新たな報告書は、EUでエネルギー使用量を減らす9つの行動を示しています。
これにより、価格高騰が続くなかで光熱費を削減できるだけでなく、ロシアへの石油・ガス収入の流入を抑え、ウクライナを支援できます。
EUは2021年、ロシアから1,000億ドルを超えるエネルギーを輸入しました。
欧州の人々は、光熱費を削減し、ウクライナを支援する方法として、エネルギー使用量を減らすよう求められています。
EUのすべての人が、エネルギー消費量を減らす9つの簡単な行動を実践すれば、2,000万世帯を暖房するのに十分な天然ガスを節約できる可能性があると、国際エネルギー機関(IEA)と欧州委員会は述べています。
これらの行動は、次の報告書にまとめられています。「Playing my Part」これらの行動は、欧州のロシア産エネルギーへの依存を減らし、ウクライナを支援するものです。そうすれば、ロシアに流れ込み、侵攻の資金源となる収入も減少します。EUはロシアから1,000億ドルを超えるエネルギーを輸入しました(2021年)。
9つの省エネ行動は、欧州の温室効果ガス排出量の削減にも役立ちます。
概要を紹介します。
1. 暖房の設定温度を下げ、エアコンの使用を減らす
家庭のサーモスタットの設定を1°C下げると、暖房エネルギーの使用量を7%削減できます。EU諸国では、年間の光熱費を73ドル(70ユーロ)減らせる可能性があります。
エアコンの設定温度を1°C上げると、年間の電力使用量をほぼ10%削減でき、20ユーロの節約になります。
2. ボイラーの温度を下げる
報告書によると、ボイラーの初期設定温度は高すぎる場合があります。調整方法を確認するため、取扱説明書を見ることを勧めています。ガスまたは石油を燃料とする効率的な給湯器である潜熱回収型ボイラーを使う人は、部屋や水を温めるためのエネルギー使用量を最大8%減らし、年間約100ユーロを節約できる可能性があります。
3. 在宅勤務をする
EUで自動車が使う石油の約25%は通勤によるものですが、域内の仕事の3分の1以上は在宅で行えます。「雇用主はテレワークを推奨すべきです」と報告書は述べています。
4. 車を相乗りする
近隣の人や友人、同僚と車に相乗りし、車のエアコンの設定温度を3°C上げれば(燃費が向上します)、EUの住民は年間約100ユーロを節約できます。EUでの自動車移動の大半は、同乗者のいない一人乗りです。
5. 速度を落として運転する
高速道路での平均速度を時速10キロ下げれば、燃料費を年間60ユーロ削減できる可能性があります。「速すぎる運転は自動車のエンジン効率を下げ、燃料を無駄にします」とIEAは述べています。
6. 日曜日は車を使わない
パリ、ミラノ、エディンバラ、ブリュッセルなどでは、公衆衛生の促進を目的に、日曜日に車を使わない取り組みが行われています。1日車を自宅に置いておけば、年間で最大100ユーロの節約につながる可能性があります。
7. 徒歩または自転車で移動する
短距離の移動なら、徒歩や自転車を利用することで、大気汚染や交通渋滞を減らし、人々の健康増進にもつながります。年間55ユーロを超える節約にもなる可能性があります。EU加盟27カ国のうち14カ国は、自転車または電動自転車の購入を支援する税制優遇措置や補助金を少なくとも1つ設けています。
8. 公共交通機関を利用する
可能であれば、通勤には公共交通機関を利用しましょう。始業・終業時刻に柔軟性のある仕事なら、混雑時間帯を避けて公共交通機関を利用しやすくなります。公的機関も、バスや鉄道の運賃割引を提供することで支援できます。
9. 飛行機ではなく列車を利用する
報告書は、移動距離が1,000キロ未満の場合、高速列車が飛行機の有力な代替手段になるとしています。長距離では夜行列車も選択肢です。「雇用主は短距離の航空便の代わりに列車での移動を推奨すべきです」と執筆者は述べています。EUの航空移動の約5%は、列車に置き換えられる可能性があるとも付け加えています。
こうした取り組みは、エネルギー供給の逼迫回避にも役立つ可能性があります
政府と市民が直ちに行動し、エネルギー使用量を減らせば、深刻な供給逼迫のリスクを抑えられますとIEAは述べています。また、エネルギー価格が急騰するなか、世界中の消費者の「価格による痛み」を和らげることにもつながります。
IEAによると、1月と2月には、先進国の家庭が、輸送と暖房に使う石油に前年同期比で平均35%多く支出しました。新興国・発展途上国では、増加率は55%でした。
ロシア産のガスと石油への依存により、欧州は供給途絶や価格高騰の特に大きなリスクにさらされています。2021年には、EUのガス輸入の約45%がロシア産でした。また、EUの原油輸入の約27%がロシア産でした(2019年)。
「Playing my Part」報告書は、IEAが最近発表した、欧州のロシア産ガス・石油への依存を減らすための2つの10項目計画に続くものです。



