この夏、太陽光発電が欧州に290億ドルの節約をもたらした仕組み

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  • 新たな報告書によると、この夏、太陽光発電量が記録的な水準に達し、EUは化石ガスの輸入額を約290億ドル削減した。

  • 太陽光発電は、欧州がロシアからのガス輸入への依存を減らすうえで重要な役割を果たす。

  • EU加盟18カ国が、2022年5月から8月にかけて太陽光発電量の新記録を達成した。

新たな報告書によると、太陽光発電は欧州が「前例のない規模」のエネルギー危機を乗り切り、ガス輸入を回避して数十億ユーロを節約するのに貢献している。

欧州連合で太陽光発電量が記録更新この夏、エネルギーシンクタンクのEmberによると、27カ国で構成されるEUは化石ガスの輸入額を約290億ドル節約できた。

ロシアによるウクライナ侵攻が欧州へのガス供給を深刻に脅かし、ガス価格と電力価格がともに過去最高を記録するなか、今回の数値は欧州のエネルギーミックスにおける太陽光発電の極めて重要な役割を示していると、同団体は述べる。

欧州で太陽光発電の新記録

Emberが月次の発電量データを分析したところ、今年5月から8月にかけてEUの電力構成に占める太陽光発電の割合が過去最高の12.2%に達した。

これは風力発電(11.7%)と水力発電(11%)を上回り、石炭火力発電の16.5%にも迫る。

欧州はロシア産ガスへの依存を早急に断ち切ろうとしており、太陽光発電がその実現に役立つことを数値が示している。

SolarPower Europeの政策担当ディレクター、ドリース・アッケ氏はEmberの報告書で、「太陽光や再生可能エネルギーから発電される電力が1メガワット増えるごとに、ロシアから必要とする化石燃料は減る」と述べた。

EUでは2022年5月から8月にかけて、電力の過去最高となる12.2%を太陽光発電でまかなった。 Image: Ember

太陽光発電が欧州に290億ドルをもたらす節約効果

この夏、EUが太陽光発電で記録した99.4テラワット時の発電量により、化石ガスを200億立方メートル購入せずに済んだ。

5月から8月までのガス平均日次価格に基づくと、回避できたガス費用は約290億ドルに相当するとEmberは算出している。

欧州では太陽光発電所の新設が進み、毎年新たな発電記録が生まれている。

この夏の太陽光発電量は、昨夏の77.7テラワット時を28%上回った。昨夏、太陽光発電はEUのエネルギーミックスの9.4%を占めていた。

昨年から今年にかけて太陽光発電容量が拡大したことで、EUはガス費用をさらに約60億ドル節約した。

太陽光発電による電力は、この夏、欧州連合に約290億ドルの節約をもたらした。Image: Ember

欧州でガス価格が急騰

Emberによると、欧州のガス価格はこの夏、過去最高を更新した。今冬の価格は現在、昨年の同時期の9倍に達している。

ウクライナでの戦争をめぐる不確実性と、ロシアによるガス供給の「兵器化」を背景に、「価格の急騰」は今後数年間続くと予想されるとEmberは述べる。

代替エネルギー源として太陽光発電の拡大を続け、気候目標を達成し、エネルギー供給を確保するため、EUはさらなる取り組みが必要だ。

Emberは、新たな太陽光発電所の開発を遅らせる許認可上の障壁を減らすよう提案している。また、発電所の導入を加速し、資金を増やす必要がある。

Emberの推計によると、温室効果ガス排出量を実質ゼロにする目標達成に向けて、欧州は2035年までに太陽光発電容量を最大9倍に拡大する必要がある。

欧州ではガス価格が急騰しており、この傾向は続くと予測されるため、太陽光発電の需要が高まっている。Image: Ember

EU加盟国で太陽光発電の記録更新

ギリシャ、ルーマニア、エストニア、ポルトガル、ベルギーを含むEU加盟18カ国が、夏のピーク時に太陽光発電が電力に占める割合の新記録を達成した。

現在、EU加盟10カ国で電力の少なくとも10%を太陽光で発電している。EUで太陽光発電の割合が最も高いのはオランダ、ドイツ、スペインで、それぞれ電力の22.7%、19.3%、16.7%を太陽光でまかなっている。

Emberによると、2018年以降、太陽光発電量が最も大きく伸びたのはポーランドで、26倍に増加した。フィンランドとハンガリーでは5倍に増え、リトアニアとオランダでは太陽光発電量が4倍になった。

この夏、EU加盟18カ国が5月から8月にかけて太陽光発電量の新記録を達成した。 Image: Ember

クリーンエネルギーの機会

「エネルギー転換指数」を通じ、世界経済フォーラムはアクセンチュアと協力し、100カ国以上がクリーンで手頃かつ安定したエネルギーへの移行を進める過程を10年にわたって追跡してきた。

最新の報告書である「効果的なエネルギー転換の促進 2022」では、新型コロナウイルス感染症、その後の急激な景気回復によるエネルギー需要の増加、そしてウクライナでの戦争がエネルギー市場を混乱させ、世界中の人々、企業、経済に「重大な影響」を及ぼしていると指摘している。

パートナー各社は、現在のエネルギー危機を、クリーンエネルギー投資を「記録的なペース」で増やし、消費者のエネルギー消費習慣を変えることで、クリーンエネルギー源への移行を大幅に加速させる好機と捉えている。

風力や太陽光などの低炭素・再生可能エネルギー源は、各国のエネルギー供給源の多様化と安定化に役立つと報告書は指摘する。また、大気を温暖化させて気候変動を加速させる温室効果ガスの排出も削減できる。

エネルギー危機は、各国が太陽光発電をはじめとするクリーンエネルギー源への移行を加速させる好機となる。Image: 「効果的なエネルギー転換の促進 2022」、世界経済フォーラム

世界経済フォーラムは、エネルギー転換をどのように推進しているのか?

「エネルギー・素材センター」は、エネルギー、素材、産業システムを形づくる複雑な転換を理解するため、リーダーたちをつなぐ。エネルギーの安定供給、手頃な価格、持続可能性がどのように交わるかを探る場を提供している。

バリューチェーンや地域を越えた協働を通じて、同センターは、パートナーが安全で低炭素かつ公平な移行に向けた実践的な解決策で足並みをそろえられるよう、共通の道筋を築く。

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