欧州の再生可能エネルギー導入加速で、エネルギー危機は解決できるのか?

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  • ロシアによるウクライナ侵攻をきっかけにエネルギー危機が生じて以来、欧州各国は再生可能エネルギーの導入を加速させてきた。

  • EUは、2030年までにエネルギーミックスに占める再生可能エネルギーの割合が45%に達すると見込んでいる。

  • しかし、政府と産業界がエネルギー転換を加速させなければ、この目標は達成できないと国際エネルギー機関(IEA)は指摘する。

欧州は前例のないエネルギー危機に直面してきた。

欧州連合(EU)の27加盟国は2021年、天然ガス輸入のほぼ40%をロシアに依存していた。しかし、EUがロシアによるウクライナ侵攻を受けてモスクワに制裁を科した直後、ロシアはドイツにつながる主要パイプラインを通じた欧州へのガス供給を停止し、危機の引き金となった。

EUは他の供給先からガスを確保せざるを得なくなり、短期的なエネルギー需要を満たすために石炭の使用も増やした。一方、エネルギー安全保障を確保するための長期的な対応の一環として、温室効果ガス排出量ネットゼロの目標達成に向けてすでに進んでいたグリーンエネルギーへの転換を加速させている。

欧州のグリーンエネルギーへの転換は、今回のエネルギー危機が起きる前から進んでいた。 Image: IEA

世界経済フォーラムは、クリーンエネルギーへの転換をどのように推進しているのか?

エネルギー・素材センターは、エネルギー、素材、産業システムを形作る複雑な転換を理解するため、リーダーたちをつなぐ。同センターは、エネルギー安全保障、価格の手頃さ、持続可能性がどのように交わるのかを探る場を提供する。

バリューチェーンや地域を超えた協働を通じて、同センターは関係者が連携し、安全で低炭素かつ公平な転換に向けた実践的な解決策を見いだせるよう、共通の道筋をつくる。

同センターの取り組みを見る

再生可能エネルギー導入の加速

EUのREPowerEU計画は、欧州がロシア産化石燃料への依存を「2030年を大幅に前倒しして」終わらせ、早ければ2027年までに依存を急速に減らすことを目指している。また、10年末までに最終エネルギー消費全体に占める再生可能エネルギーの割合を45%に引き上げることを目指す。

計画の発表に際し、欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は次のように述べた。「ロシア産の石油、石炭、ガスから脱却し、自立しなければなりません……エネルギー価格高騰の影響を和らげ、来冬に向けてガス供給先を多様化し、クリーンエネルギーへの転換を加速するため、今すぐ行動する必要があります。再生可能エネルギーと水素への切り替えを進め、エネルギー効率も高めれば高めるほど、真に自立し、自らのエネルギーシステムを掌握できるようになります。」

風力発電と太陽光発電がガスを抜き、ヨーロッパ最大の電力源となった
風力発電と太陽光発電がガスを抜き、ヨーロッパ最大の電力源となった
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欧州委員会の「2022年エネルギー同盟の現状」報告書によると、REPowerEU計画はあらゆる部門で再生可能エネルギーの「大幅な拡大を後押ししている」。同報告書は、発電量に占める再生可能エネルギーの割合が、2021年の37%から2030年には69%に拡大すると見込んでいる。

同報告書によると、EUでは2022年5月から8月にかけて、太陽光発電が電力の過去最高となる12%、風力発電が13%を占めた。一方、干ばつによる河川や貯水池の水位低下により、水力発電の割合は過去数年の14%から11%に下がったという。

急速に拡大する太陽光発電

欧州委員会は、「2022年は欧州の太陽光発電(PV)市場にとって記録的な年となる見通しで、EU最大の加盟国市場では年間導入量の伸び率が17~26%に達する」としている。

業界団体のSolarPower Europeは、調査から大陸全域で太陽光発電が急速に拡大していることが分かったとしている。同団体によると、EUでは2022年に41.4ギガワット(GW)の太陽光発電が導入され、2021年の28.1GWから47%増加した。

調査によると、EUでは2022年に過去最多の太陽光発電容量が導入された。 Image: SolarPowerEurope

同団体の進捗報告書によると、EUでは10カ国が年間1GWを超える設備を追加しており、ドイツが首位で、2022年には約8GWを導入した。続いてスペイン(7.5GW)、ポーランド(4.9GW)、オランダ(4GW)だった。

さらに同団体は、「欧州の太陽光発電に減速の兆しはない。2023年のEUにおける太陽光発電の増加量は平均予測で53.6GWだ。この『最も可能性の高い』シナリオでは、2026年までに年間少なくとも85GWの新規導入に至る。つまり、EUの太陽光市場は今後4年以内に2倍以上となり、2026年には484GWに達する見込みだ」としている。

英国で再生可能エネルギーの記録更新

EU域外では、ロンドン大学インペリアル・カレッジの調査によると、英国では2022年に再生可能エネルギーの発電量が過去最高を記録した。同調査によると、昨年、英国の電力の40%は太陽光、風力、バイオマス、水力によるものだった。

研究者らによると、5月のある時点では、英国の電力網の電力供給のほぼ80%が再生可能エネルギーによるものだった。再生可能エネルギーによる発電量は全体として、過去10年間で4倍以上に増加したという。

「2022年の教訓は、より安価で安定したエネルギー供給を望むなら、化石燃料への依存を今度こそ断ち切る必要があるということです。過去10年間に風力、太陽光、バイオマスに投資していなければ、エネルギー料金はさらに高くなり、冬の停電リスクも高まっていたでしょう」と、ロンドン大学インペリアル・カレッジのアイアン・スタッフェル博士は述べる。

EUは再生可能エネルギーの目標を達成できるのか?

国際エネルギー機関(IEA)の「基本ケース」予測では、EUの発電量に占める再生可能エネルギーの割合は、2027年までに55%に拡大する。同機関の「再生可能エネルギー2022」報告書は、この割合は、REPowerEU計画が掲げるロシア産化石燃料への依存を2027年までに急速に減らす目標の達成に必要だとEUが見積もる69%を「大きく下回る」としている。

EUの太陽光・風力発電容量の拡大は、現状では2030年の目標達成に不十分である。Image: IEA

再生可能エネルギーの導入量をさらに増やすには、「EU各国政府は政策の不確実性を最小限に抑え、許認可手続きを簡素化し、送電・配電網の整備を加速する必要がある」とIEAは指摘する。「再生可能エネルギーによる発電の拡大も不可欠だ。再生可能電力は電気自動車やヒートポンプの電源となり、グリーン水素の製造にも使えるため、運輸部門や暖房部門での再生可能エネルギー利用を拡大できる。」

しかしIEAの報告書は、政府と産業界が電力、運輸、暖房、冷房の各部門でこうした課題に対処できる可能性があるとしている。実現すれば、「少なくとも再生可能エネルギーに関しては、REPowerEUの目標達成が視野に入る」という。

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