ビル・ゲイツ氏が設立した原子力エネルギー事業、テラパワーLLCは、小型の先進的な原子力発電所の建設を目指している。
この計画では、天候の影響で太陽光や風力による発電量が少ない時間帯に使うエネルギーを蓄える。
出力345メガワットの発電所は液体ナトリウムで冷却し、1基あたり約10億ドルの費用がかかる見込みだ。
ビル・ゲイツ氏が設立した原子力エネルギー事業のテラパワーは木曜日、太陽光や風力など変動する電源からの供給が増えている電力網を補完するため、電力を貯蔵できる小型の先進的な原子力発電所の建設を目指していると発表した。
この取り組みは、億万長者の慈善家であるゲイツ氏が気候変動対策を支援する活動の一環で、電力網の信頼性を損なわずに、電力会社が地球温暖化を促すガスの排出を大幅に削減できるようにすることを目指す。
テラパワーの今後
ゲイツ氏が14年前に設立したテラパワーLLCは、提携先のGE日立ニュークリア・エナジーとともに、今世紀後半に米国で「ナトリウム」と呼ばれる発電所の商用化を計画していると、テラパワーの社長兼最高経営責任者クリス・レベスク氏は述べた。
このプロジェクトはこれまで報じられていなかった。
レベスク氏によると、両社は民間パートナーと米エネルギー省から追加資金を得ようとしている。また、このプロジェクトは、億万長者のウォーレン・バフェット氏のバークシャー・ハサウェイ傘下のパシフィコープに加え、エナジー・ノースウェストとデューク・エナジーの支援を受けている。
計画が成功すれば、テラパワーの発電所を米国内外に建設する予定だと、レベスク氏は述べた。
「2050年までに、世界各地でこうした原子炉が何百基も稼働し、さまざまなエネルギー需要を満たすようになるだろう」とレベスク氏は述べた。
出力345メガワットの発電所は液体ナトリウムで冷却し、1基あたり約10億ドルの費用がかかる見込みだ。
テラパワーの革新的なアプローチ
原子力は、ほぼ排出ゼロの電力を供給する主要な電源だが、米国では高コストや太陽光・風力との競争を理由に、多くの発電所が閉鎖されつつある。先進的な原子力発電に批判的な人々は、小型原子炉は従来型よりさらに高コストになるとも警告している。
一方、テラパワーの新しい発電所は、再生可能エネルギーを補完するよう設計されている。電力網への供給が十分な日中に、原子炉のエネルギーを溶融塩のタンクに貯蔵する。天候の影響で太陽光や風力の発電量が少ない時間帯に、原子力を利用できる。
溶融塩による電力貯蔵は、過去に太陽熱発電所で使われてきたが、いくつかのプロジェクトでは漏れが問題となっている。
レベスク氏によると、ナトリウムの設計では太陽熱発電所よりも温度を安定させられるため、摩耗を抑えられるという。
テラパワーの取締役会長を務めるゲイツ氏は声明で、ナトリウムの技術革新は「極めて困難」だが、実用化可能な原子炉の開発に必要な「専門知識、商業面での経験、そして資源」をチームは備えていると述べた。
レベスク氏によると、ナトリウム発電所はまず米国やその他の先進国に建設し、その後、原子力発電をまだ導入していない国にも広げる可能性がある。
核不拡散の専門家は、先進的な原子力プロジェクトが攻撃の標的になりかねないと警告している。使用するウラン燃料は従来型の燃料より濃縮度が高く、核分裂性物質に転換しやすいためだ。
レベスク氏は、発電所が核廃棄物の総量を減らすため、核拡散のリスクも低減すると述べた。
ゲイツ氏は当初、中国国有の中国核工業集団とともに、北京近郊に実験用原子力発電所を建設することを望んでいた。しかし昨年、トランプ政権が中国との原子力関連取引を制限したため、テラパワーは新たな提携先を探さざるを得なくなった。

