国際エネルギー機関(IEA)の新たな報告書によると、2022年にエネルギー効率の改善は転換点に達した。
エネルギー危機と気候危機の緩和に取り組むなか、エネルギー効率の向上ペースは過去5年間の2倍となった。
省エネ対策により、エネルギー料金は6,800億ドル削減された。
2022年のエネルギー効率への投資額は5,600億ドルで、前年を約16%上回った。
IEAによると、さらなる投資が必要だ。とりわけ、開発途上国や新興市場が新たな持続可能なエネルギーシステムに参加できるようにするための投資が求められる。
エネルギー効率の向上を目指す取り組みは、エネルギー危機と気候危機という同時進行の課題を背景に、この1年、世界中の人々を結びつけてきた。急騰する電気代や燃料費を抑え、CO2排出量を緊急に削減しようと、政策立案者、消費者、投資家、企業が一体となっている。
エネルギーを節約し、より適切に管理するためのこうした連携した取り組みにより、2022年のエネルギー効率の改善ペースが大幅に上昇した。国際エネルギー機関(IEA)の新たな報告書『エネルギー効率2022』によると、暫定値に基づく改善率はわずか2%にとどまるものの、過去5年間の達成率のほぼ2倍に当たる。
IEAは、この改善を、気候危機に影響を及ぼすために必要な省エネを実現する転換点となり得るものと位置づけている。ただし、パリ協定に沿って2050年までに温室効果ガス排出量実質ゼロを達成するには、今世紀のこの10年間、エネルギー効率を毎年約4%向上させなければならない。
エネルギー効率への継続的な投資
既存の省エネ対策は、世界がパンデミックから回復するなかで拡大しているエネルギー需要の一部を相殺するうえで、すでに大きく貢献している。昨年はその効果により、IEA加盟国のエネルギー料金が6,800億ドル削減された。
電化製品の電源を切ったり、暖房の設定温度を下げたりするなど、誰もがすぐに取り組める省エネもある。一方で、多額の設備投資を要するものもある。
IEAによると、2020年以降、エネルギー効率向上のために約1兆ドルが動員されており、住宅や商業施設の効率化、公共交通機関の電化、電気自動車の充電インフラ整備など、多岐にわたる取り組みが対象となっている。
2022年だけで、エネルギー効率に5,600億ドルが投資され、前年を約16%上回った。
この額には政府と民間双方の投資が含まれ、民間投資は2010年代半ば以降、着実に増加している。
後押しとなる政策
IEAの報告書は、輸送と暖房の電化に向けた勢いが増していると指摘する。世界で販売される自動車の8台に1台が、いまや電気自動車であることや、ヒートポンプの普及が進んでいることを挙げている。暫定値によると、2022年に欧州で販売されたヒートポンプは300万台で、2019年の販売台数の2倍となった。これは、住宅所有者が家庭の暖房に使う天然ガスへの依存を減らそうとしていることを反映している。下の図が示すように、この課題に直面しているのは欧州だけではない。
この加速を実現するうえで、政策は大きな役割を果たしてきた。エネルギー効率に関する義務や最低基準に加え、住宅、オフィス、車両のラベル表示や性能基準も重要な要素となっている。
政府の取り組みも引き続き強化されている。エアコン、照明、ディスプレーのいずれについても、最低基準は2022年に過去数年と比べて大幅に引き上げられた。IEAは、最も効率の高い住宅や車両は、運用費用が40%から75%低いという証拠を示している。
ただし、ここでの進展の多くは先進国に関するものだ。新興国や開発途上国が移行を進めるには、はるかに大きな投資と支援が必要となる。エネルギー効率向上の機会が最も大きいのは、そうした国々だからだ。
省エネの勢いを維持する
IEAの報告書は、省エネの推進を妨げるその他の障壁についても率直に述べている。その一つが、供給不足への対応として化石燃料補助金が大幅に増加したことだ。こうした措置を極めて慎重に実施しなければ、最終的に気候危機への取り組みを損なう恐れがある。また、2022年に生まれた勢いを保ち、世界各国の経済が慣れ親しんだ状態に逆戻りしないようにすることも課題だ。
エネルギー効率と持続可能なエネルギーシステムの構築は、世界経済フォーラム年次総会2023で議論される主要テーマの一つであり、協力によってパリ協定の気候目標達成に向けた取り組みをいかに結集できるかに焦点を当てる。


