レバノンのブルジュ・アル・バラジュネ難民キャンプに、キャンプ内に暮らす女性たちの働きによって、有機屋上菜園が誕生した。この菜園により、女性たちは成長を続けるケータリング会社「スフラ」向けに野菜やハーブを生産できるようになる。
スフラは、難民として代々暮らしてきたミリアム・シャールが設立した。彼女はベイルート近郊にある同キャンプで育ち、現在も暮らしている。彼女を取り上げたのが、2017年のドキュメンタリー映画「スフラ」で、ブルジュ・アル・バラジュネに住むほかの女性難民たちの助けを得ながら、ケータリング事業をフードトラック事業へと拡大しようとする彼女の取り組みを追っている。
シャールの会社は、レバノンにある12か所のパレスチナ難民キャンプのうち9か所で女性や子どもを支援するNGO、女性プログラム協会(WPA)の協力を得て設立された。WPAは、国内に暮らす数百万人の若者や女性のパレスチナ難民の自立、エンパワーメント、生活の質の向上を目指している。スフラの支援団体として、すでに同社の従業員約45人の雇用を後押ししており、その大半は女性だ。

しかし今、スフラにはさらなる後押しが期待されている。報道発表によると、ノルウェー大使館は同社が屋上に有機菜園を設けるため、2万1,000ドルの助成金を承認した。地元の環境エンジニアリング企業、シーダー・インターナショナルの「エコプランター」を使い、敷地を持続可能な方法で管理する。このプランターはプラスチック廃棄物を成形して作られ、2,600株以上の植物を育てることができる。
栽培方法も持続可能性を重視する。報道発表によると、菜園には堆肥が120キログラム以上、細断した農業廃棄物から作ったマルチ材が266リットル用意された。WPAはさらに堆肥化装置を提供した。この装置で、会社から出る食品廃棄物を菜園用の新たな肥料に変える。
スフラの菜園では、建物内にあるエアコン10台から出る結露水を集め、作物に水が必要になるまでタンクに貯める灌漑システムを通じて、水の使用量を減らす。このシステムは同時に、建物にたまりがちなエアコンの排水を減らし、水系感染症の発生を防ぐことにもつながる。
さらに、この菜園では作物の栽培に農薬、除草剤、化学肥料を一切使わない。
この菜園プロジェクトは、レバノンの埋め立て地に送られる廃棄物を減らし、水の使用量を抑えることで、ブルジュ・アル・バラジュネ難民キャンプの環境負荷を少しでも軽減することを目指す。また、スフラが使う農産物の大半を供給し、調達コストを下げるとともに、事業を運営する女性たちが自ら食材を扱い、検品できるようにする。

同社の顧客は新鮮な有機食品を楽しめるようになり、従業員は自律性を少し高められる。いずれも地球への影響を最小限に抑えながら実現する。


