国際エネルギー機関(IEA)によると、世界では2022~2027年に、過去20年間と同規模の再生可能エネルギー発電設備が新たに導入される見通しです。
再生可能エネルギーは安定した電力供給を継続できないため、エネルギー貯蔵の重要性が高まっています。
バッテリーを使わずに再生可能エネルギーを貯蔵する、革新的な4つの方法をご紹介します。
「エネルギー貯蔵」と聞いて巨大なブロックを思い浮かべる人はほとんどいないでしょう。しかし、巨大なブロックは、再生可能エネルギーによる発電への依存が高まる世界を支える、重力を利用したシステムの重要な要素です。
世界の再生可能エネルギー発電容量は、2022~2027年に過去20年間と同規模の増加が見込まれると国際エネルギー機関(IEA)は述べています。太陽が常に照り、風が常に吹くわけではないため、再生可能エネルギーは安定した電力供給を継続できず、エネルギー貯蔵の重要性が高まっています。そのため、風力タービンが勢いよく回り、太陽光パネルに十分な日差しが降り注ぐときに、余剰電力を貯蔵する方法を見つける必要があります。
当然の解決策はバッテリーに思えるかもしれませんしかし、デロイトが指摘するように、価格の高さや技術要件の標準化不足など、まず乗り越えるべき障壁がいくつかあります。
バッテリーを使わずに再生可能エネルギーを貯蔵する、革新的な4つの方法をご紹介します。
再生可能エネルギーによる発電容量の年間純増分、2001~2027年
重力を利用したエネルギー貯蔵
前述の重力を利用したシステムは、Energy Vaultという企業が考案しました。再生可能エネルギーの発電量が多いときに生み出されたエネルギーを使い、専用の建物の中で30トンのブロックを空中に持ち上げます。
なぜでしょうか。ブロックを高く持ち上げると、位置エネルギーと呼ばれるエネルギーが蓄えられるからです。引き伸ばしたばねに蓄えられるエネルギーに似ており、ばねを離すと蓄えられたエネルギーが放出されます。Energy Vaultのシステムでは、持ち上げたブロックを下ろすと運動エネルギーが放出され、電力網に供給できます。
ブロックはすべてモジュール式の建物内に保管されます。建物は10メガワット時単位で、必要な規模に応じて建設できます。
揚水式水力発電によるエネルギー貯蔵
水力発電は、世界最大の再生可能電力源です。
揚水式水力発電による貯蔵は、重力を利用したエネルギー貯蔵と同様の原理で機能します。低い位置にある貯水池から高い位置にある貯水池へ水をくみ上げます。その後、必要に応じて水を放流し、下方のタービンに通して発電できます。
電力需要と価格が低い時間帯に水を高い位置の貯水池へくみ上げ、電力需要が高まると放流します。
揚水式水力発電は、世界のエネルギー貯蔵の94%を占めると国際水力発電協会は述べています。同協会は、研究によると、さらに大きく拡大できる可能性があると付け加えています。
圧縮空気でエネルギーを貯蔵する方法は?
揚水式水力発電では水を高い位置へ移動させますが、圧縮空気エネルギー貯蔵(CAES)では、エネルギーを地下へ移動させます。
この仕組みでは、余剰電力で回転式コンプレッサーを稼働させ、空気を圧縮します。この高圧の空気を地下の空洞や容器に蓄え、後に放出して加熱・膨張させ、タービンで発電できます。
この方式は1870年代から利用されていますが、現在、世界で稼働している商用規模の圧縮空気エネルギー貯蔵(CAES)施設は2カ所のみです。1カ所は米国にあり1991年に稼働を開始し、もう1カ所はドイツにあり1978年に運転を開始しました。
液化空気エネルギー貯蔵とは?
圧縮空気ではなく、液化空気の形でエネルギーを貯蔵することもできます。余剰の再生可能エネルギーで液化装置を稼働させ、空気をマイナス196°Cまで冷却・圧縮して液化します。
液化空気は必要になるまでタンクに貯蔵され、必要な時点で放出・加熱されて気体に戻り、発電タービンを動かします。
主な利点は、液化空気エネルギー貯蔵(LAES)に、すでに広く利用可能で耐用年数が30年を超える既存技術を使えることです。一方、この方法でエネルギーの状態を変えると損失が生じ、LAESの効率は50~70%に低下します。これは、効率が約99%のリチウムイオン電池を大きく下回り、LAESの実用性を損なう可能性があります。
しかし、英国企業のHighview Powerは最近、世界初となる商用規模のLAES施設を建設する計画を発表しました。






