けた軌道に乗っていない。
電力部門で再生可能エネルギーの利用が増加するなど、SDG 7の個別要素では一定の進展があったものの、全体的な進捗は2030年の目標達成に不十分である。
ウクライナでの戦争によって深刻化した世界的なエネルギー危機により、SDG 7の達成はさらに困難になると予想される。
債務の膨張とエネルギー価格の上昇により、クリーンな調理手段と電力への普遍的なアクセスの実現見通しが悪化している。
SDG 7の進捗を追跡する:エネルギー進捗報告書。国際エネルギー機関(IEA)、国際再生可能エネルギー機関(IRENA)、国連統計部(UNSD)、世界銀行、世界保健機関(WHO)による同報告書は、SDG 7を期限内に達成するには現在の取り組みでは不十分だと警告している。
SDG 7の達成に向けた取り組みでは、電力部門で再生可能エネルギーの利用率が上昇するなど、個別の要素で一定の進展が見られる。しかし、2030年の期限までに設定された目標を達成するには、進捗が不十分である。
SDG 7は、手頃な価格で、信頼性が高く、持続可能かつ近代的なエネルギーへのアクセスを確保することを目指す。報告書の執筆者によると、この目標には、電力とクリーンな調理手段への普遍的なアクセスの実現、エネルギー効率改善の過去の水準を倍増させること、世界のエネルギー構成に占める再生可能エネルギーの割合を大幅に高めることが含まれる。
SDG 7の達成がもたらす大きな恩恵
この目標の達成は、人々の健康とウェルビーイングに大きく前向きな影響をもたらす。大気汚染などの環境的・社会的リスクから人々を守り、プライマリ・ヘルスケアやサービスへのアクセスを拡大することにつながる。
ウクライナでの戦争によって深刻化した世界的なエネルギー危機は、一部の政府が投資を拡大するなか、再生可能エネルギーの導入を促し、エネルギー効率を高めると予想される。
しかし、IRENAの推計によると、低・中所得国のクリーンエネルギーを支援する国際的な公的資金の流れは、COVID-19のパンデミック以前から減少しており、資金提供先も少数の国に限られている。SDG 7の目標を達成するには、国際公的金融を構造的に改革し、投資を呼び込む新たな機会を定める必要があると、執筆者らは述べた。
また報告書は、債務の膨張とエネルギー価格の上昇により、クリーンな調理手段と電力への普遍的なアクセスの実現見通しが悪化していると指摘している。

目標達成にはなお隔たり
現状が続けば、2030年には19億人がクリーンな調理設備を利用できず、6億6,000万人が電力を利用できないと、現在の予測は示している。
こうした格差は、最も脆弱な人々の健康に悪影響を及ぼし、気候変動を加速させると報告書は述べている。
WHOによると、汚染を引き起こす燃料や技術の使用による疾病で、毎年320万人が死亡している。これらの燃料や技術は、家庭内の大気汚染を有害な水準にまで高め、人々の曝露を増やす。
次世代を守る
WHO事務局長のテドロス・アダノム・ゲブレイェスス氏は、次のように述べた。「今行動を起こし、次世代を守らなければなりません。すべての人がエネルギーを利用できるよう、クリーンで再生可能なソリューションに投資することが、真の変化を実現する方法です。家庭で使うクリーンな調理技術や、医療施設における信頼性の高い電力は、最も脆弱な人々の健康を守るうえで重要な役割を果たし得ます。」
国連統計部のステファン・シュヴァインフェスト氏は、最近、電化の数値の伸びが鈍化したものの、電力を利用できない人の数は過去10年間でほぼ半減し、2010年の11億人から2021年には6億7,500万人に減少したと述べた。
「それでも、最貧困層や支援が最も届きにくい人々が取り残されないよう、追加の取り組みや対策を緊急に講じなければなりません。2030年までに普遍的なアクセスを実現するには、開発関係者がクリーンエネルギーへの投資と政策支援を拡大する必要があります。」


