インドは昨年、再生可能エネルギーに過去最高額を投資――次に同国のグリーン電力をどう拡大するのか?

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  • 前年度、インドの再生可能エネルギー投資額は過去最高となりました。

  • インドの再生可能エネルギーの現状と今後について、新たな報告書の著者に話を聞きました。

  • 太陽光から水素まで、ヴィブーティ・ガルグ氏がインド全土のエネルギーの未来を探りました。

投資額はインドの再生可能エネルギーで過去最高水準に達しました。これは、エネルギー経済・財務分析研究所(IEEFA)の新たな報告書によると、2021~22年度のことです。

再生可能エネルギーには総額145億ドルが投資されました。2020~21年度比で125%増、パンデミック前の2019~20年度比で72%増です。

新型コロナウイルス感染症のパンデミック中に落ち込んだ再生可能エネルギー投資が回復しました。Image: IEEFA

インドの再生可能エネルギーの最新動向を知るため、報告書の著者であるヴィブーティ・ガルグ氏にメールで話を聞きました。以下がその内容です。

1. 報告書によると、インドは2022年末までに再生可能エネルギー発電容量175GWを達成することを約束し、2030年の目標を450GWに引き上げました。新型コロナウイルス感染症のパンデミックによる課題を踏まえて、目標達成に向けて順調に進んでいますか?

ヴィブーティ・ガルグ氏:インドは2016年、2022年までに再生可能エネルギー発電容量175GWを導入する目標を設定しました。内訳は太陽光100GW、風力60GW、バイオマス発電10GW、小水力発電5GWです。

2022年の残りがわずか7カ月となった時点で、太陽光の目標100GWの約57%、風力の目標の67%しか達成されていません。このため、2022年の太陽光と風力の発電容量目標は、それぞれ約27%、18%未達となる見通しです。

太陽光発電容量の不足は、主に屋上太陽光発電によるものです。大規模太陽光(系統規模)は、おおむね計画どおりに進んでいます。新型コロナウイルス感染症によるサプライチェーンの混乱から、根深い政策上の制約まで、さまざまな逆風がインドの屋上太陽光市場の成長を妨げています。

風力発電では、逆オークション方式の入札により価格の発見が進んだ一方、過度に積極的な入札も促されました。再生可能エネルギー事業者は、こうした低価格で事業を実施することが次第に難しくなりました。また、タミル・ナードゥ州とグジャラート州の沿岸部にある風力発電に最適な場所は、すでに活用されています。新たな場所は設備利用率が低く、価格が上昇します。

新型コロナウイルス感染症の流行中、インドの電力需要は減少しましたが、産業活動の回復とともに急増し、最近の極端な暑さも冷房需要を押し上げました。電力需要の高まりを受け、今後数カ月で再生可能エネルギー発電容量の導入がさらに進むでしょう。

再生可能エネルギーの価格は下落しており、今では石炭火力よりも安価な電源となっています。ロシア・ウクライナ戦争により輸入石炭とガスの価格が上昇し、高コスト電源の出力調整がさらに難しくなっています。再生可能エネルギーを蓄電池や揚水発電などのエネルギー貯蔵システムと組み合わせることで、24時間を通じた電力需要を満たす、より安価な電源となりました。

2. 現在、インドの再生可能エネルギーの成長をけん引している主な分野は何ですか。また、今後10年で他の技術へと流れが変化すると思いますか?

ヴィブーティ・ガルグ氏:電力需要の増加、再生可能エネルギー価格の下落、太陽光発電モジュールの国内製造を推進するインドの取り組み、インドの製造業者の競争力向上と投資誘致を目的とした政府の支援策(生産連動型優遇策)、そして再生可能エネルギーの送電料金の免除が、現在のインドの再生可能エネルギー成長をけん引する主な要因です。

この成長傾向は続くでしょうが、再生可能エネルギーには政府の支援が必要です。エネルギー貯蔵の大型入札やグリーン水素を後押しする政策により、電力部門だけでなく、肥料生産や石油精製など脱炭素化が特に難しい分野でも、クリーンエネルギー技術の導入が加速するでしょう。これまで政府の政策は供給側を後押ししてきました。さらに、再生可能エネルギー由来の電力を一定割合以上購入するよう求める再生可能エネルギー購入義務と同様に、肥料生産と石油精製にグリーン水素の消費義務制度を導入すれば、こうした前向きな動きを一段と支援できます。これにより、事業者は販売先の見通しを確かなものにでき、生産設備への投資が促されます。

エネルギー貯蔵システムも成長分野です。政府は、エネルギー貯蔵がインドの再生可能エネルギー目標の達成に不可欠だと認識し、この分野への取り組みや政策支援を始めています。2025年6月より前に運転を開始するエネルギー貯蔵プロジェクトについて、州間送電システムの料金を免除しました。2022年3月にエネルギー貯蔵システムの標準入札ガイドラインを発表したほか、業界が直面する主な障壁に対処するため、国家エネルギー貯蔵政策の策定も進めています。また、今後の政策に再生可能エネルギー目標と同様の期限付き目標を盛り込めば、エネルギー貯蔵の成長を促す重要な要因となるでしょう。

政府は洋上風力も推進しています。新・再生可能エネルギー省は、2030年までに30GWを導入するロードマップを公表し、洋上風力発電の開発目標を再始動させました。世界的に洋上プロジェクトのコストが低下するなか、今が取り組みを進める好機です。

世界経済フォーラムは、グリーンテクノロジーへの投資をどのように促進しているのでしょうか?

3. インドは水素をどこまで、どれほど早く活用できるでしょうか?政府は、投資家向けのインセンティブを盛り込んだロードマップを発表しました。

インドは2030年までに、年間500万トンのグリーン水素発電容量を導入する目標を掲げています。野心的な目標ですが、大手事業者の一部はインドのグリーン水素に大規模な投資を約束しています。

最近発表されたグリーン水素関連の取り組みには、次のものがあります。

  • 最近開催されたダボスでの世界経済フォーラム年次総会で、インドの再生可能エネルギー事業者ACMEは、カルナータカ州政府と総額70億ドルの覚書を締結しました。太陽光からグリーン水素、さらにグリーンアンモニアを生産する統合施設を開発し、2027年までに年間120万トンのグリーン水素を生産する計画です。

  • 6月には、フランスの石油・ガス大手トタルエナジーズが、アダニ・グループ傘下のアダニ・ニュー・インダストリーズとの新たな提携を発表しました。グリーン水素生産に10年間で500億ドルを投資します。

  • 4月には、インドの再生可能エネルギー事業者リニュー・パワーが、国営インディアン・オイル・コーポレーションおよびエンジニアリング・建設大手ラーセン・アンド・トゥブロと、グリーン水素生産に向けた合弁事業を発表しました。

4. 報告書によると、「インドが2030年までに450GWの目標を達成するには、再生可能エネルギーへの投資を倍以上に増やし、年間約300億~400億ドルとする必要がある」とのことです。世界各地でインフレが進み、予算が逼迫するなか、この投資を促すために何が行われていますか?

インド政府は再生可能エネルギー部門の成長を促す政策や改革を導入してきました。現在は、エネルギー貯蔵、グリーン水素、エネルギー効率、電動モビリティなど、他のクリーン技術への投資も促進しています。

インドが必要とする気候変動対策資金の多くは、ここ数年で急速に拡大しているサステナブルファイナンス市場から調達できる可能性があります。

これまでインド企業は、資金調達の機会を狭め、流動性リスクを高める、国内資本市場の規模の小ささと流動性の低さ(特に債券市場)に加え、透明性・一貫性・包括性を備えた環境・社会・ガバナンス(ESG)情報開示の不足や、グリーンウォッシングへの懸念により、こうした資金の多くを呼び込むことに苦戦してきました。

しかしインドは、規制改革を通じてこれらの問題に取り組んできました。その一つが、ESG報告の義務化です。また、ESG評価とデータ製品の規制に向けた取り組みを進めており、グリーン・タクソノミーも提案しています。

5. インドの再生可能エネルギーの見通しと潜在力は、他国と比べてどうでしょうか?

インドには、まだ十分に活用されていない大きな再生可能エネルギーの潜在力があります。また、エネルギー需要が急増している大規模な新興経済国でもあります。同国には、化石燃料から再生可能エネルギーへの大転換が必要なだけでなく、新たに増える需要を満たすための追加の再生可能エネルギー発電容量も求められています。

そのためインドは、多くの国よりも大きな課題に直面しています。膨大な再生可能エネルギー発電容量を整備する必要があり、そのためにはより安価な資金とクリーンエネルギー技術へのアクセス拡大が欠かせません。

さらに、風力と太陽光は発電量が変動するため、インドは再生可能エネルギーを軸とするエコシステム全体を構築する必要があります。具体的には、次の取り組みが含まれます。

  • 蓄電池や揚水発電など、柔軟に出力を調整できる電源への投資。

  • 送電網と配電網の拡充。

  • 電力網の近代化とデジタル化。

  • 太陽光モジュール、太陽電池、ウェハー、電解槽などの資材・設備の国内製造。

  • 電気自動車の普及促進。

  • 屋上太陽光発電など、分散型再生可能エネルギーの一層の普及促進。

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