米国の電気自動車(EV)販売台数は2020年から2021年にかけて85%増加し、同国は中国、欧州に次ぐ世界第3位のEV市場となった。
しかし、公共充電へのアクセスの公平性に対する懸念が高まっている。
米国でEV充電器が最も多い20地域では、住宅価格の中央値が80万ドル近くに達し、全国平均の2倍を超えることが分かった。
職場への充電ステーション設置が、解決策の一つとして提案されている。
その電気自動車用充電器が公園に設置されたのは、わずか1カ月前のことだったが、ロンテはすでに自分が利用する姿を思い描いていた。
「目に留まりました」と、32歳の彼は、6月の晴れた朝、ワシントンD.C.郊外にあるプリンスジョージズ郡の公園で運動の準備をしながら語った。同郡は黒人が過半数を占める地域だ。
「この地域にも広がってきているのが興味深いですね」と、彼はトムソン・ロイター財団に語った。「充電器を見れば、電気自動車を買う人が増えるかもしれません。素晴らしいことだと思います」
フルネームを明かさなかったロンテは、今後数年のうちに電気自動車を買いたいと話した。しかし、近くの高級なウォーターフロント開発地にあるもの以外、公共充電ステーションを思い浮かべることはできなかった。
プリンスジョージズ郡でも、全米でも、まもなく状況は変わるかもしれない。
政府が3月に発表したところによると、米国の電気自動車(EV)販売台数は2020年から2021年にかけて85%増加し、同国は中国、欧州に次ぐ世界第3位のEV市場となった。一方で、公共充電への不公平なアクセスに対する懸念も高まっている。
非営利団体ロッキー・マウンテン研究所で脱炭素モビリティに取り組むデイブ・マラニーは、「公共充電インフラの経験則では、利益を追求する事業者が設置するとき、資金のあるところに向かう傾向があります」と語る。
そのため、行政関係者などの間で「充電の砂漠」をなくすことへの関心が高まっている。
バイデン政権は、2030年までに公共EV充電器を新たに50万基建設することを目指している。これは現在の10倍を超える数だ。
今月、政権は他の施策とともに、サービスが行き届かず負担が過重な地域社会での充電アクセス拡大を一部目的とする、25億ドルの支出を発表した。
マラニーは、時間が重要だと述べた。
「それほど遠くない将来、EVは購入できる唯一の車になるでしょう」と彼は言う。だから今、公平性の問題に対処しなければ、「充電できる能力が不平等に分配されることになります」。
住宅を中心に
米国全体でEV充電器が最も多い20地域の住宅価格の中央値は80万ドル近くで、全国平均の2倍を超える。昨年、米国エネルギー効率経済評議会が発表した報告書に引用された統計によると、そうした結果だった。
充電インフラの設置場所に関して、都市や電力会社向けのガイドは数多くあるものの、低・中所得地域での設置に触れているものは「ほとんど、あるいは皆無」だと、報告書は指摘した。
さらに、調査会社J.D.パワーが昨年発表した調査によると、EV所有者の88%は自宅で「頻繁に」または「常に」充電している。米国の住宅のほぼ3分の1を占める集合住宅の居住者にとって、これは難しいことだ。
世界最大のEV充電ネットワーク、チャージポイントで北米政策担当シニアディレクターを務めるアンソニー・ハリソンは、「充電は従来のガソリン給油とは異なり、『駐車中に充電する』モデルです。たとえば、夜に集合住宅で寝ている間に車を充電できます」と話す。
「あらゆる所得層の人々が夜、眠っている間に充電できるようにするには、一戸建てだけでなく集合住宅にも対象を広げる必要があります」
職場での充電も有効な選択肢となり得る。
ロサンゼルス市では現在、集合住宅や商業ビルの駐車スペースの10%に充電設備を設置し、さらに30%を将来そうした設備に対応できるようにすることを義務づけていると、市の最高サステナビリティ責任者ローレン・フェイバー・オコナーは述べた。
ロサンゼルス市は新たな商業用充電ステーション1万基の設置目標をすでに達成し、現在は2025年までに2万5,000基を目指している。関連する設置補助金の支給額の60%超が、集合住宅の充電器に充てられている。
市当局は、公有地に充電器を設置する新たな方法にも取り組んでいる。駐車場の照明や公園、街灯などが対象だとオコナーは述べ、「しばらくの間、ロサンゼルス動物園が郡内で最も利用される急速充電器でした」と付け加えた。
それでも、2030年までに販売される全車両の半数をゼロエミッション車にするという連邦政府の目標を踏まえると、米国には現在の20倍の充電器が必要になる。コンサルティング会社マッキンゼー・アンド・カンパニーが4月に示した試算による。
国際的な動向について、ロッキー・マウンテン研究所のマラニーは、二つの主要モデルが登場していると指摘する。中国は巨大な集中型充電ハブの整備に注力し、欧州はより簡素な方式を採用している。街灯にコンセントを設け、ドライバーが自分の電源コードを持参する形が多い。
米国はおそらく、両方の方式を組み合わせるだろうと彼は述べた。
「EV充電器の設置に最適な場所」
都市部にはEV充電器の設置候補地が豊富にあると、バネッサ・パーキンスは語る。彼女は何年も前に電気自動車を購入したが、シカゴのアパートの近くに充電場所がないと気づいた。
「裕福な地域には(公共)充電器がたくさんありました」と、現在は充電環境の改善を訴えるパーキンスは、いまだにいら立ちをにじませて語った。「郊外にも選択肢がありました。自宅で充電できる人が多いのに」
彼女は、エネルギー効率の改善を中心とする仕事で関わっていた小規模事業者の多くが駐車場を持っていたため、充電器を設置できるのではないかと考え始めた。
彼女が打診すると、設置費用を負担しなくてよいのであれば関心があるという事業者もいた。
パーキンスらは2019年、コミュニティ・チャージングという非営利団体を設立した。昨年は、民間充電器の共有・貸し出しネットワークであるEVMATCHと協力し、充電器のない地域に5基を設置するための小規模な慈善助成金を獲得した。
「車で回りながら、『ここは充電器の設置に最適だ』と言っていました」と彼女は振り返る。特に、コーヒーショップ、ショッピングセンター、コミュニティセンター、宗教施設など、十分に活用されていない民有地の駐車スペースを探したという。
それ以来、公共の議論は大きく前進したとパーキンスは述べた。
7月、イリノイ州はEV充電器の設置に対する大規模なインセンティブの提供を開始する。州全体の気候関連投資の40%を、低所得地域やその他の不利な立場にある地域社会に振り向けることを目指している。
プリンスジョージズ郡にも、同様の変化が訪れようとしている。
ロンテが運動していた場所から2マイル離れたコミュニティセンターの近くでは、作業員がEV充電器4基の設置に向けて穴を掘っていた。地元の電力会社ペプコが250基を設置する州の試験プロジェクトの一環だ。
ペプコのプロジェクトマネジャー、アン・エリオットによると、多くは郡立公園の敷地に設置されるが、図書館や通勤拠点、学校にも設置される。
最終的には郡内の9地区に同数の充電器を設置する計画だと、メリーランド・ナショナル・キャピタル公園計画委員会のサステナビリティ専門家ローレン・ベルは述べた。
「充電需要は、充電ステーションの整備を上回るペースで増えると予想されています」と彼女は語った。「そこで、公平性の格差を埋める手助けをしようとしています」
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