エネルギー危機への対応に集団的な行動が必要な理由

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  • 急速に変化する世界情勢のなかで、エネルギー危機が大きな影を落としています。

  • 世界は、安全保障、持続可能性、利用しやすさという「エネルギーのトリレンマ」に直面しています。

  • 新たな報告書は、今日のリーダーが懸念する重要課題を示し、集団的な行動の必要性を訴えています。

ロシアによるウクライナ侵攻は、わずか数カ月のうちに、エネルギー安全保障に対する私たちの見方を一変させました。各国政府、消費者、生産者は世界中で対応に追われる一方、私たちが使うエネルギーの環境負荷を大幅に減らし、世界的なサプライチェーンの逼迫に対処するよう、強まる圧力にも直面しています。安全保障、持続可能性、利用しやすさという目標、すなわちエネルギーのトリレンマを達成することは、かつてないほど難しく、また重要になっています。

こうした不安定で急速に変化する状況を背景に、FTIコンサルティングは年次調査「レジリエンス・バロメーター®」に向けて、著名な大手企業や確立されたリーダー企業から、これから躍進しようとしている新興企業まで、バリューチェーンのあらゆる領域にわたる4,000人超のビジネスリーダーの見解を集めました。その結果は、今日そして明日のリーダーたちが最も重視する課題について、独自の視点を示しています。

エネルギーコストの上昇

目下、エネルギーコストと、それに伴う供給の安全性が最優先課題となっています。世界の最高執行責任者の42%が、エネルギー価格の急騰を懸念しています。両者のつながりに疑問の余地があったとしても、ウクライナ紛争はその密接な関係を明白にしました。米国や英国のように、従来は安定した供給の恩恵を受けてきた国でさえ、世界情勢の影響で国内価格が上昇しています。そして、こうした値上がりは経済全体に波及しています。

持続可能性への懸念

トリレンマのなかで最も差し迫っていない課題として、気候問題が後回しになっているとしても、その差はごくわずかです。最新の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の報告書は、時計の針が真夜中まであと1分に迫り、気候危機への対応が極めて急を要することを改めて私たちに示しました。エネルギー業界のビジネスリーダーが挙げた取締役会レベルの懸念事項の上位5項目には、気候変動への対応の遅れが含まれていました。

今回の調査結果は、今日のエネルギー業界が直面する環境面の圧力が深刻化し、さらに強まっていることを明確に示しています。具体的には、規制措置の脅威、耐用年数を終える前に座礁資産となるリスク、投資家からの圧力と資本へのアクセスの縮小、そして活動家が裁判所からコーポレートガバナンス制度まであらゆる手段を用いて行動を迫っていることが挙げられます。エネルギー業界のビジネスリーダーのほぼ4人に1人は、自社が気候変動関連の規制や世論の変化に追いつけないことが、2022年に自社へ悪影響を及ぼすと答えました。

世界経済フォーラムは、気候変動を食い止めるため、エネルギー転換をどのように推進しているのでしょうか。

エネルギー・素材センターは、エネルギー、素材、産業システムを再構築する複雑な転換を理解できるよう、リーダーたちをつなぎます。また、エネルギー安全保障、手頃な価格、持続可能性がどのように交差するかを探る場を提供しています。

バリューチェーンや地域を越えた協働を通じて、同センターは、パートナーが安全で低炭素かつ公平な移行に向けた実践的な解決策について足並みをそろえられるよう、共通の道筋を築きます。

センターの取り組みを見る

エネルギー業界が直面する特有の圧力を明確に示すように、環境問題は回答者の優先課題の筆頭であるだけでなく、他業界の同業者との差が最も大きい項目でもあります。調査対象となったエネルギー企業の45%は、今後12カ月でESG/持続可能性の改善を求める圧力が強まると見込んでおり、他業界の企業では36%でした。しかし、同業界がESGと持続可能性を重視する姿勢へ大きく転換していることを最も強く示すのは、この分野の改善がリーダーの優先課題で45%となり、利益拡大の42%を上回ったことかもしれません(優先順位は、ESG/持続可能性の改善と技術/イノベーションの統合に次ぐ3位)。

サイバー攻撃への懸念

また、送電網やパイプラインの接続性が高まっていることを反映し、サイバー攻撃の脅威は、2022年に自社へ悪影響を及ぼす可能性があるとビジネスリーダーが考える課題の筆頭に挙がり、32%がそう回答しました。業界はこうした脅威への対応を進めていますが、脅威は猛烈な速さで進化し続けるため、備えとレジリエンス能力の強化に多額の投資を行う必要性が一層高まっています。

こうした状況のなか、世界のエネルギーシステムを根本から刷新することの複雑さは、あまりにも容易に、行き詰まりや、ある解決策の利点を別の解決策と争う内紛につながりかねません。幸い、レジリエンス・バロメーター©の調査結果は、こうした解決策の一部について、一定の合意が生まれ始めている可能性を示しています。

脱炭素化への道筋

道路輸送システムの脱炭素化には、世界的な電化を大幅に拡大し、それに伴って送電網の変革に巨額の投資を行う必要があります。21世紀の送電網は、供給の間欠性、慣性、電力潮流の方向性、価格の変動性に関する決して小さくない課題を克服しなければなりません。

同様に、エネルギーキャリアとして水素を導入すれば、削減が難しい大規模排出の脱炭素化に大きな可能性が開けます。重要なのは、水素のさまざまな「色」の利点をめぐる派閥的で内向きな議論に気を取られず、コストの引き下げ、インフラの整備、水素利用による環境への影響の最小化に注力することです。

エネルギーの公平性を前進させる

エネルギー業界のあらゆる分野が直面する、世代に一度ともいえる課題の深刻さを浮き彫りにするだけでなく、この報告書は、現代の暮らしにエネルギーが不可欠であることを改めて明確に示しています。ウクライナでの戦争は、世界経済と社会の機能や安定にとってエネルギーが何を意味するのかを、はっきりと示しました。エネルギーを利用できない、あるいは手頃な価格で得られない状況は、社会の一部に不釣り合いに大きな影響を及ぼし、さらなる格差や社会不安の可能性を招きます。

エネルギー転換には緊急の行動が必要

この点を論理的に突き詰めれば、パンデミック、国際紛争、気候変動への対処には、社会、政府、民間部門のあらゆる部分を結集するシステム変革の考え方が必要だということになります。新型コロナウイルス感染症のワクチン開発や、より最近では、水素、再生可能エネルギー、省エネの目標を引き上げた、エネルギー転換と安全保障の加速に向けたEUの最新の取り組み「RePowerEU」のように、大きな課題に迅速かつ大規模に取り組めることを、私たちは実際に目にしてきました。

複雑で技術的に難度の高いプロジェクトに資金を提供するだけでなく、実行する能力を備えたエネルギー業界は、気候変動への対処の中核を担う必要があります。バロメーターは、課題の大きさと、それに応える緊急性を如実に示しています。

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