石油・ガスの先へ:MENAの低炭素水素の可能性を引き出す方法

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  • 世界経済フォーラムとアクセンチュアは本日、MENAにおける低炭素水素のための実現措置ロードマップを公表し、同地域での開発を加速させます。

  • 本ロードマップは、拡張性があり取引可能な世界の水素市場の実現に向けた主要な促進要因の特定を目的とした、地域に焦点を当てたロードマップシリーズの第5弾です。

  • 中東・北アフリカ地域は、クリーン水素のバリューチェーンを通じて、豊富な再生可能エネルギー資源を輸出するのに適した立場にあります。

12月13日、COP28は「UAEコンセンサス」に到達して閉幕しました。会議の最終文書には、数十年にわたる気候変動交渉の中で初めてとなる、化石燃料から「移行する」ための画期的な合意が盛り込まれました。ホスト国であるアラブ首長国連邦にとっても、また より広い地域にとっても、この合意は、同地域に広がる大規模な石油・ガス産業から得られる収益を活用しつつ、より持続可能な社会への移行に向けて経済を着実かつ確実に多角化するという戦略を後押しするものです。

低炭素水素分野に焦点を当てると、COP28に向けた取り組みは、世界のエネルギー分野で進行中の変革的な動きを加速させる上でも極めて重要な役割を果たしました。ここでは、その中の主要な発表を3つ取り上げます。第一に、 水素および水素誘導体の認証制度の相互承認に関する政府間意向宣言は、低炭素水素のグリーンプレミアムを獲得するための重要な一歩となるものです。第二に、国際標準化機構は、低炭素水素の温室効果ガス排出量を評価するための方法論を発表しました。 ISO規格(TS 19870)は、認証制度が、低炭素水素が真に低炭素であることを確保するための検証可能な手法を信頼できるようにする手段を提供するものです。第三に、 中東・北アフリカ(MENA)地域では、複数の国が水素生産に関する大規模な目標を設定しています。特筆すべきは、Masdar(UAE)が2030年までに年間100万トンの低炭素水素を生産するという公約と、NEOMグリーン水素会社(サウジアラビア王国)が2026年までに低炭素水素を年間120万トン(Mtpa)生産するという目標です。

2020年以来、世界経済フォーラムはアクセンチュアと協力し、地域別のアプローチを用いて低炭素水素の開発を加速するための実現措置ロードマップの作成・公表に取り組んできました。これらのロードマップの目的は、拡張性があり取引可能な低炭素水素市場の実現に向けた主要な促進要因を特定することです。

MENA地域が低炭素水素のエコシステムにおける中核的なプレーヤーとして台頭していることを踏まえ、また従来の取り組みを基にして、フォーラムとアクセンチュアは協力し、今回、次の中東・北アフリカにおける低炭素水素のための実現措置ロードマップを公表しました。本ロードマップは、MENA地域全体における主要な政策の進展、資金調達、取り組みの概要を把握するための有益なツールキットとして機能するとともに、大規模な水素経済に向けた進捗を評価し、適用可能な一連の提言を示すものです。

石油・ガス後の時代に向けた準備

MENA地域は、世界の石油埋蔵量の52%、世界のガス埋蔵量の43%を保有しており、世界のエネルギー貿易の3分の1を占めています。同時に、この地域は、クリーン水素のバリューチェーンを通じて、豊富な再生可能エネルギー資源を輸出するのに適した立場にあります。再生可能エネルギーの潜在力、野心的な目標、そして実現に必要な資金力が同時に存在していることは、この地域が、現在展開しつつある低炭素水素経済をリードする有力な候補であることを意味しています。

この地域には、モロッコ、エジプト、サウジアラビア、UAE、オマーン、カタールなど、「高い潜在力」を持つと見なされる国が複数あります。これらの国々は、現時点での出発点や将来の潜在力の面では差異があるものの、化石燃料からの移行にどう取り組み、低炭素水素ソリューションをどう取り入れているかという点では共通点が見られます。

この地域はどこまで進んでいるのでしょうか。この問いへの答えは、MENA地域の水素戦略に見られる3つの主要な取り組み、(1)輸出型、(2)グレーから低炭素への転換型、(3)新規用途型によって構成されています。

最近公表された中東・北アフリカにおける低炭素水素のための実現措置ロードマップからの主要な提言は以下のとおりです。

輸出型:プレミアム市場をめぐる競争

MENA地域の中でも北アフリカは、低炭素水素の主要な輸出国としての地位を戦略的に確立しつつあります。この地域は、SoutH2Corridorやマグレブ・ヨーロッパ・ガスパイプラインを含む既存の天然ガスインフラ、確立されたリン酸肥料のエコシステム、そして豊富な再生可能エネルギー資源を活用しています。

北アフリカはサハラ以南アフリカへの玄関口としての役割を担っていますが、競争が激化する世界市場において、コスト競争力を確保するという課題に直面しています。特に、EUの低炭素水素価格との競争は、水素銀行による大規模な資本投入と生産補助金により、困難を伴うものとなっています。米国の生産が国内需要を満たしている中での競争でも同様の課題が生じており、IIJAおよびIRAを通じて支援の仕組みが動員されています。

アラビア半島は、アンモニア、肥料、鉄鋼などの誘導体に重点を置きながら、低炭素水素の輸出における主要なプレーヤーとしての地位を戦略的に確立しつつあります。確立された石油・ガスインフラを活用し、同地域は臨大な再生可能エネルギーの潜在力と潤沢な資本を生かして、大規模な導入を迅速に進めようとしています。輸出を主な焦点とする中で、アラビア半島は、商品そのものとその誘導体に対してプレミアムを支払う意思のある低炭素水素の購入者を積極的に探しています。

グレーから低炭素への転換型:初期段階

MENA地域では、現在の水素利用や産業の脱炭素化を進めるにあたり、特に肥料、鉄鋼、化学産業において低炭素水素を活用することが求められています。しかし、このグレーから低炭素への転換における課題として、石油・ガスなどの従来型エネルギー源が依然として豊富で、非常に安価であり、かつ高い収益性を持つ環境の中で、競争力のある事業計画を確立する必要があることが挙げられます。

当社の調査によれば、現在、広範な国内需要支援の仕組みは、排出削減が困難な分野における低炭素水素の導入を大幅に加速させるには不十分です。そのため、この分野で最終投資決定(FID)に至ったプロジェクトは限られています。FIDを確保できたプロジェクトの大半は、主に輸出型の取り組みに重点を置いています。注目すべき事例としては、サウジアラビアにおける年間120万トンのアンモニアのNEOMグリーン水素会社のプロジェクトや、オマーンで締結された6件の拘束力のある合意が挙げられます。これらの合意では、それぞれ2030年までに最低生産量15万トン(ktpa)、2050年までに75万トン(ktpa)を生産することが義務付けられています。

世界経済フォーラムは、持続可能で包摂的なモビリティシステムをどのように推進しているのでしょうか。

世界経済フォーラムのモビリティの未来を形作るプラットフォームは、航空宇宙・ドローン、自動車・新しいモビリティ、航空旅行・観光、サプライチェーン・輸送の4つの産業にわたって活動しています。モビリティの未来が安全で、クリーンで、かつ包摂的なものとなるよう取り組んでいます。

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新規用途型:新たな水素利用

MENA地域は、野心的な目標を描き、その実現に必要な資本を確保する能力において際立っています。この独特の特性により、同地域のエネルギーリーダーは、低炭素水素の多様な革新的用途を模索することが可能になっています。現在進行中の取り組みには、海運、持続可能な航空燃料、グリーンスチールにおける用途の検討が含まれます。

この地域の国々は主要な貿易ルート沿いに戦略的に位置しており、特にスエズ運河経済地域は、世界の海上輸送の12%を取り扱っています。この地域が、新たな用途を成熟させるための重要なプラットフォームとして台頭する大きな可能性を有しています。

クリーン水素の今後は?

クリーン水素加速イニシアチブは、他の地域向けにも同様の実現措置ロードマップを策定しており、その中には欧州、日本、および中国が含まれます。今後、インドのロードマップはCOP28と2024年ダボス年次総会の間に公表される予定であり、ラテンアメリカのロードマップは2024年5月に公表される予定です。中東・北アフリカのロードマップと同様に、追加の地域ロードマップも、それぞれの地域的文脈に配慮しつつ、クリーン水素経済の発展を加速させることを目的とした主要な政策措置を特定するものです。

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