炭素価格制度はニューヨーク州のクリーンエネルギーの未来実現に貢献する

Carbon pricing can play a significant role in accelerating zero emissions goal
Carbon pricing can play a significant role in accelerating zero emissions goalImage: REUTERS/Gary Hershorn
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  • アナリシス・グループの新たな報告書によると、ニューヨーク独立系統運用機関(NYISO)が提案する炭素価格制度は、ゼロエミッション目標の達成を早めるうえで大きな役割を果たしうる。

  • また、送電網の信頼性を維持するうえで、費用対効果も高い可能性がある。

ニューヨーク州は世界第11位の経済規模を持つが、最近、米国で最も野心的な気候変動関連法を制定した。新法によれば、2040年までに、同州は電力のすべてを排出ゼロの電源から調達しなければならない。

炭素価格制度が果たす重要な役割

2018年に化石燃料から40%以上のエネルギーを生み出していた1,980万人の住民を抱える州が、わずか20年でゼロ排出を実現するにはどうすればよいのか。その答えの一つは、ニューヨーク独立系統運用機関(NYISO)が提案する炭素価格制度が大きな役割を果たしうることは、アナリシス・グループによる新たな研究によって結論づけられた。

NYISOは20年にわたり、ニューヨーク州の送電網と競争的な卸電力市場を独立して運営してきた。過去20年間において、NYISOの競争市場における価格シグナルは、米国環境保護庁の大気市場プログラムのデータおよび米国エネルギー情報局の発電に関するデータに基づき、発電部門の排出量を大幅に削減する一助となってきた。具体的には、二酸化炭素の排出率を52%、窒素酸化物を88%、二酸化硫黄を99%削減した。現在、われわれはこれらの数値をさらに引き下げることを目指しており、2017年以降、ステークホルダーとともに炭素価格制度の取り組みを進めている。

炭素価格制度とは何か

炭素価格制度は、卸電力の販売価格に二酸化炭素排出量1トン当たりのコストを組み込むものである。これにより、新たなクリーンエネルギー資源への投資や、既存の発電事業者によるアップグレードや効率改善を通じたCO2排出の最小化に向けた価格シグナルが生まれる。また、NYISOの卸電力市場を、ニューヨーク州の環境目標とより適切に整合させることにもなる。

端的に言えば、CO2排出に価格を付けることで、よりクリーンなエネルギーの収益性が高まり、炭素排出型エネルギーの経済性は低下する。また、より クリーンでグリーンな技術の開発に伴う財務リスクを、消費者ではなく投資家に適切に負担させることにもなる。炭素価格制度は、ニューヨーク州の競争的な電力市場の力を活用し、送電網におけるクリーンエネルギーの拡大を促すものである。

なぜ市場なのか

競争的市場は、最も責任あるし効率的なアイデアを評価する。また、発電事業者が老朽化した汚染度の高い発電設備を、より効率的な発電設備に置き換える動機付けとなり、温室効果ガス排出の削減に寄与してきた。

われわれの市場は、必要な場所と時期に応じて、送電網へのイノベーションと投資を呼び込む価格シグナルを提供している。また、例えば風力発電や太陽光発電などの資源を、すでによりび込みやすくしている。

仕組み

炭素価格制度がクリーンエネルギーへの投資を促し、排出量をさらに削減する仕組みは以下のとおりである。

1.ニューヨーク州は、環境への影響に基づき、排出されるCO2 1トン当たりの価格として社会的炭素コストを設定する。

2.発電所は、大気中に放出するCO2に対して料金を支払う。

3.発電事業者は、風力、太陽光、水力などの低炭素または非炭素資源への投資に対する経済的インセンティブを受け取る。

4.消費者は、汚染度の高い発電事業者が支払う料金から恩恵を受ける。

価格シグナルは、よりクリーンなエネルギー生産を評価し、炭素回収や燃料電池などの新技術への投資を促す強力な経済的インセンティブを生み出す。炭素価格制度はイノベーションを促進し、ニューヨーク州のクリーンエネルギー事業の成長を後押しする。また、既存の化石燃料発電所に対し、リパワリングや排出削減技術への投資を促す。

炭素価格制度は経済学者からも支持されている

世界銀行は、地球温暖化を2℃未満に抑え、今世紀末までに正味排出ゼロを達成するうえで、炭素価格制度が不可欠な手段であると考えている。さらに、炭素価格は「技術革新と大規模なインフラ開発を促進する」とともに、炭素効率の高い財およびサービスの普及を加速させるという。これは「炭素配当に関する声明」は気候リーダーシップ評議会によるもので、米国の経済学者3,554人、ノーベル賞受賞者27人、その他の専門家によるものである。

アナリシス・グループによる報告書は、NYISOの委託を受け、エネルギー政策・経済の専門家スーザン・ティアニーが共同執筆したもので、わりわれの炭素価格制度提案が、排出量の削減と送電網の信頼性維持を図りつつ、ニューヨーク州がクリーンエネルギー目標をより速く、より費用対効果高く達成する一助となりうると結論づけている。

同報告書はさらに、炭素価格制度によって次の効果が得られることを明らかにした。

· 100%炭素フリー排出を達成するための消費者コストを削減する

· クリーンエネルギー発電における投資とイノベーションの拡大を後押しする

· 化石燃料を燃焼させる技術におけるイノベーションとエネルギー効率を促進する

· 最も排出量の多い発電設備の廃止を促すことで、公衆衛生を改善する

· 気候変動対策における、ニューヨーク州の全国的リーダーとしての地位を確固たるものにする

炭素価格制度の今後

われわれは現在、ステークホルダーおよび州と連携しながら、炭素価格制度の提案を最終化している。州およびNYISOのステークホルダーが炭素価格制度の推進を支持する場合、ステークホルダーは炭素価格制度の卸電力市場ルールを承認するかどうかを投票する。その後、NYISOの取締役会が、炭素価格制度をニューヨーク州の卸電力市場に組み込むかどうかを決議する。最終的には、連邦エネルギー規制委員会による審査と承認を受ける必要がある。

その間も、われわれには大きな変化をもたらす機会があり、炭素価格制度は、消費者負担を抑えつつ、送電網におけるイノベーションを推進し、最も排出量の多い発電設備の廃止を促すことで公衆衛生を改善しながら、ニューヨーク州のクリーンエネルギー目標達成を支える最善の解決策の一つであると考えている。

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