この週刊まとめでは、世界のエネルギー分野の最新動向をお届けします。
主要エネルギーニュース:米国が世界最大のLNG輸出国になると予測される。日本の原子力再稼働は大きな障害に直面。インドがグリーン水素の拡大に動く。
世界経済フォーラムのエネルギー分野での取り組みについては、エネルギー・素材・インフラの未来を形作るプラットフォームをご覧ください。
1. ニュースダイジェスト:世界各地のエネルギー関連ニュース
米国は2023年に、液化天然ガス(LNG)の世界最大の輸出国になる見込みです――現在の市場首位であるオーストラリア、第3位のカタールを抜き、首位に返り咲く形です。これらの国からの輸出は、ロシアによるウクライナ侵攻で供給が混乱した後、欧州がガス備蓄を再構築する上で極めて重要な役割を果たしてきました。
欧州最大級の石油・ガス企業の一つのトップは、ロシアからのエネルギー輸入を代替するため、米国ではなくアフリカに目を向けるべきだと語っていますとフィナンシャル・タイムズが報じています。イタリアの企業エニのクラウディオ・デスカルツィ最高経営責任者は、欧州とアフリカの豊富な再生可能エネルギーと化石燃料資源を結ぶ新たな「南北軸」が構築できると述べています。
欧州の大手電力会社2社が、低炭素水素のサプライチェーンを開発する計画であり、これによりドイツは石炭火力発電への依存を減らし、CO2排出量を削減できるとしています。ノルウェーのエクイノールとドイツのRWEは、両国間の水素パイプラインの建設と、ドイツ国内での新たな発電所の建設を含むプロジェクトになると発表しています。
インドは、グリーン水素の推進に向けて1749億ルピー(21億ドル)のインセンティブ計画を承認しました。排出量削減と、同ガスの主要輸出国になることを目指す動きです。世界有数の温室効果ガス排出国であるインドが、2070年までにカーボンニュートラルを達成することを支援するものとされています。
欧州のガス価格が下落しています。温暖な気候と産業消費の減少が重なった結果、例年にない季節的な在庫増加が生じています。欧州連合と英国の貯蔵量は、過去10年間でその時期としては2番目に高い水準にあり、冬の終わりには例外的に高い量に達する見込みです。
中国の国家計画機関は、中央政府系の電力会社3社と国内最大手の鉄鋼メーカーに対し、オーストラリアからの石炭輸入を再開することを認めました。北京が2020年に豪州との石炭貿易に非公式の禁輸措置を課して以来、このような措置は初めてです。
アブダビ国営石油会社は、2030年までに脱炭素化プロジェクトに150億ドルを配分することを目指しています。これにはクリーン電力、炭素回収・貯留(CCS)、電化への投資が含まれます。
英国では電気自動車の需要が急増しています。2022年には新車販売の5分の1を占めました。電気自動車の販売台数は、2021年の19万700台から昨年は26万7000台に増加し、市場シェアは11.6%から16.6%に上昇しました。
中国は、石油取引および投資を自国通貨である人民元で行う比率を大幅に高めようとしていますとフィナンシャル・タイムズの寄稿記事が伝えています。同記事によれば、これはブラジル、ロシア、インド、中国のいわゆるBRIC諸国およびその他の地域で、「脱ドル化」を進める広範な取り組みの一環とのことです。
2. 日本の原子力再稼働、サプライチェーンの問題が障害に
エネルギー危機への対応として原子力産業の再生を目指す日本の計画は、エンジニアと製造能力の不足により危機に瀕しているとフィナンシャル・タイムズが報じています。日本は2011年の福島原子力発電所事故以前、電力の約3分の1を原子力で発電していましたが、現在は電力の10%未満をこの方法で賄っていますと国際エネルギー機関(IEA)は述べています。日本はこの比率を2030年までに20%に引き上げることを目指しています。
福島の事故により、20社を超える製造企業がこの分野から撤退しました。現在、業界の専門家は、日本の原子力サプライチェーンが圧迫されていると警告しています。
「新規原子力発電所に関しては何も進んでおらず、徐々に機器サプライヤー、専門知識、人材を失いつつあります」と、東京にあるハントン・アンドリューズ・カーツ法律事務所の原子力業務責任者ジョージ・ボロバス氏は、フィナンシャル・タイムズに語りました。「一世代分の人材を失えば、回復は極めて困難になり、業界にとって大きな懸念となります」。
岸田文雄首相は新規原子力発電所の建設を呼びかけています。ロシアによるウクライナ侵攻に伴うガス供給の世界的な混乱を受け、多くの国が原子力発電の選択肢を再検討しています。
日本では、GE日立などの企業が小型モジュール炉(SMR)の導入を働きかけています。これらの企業は、従来型の原子力発電所よりもコスト効率が高く、建設も迅速だと主張しています。一方で批判派は、SMRは大型原子炉が実現する規模の経済には太刀打ちできないと指摘しています。
3. カナダの石油生産者、排出削減に向けて炭素貯留に注目
カナダ最大のオイルサンド生産者は、アルバータ州政府と合意に署名し、地下の炭素回収・貯留(CCS)サイトの地質調査を実施できるようになりました。
カナダのオイルサンド生産量の95%を占める6社からなるパスウェイズ・アライアンスは、2030年までにアルバータ州北部の14プロジェクトから排出されるCO2を集約・貯留するCCSハブを提案しています。
石油・ガス部門はカナダで最も汚染度の高い産業であり、CCSはパスウェイズのネットゼロ排出量を2050年までに達成する計画の重要な柱です。しかし、コストのかかるこの技術の構築には数年を要し、提案されているカナダのプロジェクトは政府の支援に頼って前進しようとしています。
この計画は2030年までに約165億カナダドル(122億ドル)の費用がかかると見込まれています。カナダ政府は昨年、CCS投資税額控除制度を発表しましたが、石油業界は連邦政府と州政府にさらなる財政支援を求めています。
パスウェイズはまだCCSプロジェクトについて最終投資決定を行っていません。同社は今年、提案している炭素輸送パイプラインおよび貯留ネットワークについて規制当局への申請を行う予定です。
4. アジェンダによるエネルギー関連の詳細記事
許認可プロセスが、再生可能エネルギープロジェクトの遅延における主要な原因となっています。EUは現在のエネルギー危機に対処し、2050年のネットゼロ目標を達成するため、この課題に取り組む必要があります。
風力タービンは大型化が進んでおり、世界最大のものは高さ4分の1キロメートル以上にも達しています。ダーラム大学ダーラム・エナジー・インスティテュートのサイモン・ホッグ教授(専務理事)は、タービンがなぜこれほど急速に大型化しているのかを検討し、その大きさに限界があるのかどうかを問いかけています。
地熱エネルギーは、地表から数マイル下にある高温の水の貯留層から採取されます。本解説では、この持続可能なエネルギー源の利点と欠点を取り上げます。
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