ネットゼロ目標の達成には、年間数兆ドルの投資が必要です。
専門家は、カーボンニュートラルの実現を後押しするうえで、テクノロジー分野の企業が重要な役割を果たすと考えています。
世界各地で先端技術企業が、クリーンエネルギーの提供に向けて取り組みを加速させています。
世界各国の経済がネットゼロを達成するための競争は始まっています。しかし、今後数十年でカーボンニュートラルを実現するのは、言うほど簡単ではありません。
昨年の国連気候変動会議(COP26)では、この目標を達成するため、今後数十年にわたり年間4兆~5兆ドルの投資が必要になると報告されました。45カ国の450社を超える企業が、総額130兆ドル超の資産を代表し、世界経済の脱炭素化を約束しました。COP26の閉幕までに、136カ国、115地域、235都市が今世紀半ばまでのネットゼロ達成を約束しました。国連によると、5,235社が同様の誓約をしています。これらの主体を合わせると、世界のGDPの90%を占めます。
テクノロジー分野が担う課題
しかし、国際エネルギー機関(IEA)は警告しています。必要な二酸化炭素排出削減量の半分は、まだ商用化されていないエネルギー技術によって実現しなければなりません。政府、NGO、慈善家は、この資金需要に応えられず、実質的な変化をもたらすために必要な規模の資金を調達したり投資したりすることができません。
その一方で、表には出にくいところで、テクノロジー分野の起業家たちが、新興技術とイノベーションを通じて、より環境に優しい未来を築いています。人々の暮らし方や天然資源の利用方法を変え、気候災害の回避につなげようとしています。ここでは、クリーンエネルギーへの移行で重要な役割を担う4社のスタートアップを紹介します。
Betteries
ベルリンを拠点とするこの企業は、燃料式発電機や推進システムに代わる、持続可能な選択肢を提供しています。世界ではすでに800万台を超える電気自動車、バス、トラックが走行しており、需要の増加に伴ってさらに増える見込みです。そのため、使用済みバッテリーの蓄積が進んでいます。Betteriesは、使用済みバッテリーをアップサイクルして、持続可能で手頃な価格の多目的バッテリーパックにすることで、寿命を延ばそうとしています。
「利益を社会的インパクトにつなげる企業」である同社は、世界各地から選ばれた100社のうちの1社で、世界経済フォーラムの「テクノロジー・パイオニア2022」に選出されました。
SolarGaps
カリフォルニアを拠点とする同社は、エネルギー流通の新たな方法を開拓しています。同社によると、これが未来の住宅、オフィス、都市に電力を供給することになります。同社が製造する「スマートブラインド」にはソーラーパネルが組み込まれており、太陽の動きを自動で追って発電します。また、設置された建物の室内に日陰をつくって温度を下げ、エアコンの使用を最大30%削減します。
Cambridge Industries
エチオピアのアディスアベバに本社を置くこの革新的な廃棄物管理・再生可能エネルギー発電企業は、アフリカ初となる廃棄物発電を活用した持続可能な都市公園を開発しました。次世代バイオリアクターや昆虫ファームを構築し、廃棄物由来の生物資源と汚染ガスを活用しています。この施設は、1日あたり1,400トンの都市廃棄物を処理し、年間185 GWHrの電力を生産して、エチオピアの国営送電網に供給することができます。
SOLshare
バングラデシュを拠点とするこのスタートアップは、低所得世帯向けにエネルギー取引プラットフォームを提供しています。屋上にソーラーパネルを設置した家庭は、余剰電力をマイクログリッド網に売り、ほかの家庭はそれを購入できます。この仕組みは600万世帯と175万台の電動リキシャを結び、太陽光から収入を得られるようにします。この「群れ型」電化アプローチにより、農村に暮らす人々は太陽光発電事業者となり、エネルギー生産を自ら担うことができます。
未来を切り拓く
世界経済フォーラムは、イノベーションが社会の将来の繁栄と経済成長の促進に不可欠だと考えています。同フォーラムのテクノロジー・パイオニア・コミュニティは2000年に設立されました。新しい技術やイノベーションの設計、開発、導入に携わり、事業や社会に大きな影響を与えることが期待される、創業初期から成長段階の企業で構成されています。フォーラムは毎年、限られた数の企業をテクノロジー・パイオニアに選出し、その取り組み、活動、イベントに参加してもらっています。そこでは、最先端の知見を世界的な議論に提供します。





