バングラデシュの農村部では、すでに再生可能エネルギーが浸透している。世界が学べることとは

Bangladesh has adopted the strongest declaration of climate action - a target to use 100% renewable energy by 2050
Bangladesh has adopted the strongest declaration of climate action - a target to use 100% renewable energy by 2050Image: REUTERS
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移行期の技術は、旧来のものと新しいものの間をつなぐ。従来型の技術や既存のビジネスモデルが期待された成果を生まなくなると、移行期が始まる。しかし、エネルギー技術の進歩はあまりに速く、長期にわたる移行期を許さない。その進展の速さは、旧来の大手企業に大きな代償を強いてきた市場もある。

たとえばドイツでは、エネルギー企業は常に政府から強力な支援を受け、寡占体制を通じて大きな影響力を持ってきた。そのため、閣僚らがより環境に配慮した未来を思い描く一方で、企業は石炭と原子力への投資を続けた。

しかし、福島の原発事故によって大きく高まった世論と、技術の進歩に伴う再生可能エネルギー業界の価格低下が重なり、エネルギー転換(Energiewende)は突然加速した。大手企業は存亡の危機に直面した。新たなエネルギーの世界を受け入れるのをためらったことが、彼らにとってのワーテルローとなった。

バングラデシュのエネルギー政策をめぐる状況は、ドイツとは大きく異なる。それでも両国を詳しく見れば、過去の過ちや将来の技術について、互いに学べることは多い。バングラデシュが長期にわたる移行期を避けるべき理由を3つ挙げる。

1. エネルギーのロックイン効果の危険性――旧来のビジネスモデルと組み合わせた移行期の技術に賭けず、段階を飛び越えよう

バングラデシュは、気候変動対策として最も意欲的な宣言、すなわち2050年までにエネルギーを100%再生可能エネルギーで賄う目標を掲げている。同国は気候変動の悪影響に最も脆弱な国の一つだ。しかし、電力供給はすでに不安定で、ピーク需要を満たせず、農村部では人口のわずか42%しか電力を利用できないことを考えると、この宣言の実現は困難に思える。

しかし、10年前のドイツとは異なり、バングラデシュは進むべき方向を明確にしている。今日の課題は、他国の過ちから学べるか、そして移行期の技術に賭け続ける余裕がどれほどあるかだ。移行期の技術をめぐるジレンマは、既存の化石燃料発電所や原子力発電所を少し長く稼働させるかどうかだけの問題ではない。むしろ、そうした発電所の大半は、まだ建設されていない。

同国は、時代遅れの移行期の技術やビジネスモデルに縛られ、他国が大きな代償を払って得た教訓を無視するという、現実的な危険に直面している。新たな発電所の建設案はすべて、その耐用年数と、同国が進もうとしている道筋に照らして慎重に検討すべきだ。

2. コスト、食料、健康、安全の観点で優位な太陽光エネルギー

バングラデシュ政府は2021年までに、新設の石炭火力発電所で13.3 GWを開発する一方、太陽光発電は2 GW未満にとどめる計画だ。主な根拠はコストと用地の確保である。これに対し、バングラデシュのクリーンエネルギー投資機会に関する最近の調査では、大規模発電用および屋上設置型の太陽光パネルの潜在力は、従来の推計を大幅に上回ることが明らかになった。住民の移転、農地の転用、大気や水質の汚染、早期死亡、公衆衛生上の費用、燃料価格の高騰を招くことなく、商業施設や住宅の屋上に設置した太陽光発電システムは、国内数十か所の都市で現在のピーク需要の17%(2 GW)を賄える可能性がある。

3. バングラデシュはずっと新しいエネルギーの先駆者だった

新しいエネルギーの世界を支えるのは、脱炭素化、分散化、民主化、デジタル化、破壊的変革という「5つのD」だ。パリ協定以降、今後数年間に脱炭素化がどのように進むかについて、世界的なコンセンサスが形成されている。さらに、世界の人々が気候変動の悪影響にさらされるほど、新しいエネルギーを受け入れるようになる。

地球規模で経済成長と炭素排出の切り離しが進むにつれ、電力を消費地から遠く離れた場所で生産するという従来の中央集権型の構図も変わる。これにより、エネルギーの生産と消費が民主化される。プロシューマーが従来のビジネスモデルや供給モデルを変革する主要な担い手となり、デジタル化によって電力取引の自動決済が可能になる。『再生可能エネルギーを受け入れる国の3つの段階』で、クリストフ・ブルガーとイェンス・ヴァインマンは、国レベルでのこの移行の道筋を3段階に分けている。

第1段階:国は主に再生可能エネルギー源の普及に力を入れ、国内の製造基盤の確立を副次的な目標とする場合もある。

第2段階:エネルギーミックスに占める再生可能エネルギーの割合が高まり、送電網の運営者は需給バランスを保つために、より頻繁な介入を迫られる。電力会社の構造も大きく変化していく。

第3段階:電力供給業界は、自らの分野が公共インフラから真に民間主体のものへと変わる様子を目の当たりにする。そこでは、生産者と消費者それぞれに合わせたソリューションが提供される。

一般的な見方では、これまでの再生可能エネルギーの総導入容量が平凡な水準にとどまるバングラデシュは第1段階にも達していないとされる。ドイツは第2段階にあり、これまで第3段階にある国は世界にないと考えられている。

私はそうは思わない。バングラデシュは3つの段階すべてに同時にあると考える。公の議論は第2段階で述べられる問題に焦点を当てている。しかし、強い政治的公約があるにもかかわらず、同国は第1段階を本格的に始めてもいない。既存の政府機関は、どんな犠牲を払っても送電網を拡張するという従来の使命から脱却できずにいる。この議論は、送電網への接続を待つ地域社会の経済的負担をさらに重くしている。接続を待たされる一方で、送電網の電力は太陽光発電システムが提供できる電力より質が劣ることも多い。

それでも、こうした議論が首都で続く一方、バングラデシュの農村部は5つのDを受け入れ、ひそかに世界の先端に加わった。多くの村が急速に先へ進み、第3段階へ直接移行している。インフラ開発会社(Infrastructure Development Company Ltd.、IDCOL)の主導の下、現在では2,000万人以上が、完全に分散型の太陽光発電ホームシステムで自ら電力を生産している。最近の調査によると、平均して、こうした地域の電力供給の質は、近隣地域の全国送電網を上回る。それなのに、なぜ同国は第3段階から第1段階へ戻ろうとしているのだろうか。

ダッカの政界ではネットメータリング政策をめぐる議論が停滞したままだが、バングラデシュの農村部では、太陽光のピア・ツー・ピア型マイクログリッドが既存の太陽光発電ホームシステムを基盤として、すでに長く定着していることには驚かされる。いわば、これは小規模なエネルギー転換だ。住宅や小規模事業者の間で電力を自由に融通でき、必要な電化製品をすべて稼働させられる。余剰電力はネットメータリングとモバイルマネーを使い、リアルタイムで取引される。遠隔地の村人たちは一夜にして太陽光発電の起業家となり、電力を売って収入を得る。こうしたバングラデシュ農村部の人々は、5つのDを受け入れ、第3段階の全サイクルを実現したプロシューマーだ。

世界のエネルギー転換は、もはや止められない。問われているのは、地域社会の取り組み、起業家による破壊的変革、従来型供給者の適応のうち、何がそれを推進するかだ。メーカーや企業は、これに直面するだけでなく、効果的に対応しなければならない。国や産業の競争力がかかっている。ドイツのエネルギー転換は市民が始めた社会運動であり、再生可能エネルギーの大幅な普及に向けて政治的な計算が道を開いたのは、その後のことだった。バングラデシュの首都に住む人々が、農村部の人々と同じように太陽光発電の利点を理解すれば、同様の勢いが生まれるだろう。そして、移行段階を大きく飛び越えることにつながる。

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