サンフランシスコのフェリー、世界初の水素燃料電池で運航する船に

An aerial view of a ferry.
Many companies are exploring hydrogen fuel cells as a way of creating clean-energy transport.Image: Unsplash/Patrick Federi
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  • その名にふさわしい「シー・チェンジ」は、水素燃料電池のみで動く。

  • 多くの企業が、クリーンエネルギーを使う自動車、トラック、列車の開発に向けて燃料電池を研究している。

  • 水素燃料電池は水と熱しか排出しないため、他の炭素排出削減手段よりクリーンだという声もある。しかし、コストの高さとシステムのかさばりが、技術の普及を妨げてきた。

サンフランシスコ湾に間もなく、化石燃料を使わず、水素燃料電池だけで推進する新たなフェリーが浮かぶ。関係者は、これが外洋での変化の先駆けとなることを期待している。

その名にふさわしい「シー・チェンジ」は、全長70フィート(21メートル)、定員75人のフェリーで、サンフランシスコのウォーターフロント沿いの複数の停留所を結ぶ。ワシントン州ベリンハムのオール・アメリカン・マリン造船所で建造され、近隣のピュージェット湾で米国沿岸警備隊による試験を受けていた。

「私たちは水上にいます。水素燃料電池で動いており、この推進システムを備えた商用船としては世界初です」と、スイッチ・マリタイムの最高経営責任者、ペース・ラリ氏は、ベリンハム湾でフェリーの船首に立って語った。

クリーンエネルギーを使う自動車、トラック、列車、プレジャーボートの開発が進むなか、「シー・チェンジ」は燃料電池を模索する新たな業界の事例となる。

推進派は、水素燃料電池は水と熱しか排出しないため、他の炭素排出削減手段よりクリーンだと主張する。しかし、燃料電池システムのコストの高さとかさばりが、技術の利用を制限してきた。

ラリ氏は、海運業の脱炭素化に向けた方法を探るなか、ニューヨーク市に住んでいた頃に燃料電池で動くフェリーの構想を思いついた。

「カリフォルニア州大気資源局が後援するプロジェクトがあり、船舶の脱炭素化手段として水素燃料電池に取り組んでいました。そこで私たちは参加し、2019年にそのプロジェクトに資金を提供しました」とラリ氏は語った。

水素燃料電池で動く船舶は、温室効果ガス排出量の大幅削減に役立つ可能性があるImage: Thomson Reuters/REUTERS/Matt Mills McKnight

ラリ氏が話す間、機関室では3基の水素燃料電池スタックがうなりを上げ、フェリーを最高速力20ノットで進ませる2基のプロペラに動力を供給していた。オール・アメリカン・マリンのプロジェクトマネージャー、ジェフ・ソコリク氏が「シー・チェンジ」の舵を取り、機関室と通信する自動システムを作動させるタッチスクリーンのボタンを押していた。

「燃料電池で動く船舶の次世代標準になるでしょう。クリーンで効率的ですし、規模が大きくなれば経済的にも理にかないます」とソコリク氏は語る。同氏は、この環境に配慮した海事分野のイノベーションが、早ければ今から10年後には広く採用される可能性があると考えている。

企業がゼロ排出の世界へと歩みを進めるなか、サステナビリティ目標を達成しようとする意欲が高まっている。

2020年に実施された国際海事機関の温室効果ガス調査によると、二酸化炭素、メタン、一酸化二窒素を含む温室効果ガスの排出量は、2012年の9億7,700万トンから2018年には10億7,600万トンへと増加し、6年間で9.6%増となった。

「私たちは専門知識のある海運業界に注力していますが、現時点では、どの業界も本当に待ってはいられないと思います」とラリ氏は語った。

「タグボートや大型フェリー、さらにはコンテナ船、クルーズ船、タンカーのような外洋航行船まで、より大型の港湾船舶にこの技術を導入するために必要な規制の枠組みを、私たちはまさに整えつつあります」と同氏は付け加えた。

計画どおりに進めば、船は5月下旬にベイエリアに届けられ、6月に乗客の運航を始める予定だとラリ氏は語った。サンフランシスコの夏のシーズンにちょうど間に合う。

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