イラン紛争が石油・ガス供給を混乱させる――エネルギー関連の主なニュース

Used oil barrels are stacked at a storage facility in Seattle, Washington.
Global oil prices have surged.Image: REUTERS/Jason Redmond
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  • ここ数週間のエネルギー部門の主なニュースをお伝えします。

  • エネルギー関連の主なニュース:イラン紛争が世界のエネルギー流通を混乱させる、IEAが過去最大の備蓄石油放出を決定、LNGが東南アジアのエネルギー安全保障に「警鐘」

  • 世界経済フォーラムのエネルギー分野での取り組みについては、エネルギー・素材センターをご覧ください。

1. イラン紛争が世界のエネルギー流通を混乱させる

中東各地の主要な海上輸送ルートやエネルギーインフラが引き続き影響を受けるなか、イラン紛争により世界のエネルギー供給の脆弱性が浮き彫りになっています。

世界の原油と天然ガスの供給量のおよそ5分の1が、インフラへの攻撃や、石油と液化天然ガス(LNG)の重要な輸送路であるホルムズ海峡の航行障害を受けて停止しています。

海峡の交通が混乱したことで、地域の産油国は出荷を停止し、油田は減産を余儀なくされました。世界の原油価格は25%超上昇し、世界中の消費者や企業の燃料価格を押し上げています。

また、世界の肥料の相当量が海峡を通過して輸送されるため、この混乱が食料安全保障に影響する懸念もあります。

アジアの多くの国など、輸入に依存する国々は、原油の60%を中東から調達しており、国内供給を守るため、燃料輸出の抑制を余儀なくされています。

ウクライナ侵攻後、ロシア産パイプラインガスに代えてLNG輸入に切り替えていた欧州は、主要輸出国カタールの供給が停止するなか、減少したガス備蓄の補充を迫られています。2026年核エネルギー・サミットでの演説で、欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は、この危機は石油・ガスを他地域に依存することで生じる脆弱性を「如実に思い起こさせる」ものだと述べました。この状況を踏まえ、フォン・デア・ライエン委員長は、信頼性が高く手頃な低排出電力源として、再生可能エネルギーとともに、欧州は原子力への投資を増やす必要があると述べました。

アフリカの輸入国も、GDPの落ち込みや燃料不足などのショックを受けやすい状況にあります。

一方、中国は原油輸入の約半分、LNG輸入の3分の1をホルムズ海峡に依存しています。しかし、長期的には、電化を推進しているため、中国は他の輸入国より有利な立場にある可能性があると一部のアナリストは指摘しています。

中国が「電力国家」へと移行することで、石油ショックへの脆弱性は低下しました。また、石油・ガス市場への依存を減らすため電化を進める輸入国が増えれば、クリーンエネルギーのサプライチェーンで優位に立つ中国への依存が強まる可能性もあります。

2. IEA、備蓄石油の過去最大の放出を決定

イランと中東での事態を受けた原油価格の急騰を抑えるため、IEAは史上最大規模となる政府備蓄石油の放出を決定しました。

石油供給の安全確保を目的に1974年に設立されたこのエネルギー機関は、加盟国が緊急用原油約4億バレルの放出で合意したと発表しました。原油は世界市場に供給されます。これはIEAがこれまでに実施した最大の放出量の2倍を超え、加盟国の政府備蓄総量の3分の1に相当します。

「石油市場は世界規模ですから、大きな混乱への対応も世界規模でなければなりません」と、IEAのファティ・ビロル事務局長はプレス声明で述べました。「エネルギー安全保障はIEA創設の使命です。IEA加盟国が強い連帯を示し、断固とした行動をともに取っていることをうれしく思います。」

3. 短報:世界各地のその他のエネルギー関連ニュース

イラン紛争に関連するLNGのリスクは、東南アジアのエネルギー安全保障への「警鐘」とされています。同地域の多くの国が湾岸諸国からのLNG輸入に大きく依存していることから、専門家はエネルギーシステムを見直すべきだと警告しています。

中東での紛争により、日本の輸入化石燃料への依存も注目されています。同国は原油の約95%、LNG輸入の11%を同地域に依存しており、そのうちそれぞれ約70%、6%がホルムズ海峡を通過します。

一方、インドでは、原油、LNG、液化石油ガス(LPG)の供給が途絶えており、海峡の航行が停止して以来、政府は消費者にガス需要をめぐって慌てず、可能な限り省エネするよう呼びかけています。連邦政府は緊急権限を発動し、製油所にLPGの生産を最大化するよう命じました。

エネルギー需要の95%を輸入に頼るバングラデシュでは、大学が閉鎖されました。これは電力を節約するための緊急措置の一環です。

欧州委員会は、クリーンエネルギー投資を加速させる新戦略を発表しました。欧州投資銀行が750億ユーロ(860億ドル)超の資金を拠出するこの戦略は、プロジェクトのリスクを軽減して投資家を呼び込み、クリーン技術やエネルギー効率化への資金提供、送電網やインフラの近代化を支援することを目指します。同委員会は、この戦略が競争力、安全保障、脱炭素化の向上に欠かせないと述べています。

中国のクリーンエネルギーの急拡大は、最新の5カ年計画にも盛り込まれています。フィナンシャル・タイムズによると、同計画は、同国が引き続きクリーンで低炭素、安全かつ効率的なエネルギーシステムを構築し、風力、太陽光、水力、原子力の発電を継続的に拡大する方針を掲げています。ただし、同国経済は依然として石炭に依存しています。

英国初の地熱発電所が稼働を開始しました。開発に20年を費やしたコーンウォールの発電所では、地下から汲み上げた熱水でタービンを回して発電し、最大1万世帯の電力需要を賄います。このプロジェクトは、電気自動車のバッテリーなどのグリーン技術に使われる重要鉱物であるリチウムを、国内で初めて供給することにもつながります。

4. フォーラム・ストーリーズから、エネルギー関連の記事をさらに紹介

気候危機が深刻化するなか、電力部門は水に関連する問題の影響をますます受けやすくなっています。同時に、水ストレスを悪化させる要因にもなっています。水の消費量が少ない再生可能エネルギーを拡大することが、この状況とエネルギーの未来を切り開くうえで不可欠です。

エネルギー消費者としての建物の従来の役割が変化しています。改修措置、AIを活用した管理システム、分散型エネルギー技術がますます普及しているためです。従来のエネルギーモデルを根本から転換し、遠隔地からのエネルギーを受動的に消費する代わりに、建物が電力の利用場所により近いところで発電、貯蔵、管理することが可能になっています。

アフリカでは鉄鉱石の生産が増加する見通しです。鉄鉱石は、重要なインフラの多くを支える鉄鋼の原料となり、2030年代初頭までに年間2億トンを超えると予想されています。鉄鉱石産業への投資と並行して国内の製鉄を拡大すれば、アフリカ大陸はより競争力と強靱性を備えた産業基盤を築くことができます。

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