気候変動と世界的なエネルギー危機がエネルギー網で交錯し、既存の電力網は目的に適さなくなりつつあります。
エネルギー網の改修には協力が欠かせません。応答性と柔軟性を備えたスマートグリッドは、再生可能エネルギーをエネルギー供給に効果的に組み込むうえで重要な役割を果たします。
インテルなどの企業はすでに、これを実現するため、業界の他企業や米国、EU、アジアの現地パートナーと連携しています。
エネルギーへのアクセスと気候変動をめぐり、2022年は課題が突きつけられた年となりました。相互に絡み合う危機は何十億人もの人々に影響を及ぼしており、行動が必要であることは明らかです。
ロシアによるウクライナ侵攻を受け、西側諸国がロシア産石油の輸入を禁止すると、世界の電力需要は3,890億キロワット時増加しました。これは2021年上半期と比べて3%の増加です。世界のエネルギー価格は、今年末までに平均で50%上昇すると予想されています。
一方、世界の気温は記録的な高水準に達し続けており、2022年1月から9月までの平均気温は、143年間で6番目に高い水準となりました。
こうした危機が交わるのがエネルギー網です。供給が途絶する状況でもエネルギー資源を届け、利用を最適化してより健全な地球を実現するには、スマートグリッドの構築が不可欠です。
しかし、現在のエネルギー網をこの新しいモデルへ移行させるのは複雑な取り組みであり、システム全体を捉える考え方と、オープンで協調的な作業モデルが求められます。
従来型からスマートへ――電力網を再考する
今日のエネルギー網の構造は持続可能ではありません。新たな再生可能エネルギー技術を支える柔軟性やオープン性が限られています。
従来型の電力網では、石炭、原子力、ガスなどの集中型電源から、家庭、企業、データセンターといった消費地点へ一方向に電力が流れます。電力がさらに必要になれば、新たな集中型の発電源である発電所を建設しなければなりません。従来型の電力網は、需要が急増した際に迅速に対応できず、また、世界の気候目標の達成に不可欠な再生可能エネルギー100%の電力供給を支えることもできません。たとえば、バイデン大統領は2035年までに炭素汚染のない電力部門を実現することを提案しています。
従来型のエネルギー網では、発電所のような集中型電源から消費地点へ電力が流れます。電力がさらに必要になれば、新たな発電所を建設しなければなりません。

スマートグリッドとは?
スマートグリッドとは、既存の電力網の末端に配置される、クリーンな再生可能エネルギーの高度に分散化されたネットワークです。
分散するすべての負荷を取り込み、従来の炭素由来の負荷と同じように機能するよう設計します。再生可能エネルギーに必要な双方向の電力フローを実現し、太陽光や風力のように出力が変動するエネルギー源に合わせて、システム全体をリアルタイムで調整します。これにより、エネルギー事業者は必要な場所と時間にエネルギーを柔軟に配分でき、顧客は環境に配慮した費用対効果の高いエネルギー選択を行うための情報を得られます。

スマートグリッドでは、新たに導入される高度に分散した変動性負荷を管理・最適化するため、電力網の末端に高度なコンピューティングを配置する必要があります。また、変動する複数のエネルギー源、消費水準、新たな再生可能エネルギー技術を効果的に調整するには、「システム全体」で捉えるアプローチも必要です。
複雑で変化の激しい課題への取り組みをリーダーたちが模索するなか、イノベーションをシステム全体の視点から捉えることは、私たちの業界を含む多くの業界で一般的になりつつあります。
ソフトウェア、ハードウェア、またはその両方を基盤とするソリューションにより、企業や事業者は顧客をより深く理解し、望ましい成果の実現に必要なインフラを最適化できます。
インテルはエネルギー分野の顧客やパートナーとの協業に「システム全体」の考え方を取り入れています。たとえば、スマートグリッドのデータから知見を引き出して改善点を特定し、数秒単位でエネルギー伝送を最適化しています。また、電気自動車用インバーター、バッテリーおよびバッテリー管理に関するソリューション、その他の再生可能エネルギー技術に投資してきました。さらに、サプライチェーンの上流から下流までイノベーションを進め、エンドユーザーと直接連携してスマートグリッドの実現に取り組んでいます。
スマートグリッドの未来に向けた協業
国際エネルギー機関によると、世界のエネルギー部門が2050年までに温室効果ガス排出ネットゼロを達成するには、2030年まで電力網への投資額を年間平均約6,000億ドルとする必要があります。そのためには、多数の公的機関と民間組織が共通のエネルギー目標に向けて協力しながら前進し、イノベーションを推進しなければなりません。
欧州では、この構想がすでに動き始めています。Edge for Smart Secondary Substation Alliance(E4S)は、インテルなどの企業がスマートグリッドの開発に向けて協力する、大手電力事業者8社のパートナーシップです。
また、インテルはカリフォルニア州の事業者と連携し、変電所の保護リレーを仮想化アプリケーションへと転換しています。さらに、マレーシア最大のエネルギー事業者とともに電力網のデジタル化を進めており、変電所と電力網システム向けの仮想化コンピューティングインフラとアプリケーションに重点を置いています。
協力はエネルギー供給事業者との間だけでなく、テクノロジー業界内でも実践しなければなりません。そのため、インテルとデルは協力して、スマートグリッドのエコシステムに新たな標準をもたらす、オープンで相互運用可能なソフトウェア定義型ソリューションのアプローチを開発しています。
スマートグリッドの通信では、共通の枠組みを通じて相互接続された機器が情報を共有します。そのため、業界共通のオープン標準の策定が欠かせません。電力網の運用者には、特定の企業のソリューションに電力網を縛り付けない、相互運用可能な接続性が必要です。
毎年、経済成長を支えながら人々や地球に害を及ぼさない、効率的で持続可能かつ柔軟なエネルギーソリューションが急務であることを、ニュースの見出しが繰り返し伝えています。
信頼性と革新性を備えたスマートグリッドの開発は、ネットゼロへの道のりにおける重要な一歩です。これは大規模な取り組みですが、企業とエネルギー事業者が協業を優先すれば実現できます。
協業を通じて、柔軟で信頼性が高く持続可能なエネルギーの未来をもたらす、再生可能エネルギーのイノベーション・エコシステムを築くことができます。


