エネルギーコストを抑える方法

The sun rises behind windmills at a wind farm in Palm Springs, California, February 9, 2011. REUTERS/Lucy Nicholson (UNITED STATES - Tags: ENERGY ENVIRONMENT BUSINESS) - RTXXNCW
This column uses hourly smart-meter data to demonstrates a surprisingly large variation in economic value across energy efficiency investments.Image: REUTERS/Lucy Nicholson
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他のほとんどの商品と異なり、電力は短時間であっても費用対効果よく貯蔵することができない。供給は常に需要を満たさなければならず、そうでなければ停電が起きる。さらに、電力需要は変動が大きく、価格に対する弾力性が低い(Ito 2014)。その結果、電力市場では主に供給側で需給が均衡し、需要に合わせて発電量が増減する(Borenstein 2000, Griffin and Puller 2005)。そのため、電力価格は大きく変動し、1日のうちに10倍以上の差が生じることも多い。

電力市場のこうした特徴はよく知られているが、エネルギー効率政策に関する分析の大半は、この変動を考慮していない。たとえば、米国エネルギー省が新たなエネルギー効率基準を検討する際には、エネルギー節約がいつ生じるかを問わず、総節約量に焦点を当てる。いくつかの注目すべき例外を除き、政策立案者も研究者も、節約が生じる時期によってエネルギー効率の価値がどう変わるかにほとんど注意を払ってこなかった。

新たな論文で、時期を考慮することの重要性を示す(Boomhower and Davis 2017)。本研究では、米国南カリフォルニアで実施された高効率エアコンの購入補助プログラムに参加した5,000人超の、スマートメーターによる時間別データを使用する。設置後の電力消費量の変化を測定し、節電の多くが7月と8月、午後3時から午後9時の間に生じることを示す。

この投資はいつ電力を節約するのか?

図1は、季節や時間帯によって電力節約量に大きな差があることを示している。7月と8月には大幅な省エネ効果があり、特に午後3時から午後9時の間に顕著だ。夏以外の月の節約量ははるかに小さく、1時間当たりの平均節約量は0.05キロワット時未満である。

図1 時間帯別の電力節約量

Image: Vox EU

推計した時間別パターンを、事前の工学的推計と比較する。両者の推計は似ているものの、興味深い違いもいくつかある。最も重要なのは、計量経済学的推計では節電のピークが午後6時から午後7時の間とされるのに対し、工学的推計では午後4時から午後5時の間とされている点だ。小さな違いに見えるが、日没とともに太陽光発電量が急減する夕方早い時間帯に電力需要を満たすことへの懸念が高まるなか、電力市場にとって重要な意味を持つ。

電力市場で最も逼迫するのはいつか?

図2は、カリフォルニア州における2月と8月の時間帯別の電力価値を示している。卸電力価格に加え、需要が高いときに発電設備を利用できる状態にしておくため、発電事業者に支払われる対価も示す(Bushnell 2005, Cramton and Stoft 2005, Joskow and Tirole 2007, Allcott 2013)。各パネルのデータ系列は、供給力確保契約の価格を高負荷時間帯に配分するさまざまな方法を示している。たとえば「最も高い時間帯」方式では、各月で負荷が最も高い時間帯に容量価値の全額を割り当てる。

図2 卸電力価格と容量価値

Image: Vox EU

どの方法を採用しても、カリフォルニア州の電力市場では夏の午後が最も逼迫する時間帯だ。方法によって異なるが、夏の午後の電力価値は、オフピーク時間帯の5倍、10倍、あるいは20倍にもなる。これはカリフォルニア州に限ったことではない。テキサス州のERCOT市場と、ほかの5つの地域市場のデータも用いて、ピークの正確な時刻は異なるものの、米国のすべての市場で時間帯や季節による激しい変動が見られたことを示す(Callaway et al. 2015)。

省エネ効果と電力の価値

省エネ効果と電力の価値には強い正の相関があった。エアコンへの投資は、電力市場のピーク時間帯に当たる夏の午後に、最も大きな節電効果をもたらした。図3はその相関を示す。各点は、時間帯と月の組み合わせに対応する(たとえば11月の午後1時から午後2時)。

図3 季節別に見た節約量と価格の相関

Image: Vox EU

夏季には、節約量と電力価格の間に強い正の相関(r = 0.69)がある。夏季は冬季よりも高価格となるケースが多く、エアコンはこうした時間帯に大きな節電効果をもたらす傾向がある。冬季には、すべての時間帯で電力節約量がほぼゼロとなるため、節約量と価格の相関はほとんどない。

全体として、時期を考慮すると、時期を無視した単純な計算と比べて、エアコン投資の価値は50%高まると推計した。この計算では容量支払いを含めることが重要だ。極端なピーク時間帯における電力価値の大部分は、発電事業者が利用可能な状態を維持することを保証するための先渡し容量支払いによって捉えられる。

本分析は、発電方法が再生可能エネルギーへと移行するにつれ、エアコン投資の価値がさらに高まることを示唆している。太陽光発電の増加により、日中は電力の希少性が低下する一方、日没後の電力価値は高まる(CAISO 2013)。価格のピークは午後遅くから夕方早い時間帯へ移る可能性が高く、住宅用エアコンの節電効果が最も大きい時間帯と重なる。Denholm et al. (2015) の価格・負荷予測データを用いて簡易的な感度分析を行ったところ、2024年までにカリフォルニア州のエアコン投資は、節電量が時間帯によらず一定の投資より75%高い価値を持つ可能性があると分かった。

エネルギー効率化投資

最後に、住宅用と非住宅用の幅広いエネルギー効率化投資とエアコンを比較する。価値には大きな幅がある。ほとんどの市場で、住宅用エアコンは時期によるプレミアムが最も高い。商業・産業用のヒートポンプ、チラー、エアコンでは、時期によるプレミアムは20~30%で、これは日中の電力価値が比較的高いことを反映している。

一方、冷蔵庫や冷凍庫への投資では、節電効果と電力価格の相関が弱いため、時期によるプレミアムはほぼゼロだ。照明も効果が低く、時期によるプレミアムは住宅用で8%、商業・産業用で10%となる。LEDが電力を節約するのは主に冬季や夜間であり、その時間帯は電力価値が低い傾向にある。

時期が重要

ホテルの客室、航空機の座席、レストランの食事など、多くの商品は特定の季節や時間帯に価値が高まる。電力も同じだ。むしろ、変動はさらに大きい。本研究は、時期を考慮することがエネルギー効率化投資の価値に大きく影響することを示している。特にエアコン投資は、電力価値が最も高い時間帯に節電効果をもたらすため、他の種類の投資より価値が高い。

エネルギー効率をめぐる議論を、総節約量から総価値へと移したい。そのためには、市場データに基づく、より厳密な事後的な省エネ効果の分析が必要となる。また、省エネ効果の推計を市場指標と統合し、より価値の高い時間帯にエネルギーを節約する投資へと、エネルギー効率化投資の構成を見直す必要もある。

本研究は、スマートメーターのデータが持つ力も示している。住宅用エアコンに関する計量経済学的分析は、ほんの数年前なら不可能だった。しかし現在、米国の住宅用電力顧客の40%超がスマートメーターを利用しており、2007年の2%未満から増加している。この新たなデータの急増は、より賢明で、より多くの証拠に基づくエネルギー政策の策定に役立つ。

参考文献

Alcott, H (2013),「リアルタイム料金設定と電力市場設計」, NYUワーキングペーパー。

Boomhower, J and L Davis (2017),「エネルギー効率化投資は適切な時期に効果をもたらすか?」NBERワーキングペーパー第23097号。

Borenstein, S (2000),「卸電力市場における競争的価格設定と市場支配力を理解する」, Electricity Journal, 7月, pp. 49‐57。

Bushnell, J (2005),「電力供給力の確保:政策と目標の整合」, Electricity Journal 18(8): 11-21。

Callaway, D, M Fowlie and G McCormick (2015),「立地、立地、立地:再生可能エネルギーと需要側効率化資源の変動する価値」, Energy Institute at Haasワーキングペーパー。

California Independent System Operator (CAISO) (2013),「デマンドレスポンスとエネルギー効率:優先資源の最大活用」。

Cramton, P and S Stoft (2005),「理にかなった容量市場」, Electricity Journal 18(7): 43-54。

Denholm, P, M O'Connell, G Brinkman, and J Jorgenso (2015),「カリフォルニア州における太陽光発電の過剰発電:ダックカーブの実践ガイド」, National Renewable Energy Laboratory, 技術報告書 NREL/TP-6A20-65023, 11月。

Ito, K (2014),「消費者は限界価格と平均価格のどちらに反応するか?非線形電力料金からの証拠」, American Economic Review 104(2): 537-63。

(2005),「電力と規制緩和の経済学入門」, J Griffin and S Puller (編), Electricity Deregulation: Choices and Challenges, Chicago: University of Chicago Press, pp. 1‐11。

Joskow, P and J Tirole (2007),「信頼性と競争的電力市場」, RAND Journal of Economics 38(1): 60-84。

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