低炭素エネルギー技術への投資、化石燃料を上回る目前に 全体像を示す4つのチャート

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  • BloombergNEFの新たな報告書によると、低炭素エネルギー技術への世界の投資は2022年に過去最高の1兆1,000億ドルに達した。

  • 支出の最大の割合を占めたのは、再生可能エネルギーと電動輸送だった。

  • 世界の投資のほぼ半分を中国が占め、昨年、エネルギー転換技術に5,460億ドルを投じた。

  • しかし、2050年までに世界が二酸化炭素排出量のネットゼロを達成する道筋に乗るには、世界全体の年間投資を現在の3倍にする必要がある。

「中国語で『危機』という言葉は、危険を表す文字と機会を表す文字の2つで構成されている」。そう語ったのは、ジョン・F・ケネディ元米大統領だ。2022年は、危機を構成するこの両面を象徴する年となった。とりわけエネルギー分野ではそうだった。

ロシアによるウクライナ侵攻でエネルギー価格が急騰し、冬季に停電が起きる可能性が取り沙汰された。しかし同時に、ガスやその他の化石燃料から、よりクリーンなエネルギーへの、長らく待たれていた転換も促された。その結果、低炭素エネルギー技術への世界の投資は2022年に過去最高の1兆1,000億ドルに達したと、調査会社BloombergNEF(BNEF)の新たな報告書は伝えている。

これは2021年から31%増であり、低炭素技術への投資額が、化石燃料の供給に向けられた投資額と並んだことを意味する。

低炭素エネルギー技術への投資額は、化石燃料供給への支出額と並んだ。Image: BloombergNEF。

「今回の調査結果により、エネルギー危機がクリーンエネルギーの導入にどのような影響を与えるかという議論には決着がついた」と、BloombergNEFのグローバル分析責任者アルバート・チャン氏は述べる。「減速するどころか、各国や企業が転換計画を実行し続けるなか、エネルギー転換への投資は新たな記録に達した。クリーンエネルギー技術への投資は化石燃料への投資を上回る目前にあり、後戻りすることはないだろう。」

再生可能エネルギーへの投資が記録更新

報告書で計測した低炭素投資には、再生可能エネルギー、炭素回収・貯留、ゼロエミッション車、充電インフラ、水素製造、エネルギー貯蔵、原子力、リサイクル、ヒートポンプが含まれる。

原子力発電を除くすべての分野で支出が過去最高を更新した。原子力への投資は、前年と比べてほぼ横ばいだった。

原子力を除くすべての分野で、低炭素関連の支出が過去最高を更新した。Image: BloombergNEF。

投資の最大の割合を占めたのは、風力、太陽光、バイオ燃料などの再生可能エネルギーで、前年比17%増の4,950億ドルに達した。

電気自動車と関連インフラからなる電動輸送もこれに迫り、支出は54%増の4,660億ドルに急増した。

太陽光と風力発電は、欧州の発電量における主要電源としてガスを上回った。シンクタンクEmberの最新の「欧州電力レビュー」によると、これは2022年が初めてだった。過去12か月間の再生可能エネルギー投資の増加により、その差はさらに広がる可能性が高い。

報告書は、「政策支援の拡大とクリーンエネルギー技術の競争力向上が、エネルギー転換の急速な加速を引き続き支えている。サプライチェーンの混乱やインフレは課題となったが、転換の速度を大きく損なうには至っていないようだ」と述べている。

水素への投資

ただし、政策支援の拡大が必要となる可能性のある分野の一つが水素だ。クリーン水素の生産は十分な速さで拡大していないため、国際エネルギー機関(IEA)の「2050年ネットゼロ排出シナリオ」の達成には至らないと、世界経済フォーラムのノアム・ブシダン氏は指摘する。また、低炭素分野のなかで2022年の投資額が最も少なかったのも水素で、わずか11億ドル、全体のわずか0.1%だった。

とはいえ、水素への支出は最も急速に伸び、2021年と比べて3倍以上に増加した。

世界経済フォーラムは、クリーンエネルギーへの移行をどのように後押ししているのか。

エネルギー・素材センターは、エネルギー、素材、産業システムを変革する複雑な移行を理解するため、リーダーたちをつなぐ。エネルギー安全保障、価格の手頃さ、持続可能性がどのように交わるかを探る場を提供している。

バリューチェーンや地域を越えた協働を通じて、同センターは共通の道筋づくりを促し、安全で低炭素かつ公平な移行に向けた実践的な解決策でパートナーが足並みをそろえられるよう支援する。

同センターの取り組みを見る

政府による支援の拡大も見込まれており、インドは最近、グリーン水素の生産を促進するため、21億ドル規模の計画を開始した(グリーン水素とは、再生可能電力を使って水を水素と酸素に分解して製造する水素)。

米国のインフレ抑制法には、同国のクリーン水素産業の発展を促す税額控除やその他の優遇措置が盛り込まれている。また、EUは水素関連プロジェクトに52億ドルの資金を拠出することを承認した。

低炭素分野を主導する国はどこか

2022年、低炭素分野への支出で明確に首位に立ったのは中国だった。BNEFの報告書によると、中国は世界の投資のほぼ半分を占め、エネルギー転換技術に5,460億ドルを投じた。

2022年、低炭素分野への支出で中国が他国を大きく引き離した。Image: BloombergNEF。

これは2位の米国の1,410億ドルのほぼ4倍だった。ただし、EUを単一のブロックとみなせば、1,800億ドルの投資で2位となる。EU域内ではドイツが主導し、同国の電気自動車市場の成長を主な要因として、550億ドルで3位につけた。

上位10か国で支出が減少したのは英国だけで、洋上風力発電の取引減少により20%減の280億ドルとなった。しかし、英国は洋上風力発電の設備容量で今なお世界をリードしており、Hornsea 2が稼働を開始したことで、世界最大の洋上風力発電所を擁する。同発電所は8月に稼働を開始した。

ネットゼロ達成には不十分

BloombergNEFによると、2022年に支出が過去最高を更新したとはいえ、2050年までに世界が二酸化炭素排出量のネットゼロを達成する道筋に乗るには、まだ不十分だ。ネットゼロを実現するには、年間投資を3倍以上に増やし、2023年から2030年までの平均を4兆5,500億ドルとする必要がある。

低炭素分野への年間支出は、2050年までの排出量ネットゼロ達成にはまだ不十分だ。Image: BloombergNEF。

報告書によると、最大の機会は電動輸送、再生可能エネルギー、電力網にあり、短期的にこれらの分野へ資金を呼び込むには、官民の連携を強化する必要がある。

世界経済フォーラムの「エネルギー転換の未来に関するグローバル・フューチャー・カウンシル」は、政府、企業、市民社会のリーダーを結集し、この連携の促進に取り組んでいる。集団的な行動によってのみ、今日の危機を危険よりも機会の側面が大きいものへと変えられる。

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