アルミニウムは循環型経済の構築に貢献できる。その方法とは

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  • 循環型経済のアプローチにより、主要素材の生産による排出量を2050年までに40%削減できる可能性がある。

  • 無限にリサイクルできる素材であるアルミニウムは、この移行において大きな役割を果たし得る。

  • ただし、課題を克服し、これを実現するには、業界を超えた連携が必要だ。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が前例のない形で人々の暮らしと経済を混乱させるなか、世界各地の社会は、人命と生活を守るという差し迫った必要に直面し、気候変動対策の緊急性が問われている。一方で、このパンデミックは気候危機が世界経済に及ぼし得る影響を示していると論じる人々もいる。国際決済銀行の副総支配人ルイス・アワズ・ペレイラ・ダ・シルバ氏は、パンデミックによって、政策立案者が協力する必要性が高まったと述べている。世界的なリスクを特定し管理するため、より包括的なアプローチを構築することが目的だ。

政策立案者や企業リーダーの優先事項が変わるか、またどのように変わるかは、まだ明らかではない。それでも、炭素排出量の削減は引き続き緊急課題となるだろう。自然界からの衝撃に対し、社会や経済がいかに脆弱であるかが明らかになったことを踏まえれば、なおさらだ。14カ国で実施された最近の世論調査では、成人の71%が賛成している。長期的に見て、気候変動はCOVID-19と同じくらい深刻な危機だという意見だ。人々は「以前の状態」に戻ることを望まず、より安全で、包摂的かつ強靭な社会へと立て直すよう求めている。

したがって、世界および各国の復興計画を策定する政府や企業は、この声を受け止め、グリーンリカバリーを確実に進めるべきだ。環境・社会・ガバナンス(ESG)の観点から企業部門を重視する動きは近年さらに強まっており、COVID-19の流行以前からそうだった。この流れを変えるべきではない。企業はこうした変化に対応する必要があるが、長期的には、変化によって企業の強靭性が高まる。

低炭素経済への移行は、環境だけでなく雇用にも利益をもたらす可能性がある。例えば雇用面では、クリーンエネルギーとエネルギー効率化に公的資金を100万ドル投じるごとに、再生可能エネルギーのインフラで7.49人分、エネルギー効率化で7.72人分のフルタイム雇用が生まれる一方、化石燃料関連ではわずか2.65人分にとどまると指摘されている。したがって、この移行には前例のない速度と規模での変革が必要だが、雇用、強靭性、環境、政治的資本の面で、より高い投資収益をもたらす可能性もある。

朗報は、循環型の低炭素経済への移行がすでに始まっていることだ。自動車メーカーから包装業界まで、多くの国際企業がすでにカーボンフットプリントの削減を約束し、より持続可能な方法で生産された素材を探し始めている。アルミニウム、プラスチック、コンクリート、鉄鋼といった主要原材料の需要は、エレン・マッカーサー財団によると、2倍から4倍に増えると予測されている。大幅な対策が講じられなければ、その結果、2100年までにCO2排出量が6490億トンに達する可能性がある。一方、企業が循環型経済モデルを採用すれば、生産過程で排出されるCO2の量は2050年までに40%削減される。

循環型経済により、主要素材からの温室効果ガス排出量を2050年までに40%削減できる可能性Image: エレン・マッカーサー財団

低炭素の未来に至る道は数多くある。画期的な解決策の研究開発への投資や、既存技術の大幅な改善がその一つだ。もう一つは、再生可能エネルギーを使って素材を生産することだ。どちらもすでに実現可能であり、アルミニウムはその一例である。

アルミニウムは、品質を損なわずに無限にリサイクルできるなど、独自の特性を備えている。そのため、循環型経済を支える基盤になり得ると私たちは考えている。驚くべきことに、現在、これまでに生産されたアルミニウムの75%が今も使われている。

その一方で、アルミニウム部門は、世界全体の排出量の2%に当たる11億トンのCO2換算排出量を占めている。これは国際アルミニウム協会(IAI)の最新の数値による。 COVID-19が世界経済に及ぼした影響にもかかわらず、アルミニウムの需要は今後も増加すると予想されている。直ちに行動を起こさなければ、この部門の排出量は50~60%増加する見通しだ。

解決策は、化石燃料から再生可能エネルギーへ切り替えることにある。残念ながら、推計によっては、世界の一次アルミニウムの74%が再生可能ではないエネルギーで生産されている。しかし、より環境に配慮したビジネスモデルで移行を先導する企業もすでにある。その一例が、EN+/RUSALによる一次生産工程での水力発電の利用であり、これによりカーボンフットプリントが大幅に削減されている。

排出量を大幅に抑えて生産されたアルミニウムは、ESG原則を重視する生産者のサプライチェーンにおいて、重要な柱の一つとなっている。自動車企業から包装部門まで、消費財メーカーはCOVID-19が市場を襲うずっと前から、生産サイクルのカーボンフットプリントを削減する方法を検討し始めていた。例えば、メルセデス・ベンツは2019年、新たな乗用車ラインアップを20年以内にカーボンニュートラルにする計画を発表し、アウディも2050年までのカーボンニュートラル達成を目指している。

しかし、残念なことに、生産工程の持続可能性を高めようとするこうした動きがある一方で、現時点では低炭素アルミニウムの定義に関する統一的な基準がない。アルミニウム管理イニシアチブやハーバー・アルミニウムなどの組織が定めた排出性能基準は、優れた第一歩だ。しかし残念ながら、基準同士の整合性が取れておらず、部門全体で共通のアプローチにもなっていない。

低炭素アルミニウムを生産する企業はいくつかあるものの、その定義に用いる排出量のしきい値には一貫性がない。カーボン・トラストが最近発表した調査には、低炭素カテゴリーを「独立した資産クラス」として定義する簡潔な方法論が示されている。透明性のあるラベリングは低炭素経済への移行に不可欠な一歩となるが、ロンドン金属取引所(LME)のような市場参加者が関与し、こうした措置を実施しなければ実現できない。金属生産者のカーボンフットプリントの透明化を求めるLMEの呼びかけや、最近開始した低炭素アルミニウム取引プラットフォームは、低炭素ソリューションを最終的に消費者に近づける重要な取り組みだ。

ネットゼロ経済の構築は非常に困難な課題であり、こうした革命的な変化を一社だけで実現するのは極めて難しい。世界経済フォーラムの「ミッション・ポッシブル・プラットフォーム」のような取り組みは、アルミニウムなど脱炭素化が特に難しい部門を支援し、脱炭素化の取り組みを加速させることを目指している。エネルギー集約型の企業を支援し、協力してこの取り組みを推進するためのものだ。ネットゼロの世界への道のりには、パートナーシップと効果的な連携が欠かせない。


業界全体で大きな進展が見られる一方、地域や生産者によってカーボンフットプリントが異なるため、移行への道筋に万能な解決策はない。しかし、多くの企業にとって、COVID-19からのグリーンリカバリーは、循環型のアプローチや低炭素ソリューションを取り入れ始めるまたとない機会となり得る。クリーンエネルギーはより安価で信頼性の高いものになりつつある。各国政府もこれを認識し、より多くのクリーン電力を開発するためにグリーン刺激策を振り向け、COVID-19後の復興を進めている。炭素汚染の真のコストが価格にますます反映されるなか、採算性が徐々に低下する生産基盤のリスクに先手を打って対処することが不可欠だ。アルミニウムを含め、低炭素製品の需要は今後も拡大する。業界がこの課題に応えるため、イノベーション、技術、パートナーシップに投資して協力する時が来ている。

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